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2年間の挫折


ある日のバレエレッスン中
回転技(ピルエット)の途中にバランスを崩して尻餅をドン。

こけちゃった〜と呑気に苦笑い。
こんなこともたまにはあるんです。
いつも通りすぐに立ち上がろうとしましたが、今までに感じたことのない激痛。
捻った右足に体重をかけられない!
歩くなんてもってのほか。

これが2年間引きずった怪我の始まりでした。

その日はおんぶで担がれながら救急病院へ。
レントゲンを撮って、骨に異常はないと言われるも、歩けないので松葉杖で帰宅しました。

怪我当時の写真

約2週間、人生で初めての松葉杖生活でした。
当時、海外で一人暮らし中。今思い返すと大変だったなぁ
スーパーに行っても、両手が塞がってて、カゴも持てないんだもん。

1ヶ月くらいで良くなればいいな〜
と軽く考えていました。

でもそんな思いとは裏腹に、
2ヶ月経っても痛くてバレエを踊れない。

早く復帰したい一心で少々の痛みは気づかないふりをしてみるものの、
本当に踊れなかったです。

国立バレエ団専属ドクターと理学療法
スポーツ専門整体
などに通って治療に励みました。
もちろんリハビリ、トレーニングも同時に行います。
が、よくなる気配は一切なし。

日本に帰国し、セカンドオピニオンどころか
5ヶ所以上の病院を周りたどり着いた原因が

骨棘(こつきょく)

骨棘とは、何らかの刺激によって関節部の骨が増殖してできる棘状の外骨腫である。

Wikipediaより引用
ピンクの丸: 棘状にできた骨

手術で棘状の骨を取らないことには痛みは消えないと言われ、すぐに手術の段取りに。

あいにく、準主役を任されていたはずの学校公演当日に手術でした。

手術は無事成功

素人の目にも分かるほど骨は綺麗になくなっていました。
しようと思えば翌日にでも退院できましたが、
病院でのリハビリに励むため1ヶ月半入院生活。
隣接されたジムにも毎日通いました。
もう踊れる日がそこまで近づいてると思えば、何も苦しくなかったです。

手術をして2ヶ月後には、万全ではないものの
留学先へ戻り、復帰に向けてトレーニングを開始していました。

が、、

まだ術後の痛みが残る。
ただしばらくは「少し痛むかも」と言われていたので、焦る気持ちを落ち着かせ、ペースを落としながら復帰を試みました。

そんなこんなで気がつけば怪我をして9ヶ月、術後4ヶ月。
びっくりな出来事が。

アメリカの大きなバレエ団、
そのジュニアカンパニーに入団決定!!

えーーーー!!
なんで私がー!!!

信じられない急展開にバタバタ焦りつつも
怪我を乗り越えた甲斐があったと、
毎日本当に嬉しかったです。
この時のために頑張ってきたのだと。
入団まで、足の調子と相談しながらも、たくさん練習に励みました。

大好きだった学校を中退し、
いざプロの道へ。

バレエ学校の時とは比べものにならない練習量でした。

朝9時からトレーニングスタート。
30分のランチ休憩を挟み
18時近くまで踊り続ける。
その後、必要があればトレーナーと個人トレーニング。

私の足はそんな運動量に耐えられず

入団後1ヶ月で降板

また病院通いの日々です。

みんなはバレエ。私は1日中座って見学。

同じバレエ団のメンバーにも、
手術したんでしょ?
よくなったんでしょ?
と聞かれ、

今度はお医者さんにまで
何も問題ありません
と言われました。

原因不明の怪我

レントゲンやMRIなど目に見える結果に問題がなければ、当然痛みは引いているのだと思われてしまいます。

そんな雰囲気に耐えられず、
よくなりました。痛みもマシになりました。
と、嘘をついてみても
たったの2日でギブアップ。

涙が出るほど痛い。

地獄のような日々でした。
周りからの目線、
踊れない自分への苛立ち、
原因不明で治療方法も分からないことへの不安

10年以上続けてきたバレエを、
本気で辞めようと思いました。

同じタイミングで、監督にも日本でゆっくり治療しなさいと言われ
夢に見た大きなバレエ団を離れ、帰国しました。

その後執刀医に診ていただき、治療するも良くなる兆しなし。

怪我から1年半、術後1年と少し

初めて親に泣きながら
「バレエを辞めさせてください」

と言いました。
バレエを辞める選択は本当に悲しかった。
今までの努力が全部無駄になる気がした。
でも、痛い思いをし続けるのはもっと辛かったです。

けど、、

悲しそうな母の顔。
やっぱり思い入れのあるバレエ。

辞めたい意思はありながらも
たまーにトレーニングをしてみたり、
気分転換に、その時ちょうど興味があったリフォーマーピラティスへ通ってみたりしました。

そのピラティススタジオの担当トレーナーに勧められたのが、ヨガ。
1時間のプライベートトレーニングの内容は
リフォーマーピラティスとヨガをそれぞれ30分でした。

リフォーマーはもちろん、毛嫌いしていたヨガも、案外楽しかったんです。

そしたら本当に衝撃。

足の痛み、なくなった

え?嘘でしょ?
あんなに痛かったじゃん。
何十件も病院と整体に通ったじゃん。
原因さえも不明だったじゃん。

きっと普段しない動きの中で
身体が整えられていったのでしょう。

この時から今もずっと、ピラティスとヨガを続けています。

たった数回のレッスンで呆気なく痛みとお別れし、その後バレエも再開。
そして怪我をして2年と2ヶ月後。

ついに舞台復帰を果しました。

まさかまた舞台で踊るなんて、怪我真っ最中の私は思いもしませんでした。

のんびりでも治療を進めていてよかったなと。
あと、母のあの顔を見なければあっさり辞めていたかもしれません。

怪我は痛み以上に精神的にしんどいものです。
自分の役が目の前で奪われていき、
みんなが楽しそうに踊るのをただじっと見ていないといけない。
自分の体なのに、どうして自分の力で治せないのだろうと何度も思いました。


2年のブランクはやはり大きかったですが、
舞台復帰の半年後には

ヨーロッパで現役復帰

またプロとしての道を歩んでいけることになりました。

初めて味わった挫折、
この経験からたくさんのことを学べました。

  • 人の温かさ

  • 家族の優しさ

  • リフレッシュすることの大切さ

  • 視野を広く持つこと

  • 日々のトレーニングの重要さ

  • 健康でいられることの幸せ

書き始めるとキリがないですが。

たくさんの人に支えられているんだなと
そして応援は何よりの活力になるんだなと思いました。

そして、この怪我を味わったからこそ
いざ友達や大切な人が落ち込んでいる時に
そっと手を差し伸べれる人でありたいなと思います。


実は今も怪我中なのですが(苦笑)
焦らず、ゆっくり治していこうと思います。


最後まで読んでくださって、ありがとうございました。
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