『Utopia Part 2』田中浩美監督【在宅映画制作 LINER NOTES #7】
謎のウイルスが蔓延する世界を描いた自作『Utopia』への、セルフ・アンサー・ソング!
田中監督の在宅制作映画は、今年1月のSHINPAのコンペティションで初上映され、グランプリを受賞した『Utopia』の続編的な内容だ。得体の知れない不穏さの中に、観る者を誘うこの連作は、作品が描いた世界と、現実世界が交差した今、新たな地平を切り拓く。世界が映画に作用するのか。映画が世界に作用するのか。この偶然を注視することはナイーブな心性では決してなく、いつだって映画は僕たちに作用し、日常を変更させていることを突きつける。Utopiaサーガの次作を期待することは、他者のなかに立ち上がる狭義の社会に触れたいと思う欲望で、それこそが創作活動が絶えず続いている原動だとすら感じさせられる。
Postscript #7 田中浩美監督
・今回の作品の着想は?
今回の「Utopia Part 2」は、2015年に制作した「Utopia」の続編的な内容となっています。当たり前が当たり前でなくなっていく日々に抗う二人を描いたのが前作、私たちの日常が今でいう「新しい生活様式」になっていくことを次第に受け入れていくのが今作となります。今年の頭のSHINPA Vol.11とVol.12にて前作を上映いただく機会があり、その時から続編を作りたいなと考えていました。その時はまだコロナ云々はどこか人ごとで、ただ私たちの日常が変わりつつあるということは間違いなく感じており、その変わりつつある私たちの「当たり前」の様を、映像として切り取って残り続けさせることが出来たら面白いなと思い、制作に至りました。期せずして時事ネタ的な内容となりましたが、前作も含めて、その辺りも楽しんでいただければと思います。
・撮影時のエピソードや裏話を教えてください。
母が以前より私の映画に出たいと言っていたので、やっと出演させることが出来ました。
・今回の作品を制作して実感したことは?
映画を作ることは、人と人との繋がりを作っていくことであると、在宅映画制作を行うことで改めて実感しました。今回を機により一層、自分自身と、映画に関わってくださる方々、観てくださる方々に対して真摯に向き合っていかなくてはならない。決して容易ではないですが、諦めず今後もやっていこうと思います。
・ 在宅映画制作を通して、これからの映画制作に活かせそうなことだと思ったことは?
何事も、案外やってみれば無理なことはないということ。
・作品をご覧になった人にメッセージをお願いします。
観てくださった方々、本当に有り難うございます。過去の他の作品も是非観ていただきたいので、機会を作れるよう精進します。
・その他、感じたこと、考えたことがあれば、教えてください。
早くみんなで映画を作りたいです。
『Utopia Part 2』
監督 / 田中浩美
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