ざっく戦記20241031 〜果てしないおできとの戦い、その末路〜
ざっく戦記とは
ざっく戦記とは、全ての事柄を怒りに紐付け、もはや怒りのパワーで生きているといっても過言ではないざっくこと私が、日々実体のない何かと一人相撲をしている様子を徒然に語ったものである。
果てしないおできとの戦い
どうやら私は人32倍くらいおできができやすい。
おできといっても、恐らく粉瘤の類だと思う。
粉瘤って何?という人は、Youtubeで調べてみるといい。数多の粉瘤手術動画と、それに群がる特殊性癖リスナーたちの気味の悪いコメントがたくさん見られる。かく言う私も謎の中毒性に惹かれている1人ではあるが…照
それはともかく、私の場合なぜかおできができる場所が決まっており、必ず太ももの付け根周辺、股間(陰部)のあたりに2ヶ月に一回くらいのペースでできる。
品のない話であるが、大体パンツの布地が擦れるような位置にできるため、ブツが大きく腫れてしまった場合、万が一にも爆発させないようにそぉ〜っとガニ股で歩かなければならないのだ。
また、ブツが完全に腫れて超・ボルケーノ状態になった場合は仕方なく医者に駆け込むのだが、できる位置の皮膚が薄いせいなのか、はたまた医者の腕なのか、麻酔が一切効かず施術中の痛みがダイレクトに来る。ほんっっっっっっっっっっっっっっっっとうに痛い。激痛なんて言葉では済まされない。
以前、股間のあたりにできたものを切除してもらった際、追加の麻酔を打ってもらったにも関わらず、熱を持ってドクドクしている切り口と、そこをなぞるように往復する鋭いメスの感覚、そこから止めどなく流れているであろうお湯のような血液、指先が痺れ、冷たくなるほどの鋭い痛みが麻酔の壁を突き抜けて私の神経にダイレクトに届くという事態が発生していた。
そこで異常を伝えればいいものを、見栄っ張りの私は痩せ我慢をし、脂汗をかきながら下唇を噛みちぎらんばかりにくいしばり、「多分平安時代の出産はこんなもんじゃないぞぉ…!」と謎の鼓舞で自我を保ったという経験があるほどだ。
今思ってみれば、麻酔が効いてるからこそ、あの程度の痛みで耐えきれたのだと思うが、間違いなく私の今までの人生でNo.1の痛みである。
そんな長年の宿敵、股間のおできであるが、
つい先月も性懲りも無く私の股間で膨れ上がりやがった。
しかも、いつもは1個しかできないのに、なぜか4個くらい無数にできているようで、「これは異常事態だ」とばかりに近場の形成外科に駆け込んだ。
大抵の淑女ならば、医者といえども異性に向かって、自ら大股を広げて局部を見せつけるなんてことは憚られると思うが、おできマスターの私はもう慣れたものである。そんな一時の恥なぞ、今後待ち受けている地獄の責苦のような痛みの前では塵のような存在だ。なんだかさっきからパシャパシャとタブレットで股間の接写を何枚も撮られている気がするが、取るに足らないことである…。
さぁ、頼む、さっさと私を殺してくれ…。
文字通りの「まな板の上の鯉」状態で絶望している私に向かって、タブレットから顔を上げた医師から出た診断結果は、以下のようなものだった。
「これね〜、粉瘤じゃなくて多分、化膿性汗腺炎です」
化膿性汗腺炎とは、膿と痛みを伴うおできが脇やら足の付け根やらにできちゃう皮膚の病気だそうだ。
…なんだか化膿性汗腺炎になりやすい人の例に「肥満」とあるのがちょっぴり気になったが、はっきりした原因や、治療法も定まっていないようなので、粉瘤の治療と同様、今回もおでき部分を切って膿を絞り出してもらうことになった。
治療中の私の描写は割愛するが、歯を食いしばり過ぎて鈍く痛む顎を押さえつつ、心身ともに疲弊し切ってベッドに横たわる私の横で、施術中私の痙攣しながら閉じようとする太ももを押さえつけ、M字開脚を保たせていた看護師が医師に何か耳打ちしているのが見えた。
耳打ちされた医師は「あ〜いいね。」といい、何が始まるのかわからず硬直している私にこういい放った。
「VIO脱毛とか興味ある?」
????????
気に入った患者を漏れなくパイパンに仕立て上げるヤバ変態医者に捕まった、と思ったが、よくよく話を聞くと、どうやら私が冒されている化膿性汗腺炎という病気は毛穴の炎症が原因で、毛穴の炎症というのは毛が引っ張られたりする際のダメージによって起きやすく、そんな邪魔な毛を排除する脱毛は、治療法がはっきりしないこの病気の中でもかなり効果的な治療行為だそうなのだ。(あくまでも私の罹った医者の意見のため、正しい意見とは限りません)
まあ元々いつかは脱毛したいと考えていたし、話を聞くところこちらの病院で医療脱毛ができるとのことだったので、二つ返事で許諾したところ、急に別室に案内された。
「じゃあ、よかったら1回目今日やっちゃいましょうか」
???????????????
さっきまでギチギチに絞り出されて、今も座ってられない程に傷口がズキズキと痛むというのに、この上にさらにレーザーを当てる??
VIO脱毛は泣くほど痛いって友達みんな言ってましたよ????
と、目の前の医師に文句を言えばいいものを、元来の見栄っ張りな性格が勝手に
「はい、お願いします」と口を動かしてしまっていた──。
戦いの末路
脱毛中のことはあまり覚えていない。
心ここにあらず、という状態でつい数分前と同じようなポーズで台に乗せられ、「バチンッッ!バチンッッ!」と怖い音を立てる機器を持った看護師と、「ゴォオオ…」という音がする機器を持った看護師が、満身創痍の私の股間に群がっていた、ということだけしか思い出せない。
気がついた時には、私の茂みは草木も生えない荒れ果てた大地に変わり果てていた。まだ止血しきれていない血の滲んだ絆創膏がはっきり見えて、かなり痛々しい。
なぜか私は、避妊手術後、見るも無惨に腹の毛を刈り取られ、心なしかしょんぼりとしていた実家の愛猫を思い出していた。
あの時は情けねぇ〜wwwとか言って笑ってごめんね。
傷口がズキズキ痛むのと、急な10万円の出費というストレスも相まってか、唐突に精神が不安定になり半ば泣きながら病院を後にした。
すうすうと秋の風を受け、涼しくなった懐と股間を携え、トボトボと帰り道を歩いたのだった。
──あれから1ヶ月半以上経ったが、驚くほど快適である。
医者が出してくれた塗り薬をせっせと塗り、抗生物質をきちんと飲んだおかげか、おできの後もすっかり治り、再発もしていない。
VIO脱毛の効果も抜群で、衛生的にもかなりストレスが減った。
医療脱毛の効果か元々の体質なのか、思っていたより1回目の効果が長続きしており、いまだ私の股間は静かな荒野そのものである。
股間のおできとの争いは、医療脱毛という化学兵器の功によって幕を閉じた。
ただ、ただ、、治療目的なんだから…医療脱毛に保険きいたって…いいんじゃないですかね………
完
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