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審判員に対する暴力が許せない

暴力と言っても、試合中に審判を殴るとかそういう話ではなく、
ここでは言葉の暴力について触れたいと思います。

僕は審判の勉強をする上で、どうしても野球規則だけでは学べないことが沢山あるので、ネットやYouTubeなどで関連するものを見つけて勉強するということが多くあります。

そこで目につくのが言葉の暴力です。
特に疑わしい判定や誤審ではないかという判定をした審判に対する侮辱の言葉の数々です。

『史上最悪の誤審!』
『無能審判』
『こんな審判はクソだ』
『〇〇(審判員の名前)は審判やめろ!』

まぁ、罵詈雑言、酷い言葉で審判員を語る人が多いこと多いこと。
特にプロ野球の審判員に対する批判というのは、テレビや新聞などで報道されることも多いので、けっこう罵詈雑言の的にされることも多いようです。
これ、暴力以外の何者でもないと僕は思っています。

はっきり言いますが、僕は同じ審判員だからと言って仲間意識のような気持ちで彼らを庇っているわけではありません。
審判員として何千何万という観衆の目の前で審判をするという大きな責任を果たそうとする人に対して、ロクに審判などしたこともない、野球規則さえまともに知らない人が、よくもこれだけ酷いことを言えたもんだなと思うのです。
ですから、そんなわけのわからない誹謗中傷をする人が僕は許せないのです。
※僕の個人的な思いとしては、審判員だけでなく芸能人や著名人に対する誹謗中傷もまったく同じように許せない気持ちです。

確かに審判も人間ですから、もしかしたら間違いがあるのかもしれません。誤審だと言われても仕方のない判定をしていたのかもしれません。
でもそれは、見た人が
「あの審判、酷い判定だな」と、
心の中で思っていれば良いことです。
友達や知り合いなどと、「あの判定は変だよな」 と会話する程度にしておけば良いのです。
それがこともあろうに、不特定多数の公衆(ネットやSNS、動画サイトなど)に対して、理路整然とした批判ならまだしも、無能だとか最低だとか誹謗中傷するほうがよっぽど酷いと僕は思います。

自宅でYouTubeにアップされた動画を観ながら、
『お前、一度でも審判したことあるの?』
『これのどこが誤審なんだ?』
とか、思わず画面に向かって言ってしまったこともあります。
誤審だと多くの不届き者が叫んでいても、アマチュアながらでも審判をしている立場の目で見ると、
『これ、審判の判定は何もおかしくないぞ』
というのはけっこう多いですね。
感覚的には批判されているケースの半分くらいはなんらおかしな判定ではないと思います。

特にプロ野球の審判員というのは、誰でもなれるわけではなく、NPBのスクールから始まりますが、このスクールでふるいにかけられ、
卒業後もいきなり一軍二軍ではなく、独立リーグなどから徐々に昇格する形です。
言ってみれば下積みですよね。
もちろん、この下積み時代に適性や能力、審判としての実力が認められた人だけが二軍に進み、さらにそこでも認められて初めて一軍、つまり皆さんが応援するプロ野球の試合で審判ができようになります。
中でも球審に関しては一軍では5年以上の経験がないとやらせてもらえないそうです。

10年、あるいはもっと長い年月をかけてやっと一軍の試合に出してもらえるようになって、
毎年毎年、トレーニングだけでも何万球という投球判定を繰り返し、うんざりするほど審判の基礎トレーニングを繰り返します。
それでも正社員のような雇用形態ではないので、年間の試合の中で審判の適性が疑われるようなことがあれば翌年の契約はなくなる。。。
そういう世界だそうです。

そんなプロの審判員に対して、
「あんなクソボールにストライク判定なんかしやがって」
「あんなのどう見たってアウトだろ!」
そんな事をネット上で堂々と公言できる人は、さぞかし上手に正確に審判ができるのでしょうね。

できないんだったら黙ってなさい。


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