澄まして

先日、
「最近あった小さな感動」というテーマで話をする機会があって、私はこの前のすごく雪が降った時のことを思い出した。


3週間ぐらい前、
ここ数年で稀に見るぐらいらしい大雪が降って、降り続いた。

部屋の中でも、息が白くなって、こたつの外に出ている手の指先が赤くなるほど、寒くて、

お腹が空いてぐーぐー鳴ってるのに、なかなか『食べよう』って体が動かなくて、そのまま、すごくお腹が空いたまま数日が過ぎた。

もうそろそろやばいかもと思って、
動きたくない体を動かしてキッチンに行って、

白菜と油揚げとしらたきと冷凍の水餃子、そしてプチっとな(塩鳥出汁)を、雑に切って鍋に放り投げて、

火をつけて
待って

鍋からシュー!って水蒸気が噴き出てきたのを見て
ぐつぐつした鍋をこたつまで持って行って

あっつあっつの鍋を
食べた。


材料を切って放り投げただけの「料理をした」とは言えない料理だったけど、

あっつあっつの
くしゃっとした白菜
じゅわっとした油揚げ
出汁の薄味が染みてるしらたきを

口に入れて胃に入れたら、

熱さと何かが
空腹と冷たいからだの五臓六腑に染み渡って、
体の奥のほうからじわっーと
美味しい、って気持ちが込み上げてきた。


それは、研ぎ澄ますことでしか得られない、小さな感動だった。


物や情報とか色々色々なもので溢れている今日。

目を、耳を、鼻を、口を、肌を、心を、
澄ましていきたい、って思った。





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