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『はさまるたいち』菊地健雄 監督【在宅映画制作 LINER NOTES #9】

菊地健雄流:監督術!? 映画は誰のモノなのか・・・?

過去の名作からの映画的教養と、様々なバジェット感の現場経験を余すことなく動員し映画をつくりあげる菊地健雄の作品には、軽妙なマスクの裏に太い映画の骨格が見え隠れする。さて、今作はどうだろうか?ビデオを通話を使ったシンプルな語り口は、思わぬ方向に転がり、人々の感情を逆撫でし続け、まさかの修羅場になだれ込む。フリーハンドで場当たりな構えを決め込みながら、しかるべきポイントで的確なストーリーテリングを仕掛け、画面の裏側でニヤついている監督を、私たちは決して見逃してはいけない。奔走する鈴木太一との共犯関係は、控えめに言っても「非情」というひと言に尽きるだろう。菊地健雄が、監督兼出演の任侠映画を撮る日は、そう遠くないかもしれない。

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Postscript #9 菊地健雄監督

菊地

・今回の作品の着想は?

正直、最初は何を撮ればいいのかさっぱりわからなかったです。企画で煮詰まり、プロデューサー平林勉さんに電話で相談したところ、「はさまる」と「鈴木太一」のアイディアが出てきました。キネカ大森の先付けショートムービー『もぎりさん』でご一緒した太一さんなら何か面白いものを撮ってくれるかもくらいの非常に安易な発想でしたが……。その後、平林さんと太一さんも交えてオンライン上で話し合いながら、この悩みながら作っていく過程そのものを映画にするという構想が出来ていきました。この状況下で、構想が固まるまでは精神的には中々しんどく度々挫けそうになりましたが、「でも、やるんだよ!」の精神で取り組みました。

はさまるたいちスチール

・撮影時のエピソードや裏話を教えてください。

今回は撮影しながらそれを元に前後の場面をみんなで話し合いながら考えていくというようなワーク・イン・プログレスなやり方で、限りなくドキュメンタリーを撮るような感覚で制作しました。実際、劇中での太一さんの主張は正しくて、共同監督のように太一さんと2人で作った作品だと思っています。
まず始めに太一さんがはさまる場面を撮影してもらいました。太一さんのお母様のご出演は偶然の産物でしたが、2人の会話や関係性が面白く、さらにこの部分を対比として活かすために自分の娘も出演させることに。その後、ZOOMパートを撮影。ちなみに太一さんと二宮健監督は今回のZOOM上が初対面でした。そうして撮影した素材を編集の山崎梓さんにつないでもらったら50分近くになってしまいましたが、そこから20分弱の長さの作品になったのはひとえに山崎さんの力に依るところが大きいですね。そして、侘美秀俊さんに作品のトーンを決定する音楽をつけていただいたことで何とか作品に目を入れていただきました。
以上のように、今まで出会ってきた人たちに支えられて、監督としては、大した苦労もなく非常に楽に作ることできました。「つくづく人生って無駄がないし、色んなことが繋がっていくよね」と痛感した次第です。

・今回の作品を制作して実感したことは?

個人的には撮影現場で面と向かい合いながら作るほうがやはり好きかなと。でも、どんな状況でもアイディア次第で面白い作品は作れるのだと実感しました。「菊地さん、最低ですね」という感想が多く嬉しい限りです(笑)。こちらが意図した以上に素直に見てもらえているのかな。あと何故か俳優さんからの反響が多い気がします

・ 在宅映画制作を通して、これからの映画制作に活かせそうなことだと思ったことは?

適当な思い付きをキャスト・スタッフに丸投げして膨らませていくやり方ですかね……。それとZOOMなどリモートオンラインでの打ち合わせは今後も大いに活用していきたいですね。

・作品をご覧になった人にメッセージをお願いします。

『はさまるたいち』をご覧いただいてありがとうございます!「映画監督ってほんとしょーもないな」と笑っていただけたら本望です。そして、もし気に入っていただけたら姉妹編とも言える鈴木太一監督『太一ZOOM』シリーズも是非ご覧ください。さらに楽しめること間違いなしです!

太一ZOOMスチール

これらの作品が皆さんにとっての一服の清涼剤になってくれることを願っております。お互い身体には気をつけて、この事態が終息したら映画館でお会いしましょう!

・その他、感じたこと、考えたことがあれば、教えてください。

今回のSHINPAの企画に関して、現在まで公開されている作品しか見れていませんが、在宅リモートという制約があるのにも関わらず、ひとつとして似ている作品がないことに驚いています。自分では考えもつかない着眼点とスタイルの多様さは本当に勉強になります。これから確実に変化するであろう映画の在り方についてのヒントをたくさんもらいました。個人的には中村祐太郎監督と岩切一空監督の作品のように、自分も鈴木太一のような小汚いおっさんではなく若くて綺麗な女優さんと作りたかったと激しい嫉妬と後悔に襲われています。
最後にこの場をお借りして、巻き込まれて参加してくれた皆さん、特に鈴木太一監督とお母様の鈴木八代江さんに、改めてお礼を申し上げます。

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「おもしろかったー!ほんと、うんまいことおふたりのキャラと立場と、この状況を生かした半生チョコメンタリー笑!つかれた頭にちょうどいい!」by 片桐はいり 『もぎりさん 』でお世話になった女優の片桐はいりさんから『はさまるたいち』を見た写真と感想いただきました!

『はさまるたいち』

監督 / 菊地健雄

プロデューサー / 平林勉 
脚本 / 鈴木太一 
音楽 / 侘美秀俊 
編集 / 山崎梓 

キャスト

鈴木太一
菊地健雄
二宮健
菊地夏乃子
鈴木八代江

#SHINPA #在宅映画制作 #菊地健雄

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