『動物暴走教師』近藤啓介監督【在宅映画制作 LINER NOTES #6】
家の外のヤバい人、家の中のヤバい人、そして、人じゃないヤバい何か・・・!?
3つのお題をもとに、1日で映画制作を行う、SHINPAの即興映画制作企画KCPで、幾度となく傑作を生みだしてきた近藤啓介監督(ちなみにKCPとは、近藤シネマプロジェクトの略語である)。その磨かれた手腕を在宅制作映画でも遺憾なく発揮。動物、暴走族、教師という一見関係なさそうな3つのテーマから、監督自身の感じる“現代社会に潜む齟齬”を笑いと共に立ち上がらせている。深く考えると落ち込みそうになる不条理を、軽妙に塗り替える近藤啓介の世界観は、これから私たちの心の特効薬として、必需品になるのかもしれない。
Postscript #6 近藤啓介監督
・今回の作品の着想は?
在宅映画ということで、まずzoomなどを使った映像は既に増えていたので、それ以外の方法で家の中を見せる方法を考えていました。そして音を使った物語を作ろうと思いました。
3つの部屋でそれぞれ現状に困っている人たちを描いてみて、そこから何かテーマが見えてくるか試すような気持ちで作りました。
「暴走族のエピソード」は自粛警察のことがニュースになる前に撮影して、こんな奴ら出てきそうと思っていて書いたので実際似たような人たちが出てきて驚きました。
・撮影時のエピソードや裏話を教えてください。
撮影はテレビ通話を使って演出したので大変でした。電話で話している程ですが、実際繋がっていないので、音がない状態で想像で芝居してもらいました。
そこに後から音をはめ込んでいき、暴走族の声は10人近く僕が声を分けながら1人で撮ったのですが、結果全て同じ声になってしまいした。
でもそれはそれで在宅映画ならではの「手作り感」が出て良かったかなと思っています。
・今回の作品を制作して実感したことは?
正直、人が少ないという点では割と作りやすかったです。難点は会えないという点で、そこだけがネックでした。
1人で芝居に集中するという体験はなかなかスリリングで普通撮れない表情や身体が撮れたと思います。
例えば、「家庭教師」の長村くんは実際隣の人からクレームが来そうで焦って撮っている感じが出ました。「暴走族」の三河くんは1人なので緊張して、よく見ると手が震えています。それがリアルでした。
僕も自分のパートで芝居してみて、いい緊張感を味わえました。
・ 在宅映画制作を通して、これからの映画制作に活かせそうなことだと思ったことは?
在宅にいてまで映画を求めている人たちが大勢いることをSNSを通じて再確認することができました。
これからの映画作りにもつながる勇気を貰った気がします。
**・作品をご覧になった人にメッセージをお願いします。 **
今、YOUTUBEや配信などで手軽に映画を見るチャンスが広がっているので、この機会に多種多様な監督がいて、色んな顔の俳優がいることを知ってもらえると嬉しいです。その中で自分が好きな作品があれば、是非その人の作品を見に映画館に足を運んでみてください。
『動物暴走教師』
監督・脚本 / 近藤啓介
キャスト
三河悠冴
長村航希
近藤啓介
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