『MILK IN THE AIR』今泉力哉監督【在宅映画制作 LINER NOTES #5】
犬のまどろみ、優しく撫でる手がいざなうSTSF(ショート・トリップ・サイレント・フィルム)!
今泉監督には、固有の時間感覚が存在する。それが今泉映画に独自の輝きを与えてる要素の一つであり、時間芸術といわれる映画との宿命を約束されているかのようだ。その時間の流れは、和やかに見えて、時に冷徹な表情を浮かべ、博愛の構えから一転して、排他の瞬間さえ到来させるのかもしれない(到底、言葉に形容できるものではないのだが)。しかし、それは観客の心のどこかに、確実なボディブローを仕掛け、爪痕を残す。そうして、私たちは今泉映画を観て、「まあ、そうだよね」と腑に落ちてしまうのだ。今回は、在宅映画制作という究極の状況下で、ただ佇む犬を追い続けるだけで、しかもサイレントという、超ミニマムな映画を制作。しかし、なぜかそこにも今泉監督の時間感覚が炸裂している。だから、『MILK IN THE AIR』で、言葉にならない物語の中を、私たちは浮遊する。それだけではない。カスタマイズが主流の今日で、映画において、BGMカスタマイズという、未知のフェーズのボディブローまで、今泉監督は仕掛けている。
Postscript #5 今泉力哉監督
・今回の作品の着想は?
過去に撮影した素材から何かつくれないかと着想しました。
穏やかな時間を生み出せたらと思いました。
・撮影時のエピソードや裏話を教えてください。
編集しかしていないです。
・今回の作品を制作して実感したことは?
やはり自分は在宅で映画をつくることは難しいなと思いました。
・ 在宅映画制作を通して、これからの映画制作に活かせそうなことだと思ったことは?
ばんばん外に出ていって撮影の準備や撮影をしたいです。
・作品をご覧になった人にメッセージをお願いします。
ご覧いただきありがとうございました。
映画「街の上で」もよろしくお願いします。
『MILK IN THE AIR』
監督 / 今泉力哉
キャスト
ミルク
志田彩良