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けんせい球を他の塁へ転送

以前、僕が三塁審判をしている試合での事です。

走者二三塁のときです。
ピッチャーが軸足をプレートから外して三塁へ送球しました。
いわゆるけん制球です。

ところが、このボールを捕った三塁手は三塁走者には目もくれず、
捕球するなり二塁へ転送しました。
たまたま二塁はセーフだったので僕は特段何もしませんでしたが、
試合後、そのときに守備をしていたチームの監督やコーチにルールの説明をしに行きました。

『塁の走者をアウトにする意思がない送球はその時点でボークであり、
 さらにそれを他の塁へ転送してアウトにしようとするのは明らかに騙そうと
 するプレイなので、選手にはそのように指導してください。』

そんな話をしたところ、監督もコーチも全員が僕の周りに集まり、

・投手はプレートを外して送球しているのだから何も問題ない
・他の連盟で審判員にボークではないことを確認している
    だから選手にもそのように指導している
・それがダメだというなら明確に説明しろ

、、、と、かなり強硬な姿勢で反論されました。

この場を借りて改めて書きますが、
・投手がプレートを外そうと外すまいと、塁の走者をアウトにする気のない
   塁への送球はボーク
・投手はアウトにする気で送球していたとしても、野手の側にその意思がな
    ければそれもボーク
・他の連盟で確認してもらった内容は間違っている
 (但し、連盟内だけの独自のルールがあるのなら話は別だが、どうしゃらそ
     ういう事ではないらしい)

監督であれコーチであれ、指導者としてベンチに入っているわけですから、
審判に反論をするのであれば、それはもう少し勉強をされてからの方が良いのではないですか・・・?  
と、喉元まで出かかるのを飲み込んで、僕はその場を離れましたが、
不思議なもので、大勢で 『それは違う』 と堂々と主張されると、
『あれ?俺が間違ってた?』 みたいな感じになってしまうもんで、
僕はあまり強く言わないで引き下がった感じです。

まぁ、経験談はここまでにして、このプレイが何故いけないのか、どの規則でどのように決められているのかをもう一度整理しましょう。

・走者を騙そうとするプレイは認めない
・その塁の走者をアウトにする意思がないのに送球する → 遅延行為
・投手はアウトにする意図があったとしても、野手が塁に入ろうとして
    いないにであれば → 遅延行為

以下、関連する規則をのそのまま記載してあります。

野球規則 【6.02a 原注】
ボークルールの目的は、投手が走者を意図的に騙そうとするのを防ぐためであることを、審判員は心に銘記しなくてはならない。
もし、審判員の判断で投手の ”意図” に疑いを抱いたら、審判員は厳重に規則を適用すべきである。

野球規則 6.02a(8)  ※ボークの13条のひとつ
投手が不必要に試合を遅延させた場合。

日本軟式野球連盟 競技者必携 ー 規則適用上の解釈 (10)
投手の軸足が、投手板上か投手板をはずしたかに関係なく、本来の守備位置にいる野手に送球した場合に、その送球がけん制と見られない場合は、ボークが適用される。(規則6.02a (4)(8))

アマチュア野球内規 ⑪
走者が塁にいるとき、投手が投手板から軸足をはずして、走者のいない塁にそうきゅう した(送球するマネも含む)場合、または、投手板上からでも軸足を投手板からはずしても、塁に入ろうとしていない野手に送球した場合には、投手の遅延行為とみなす。
(規則 6.02a(4)、6.02a(8)、6.02c(8))



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