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連載小説「出涸らしのティーバッグ」第1話
あらすじ
人生を賭けた恋が終わった鈴木澪は、コロナ禍で婚活を始める。職場に持病のある上司と同僚がいるため、感染防止対策が徹底されていて、他者との接触を極力控えなくてはならない。
澪はその状況をプラスにしようと決意する。婚活アプリに登録し、メッセージや通話、ZOOMを活用してたくさんコミュニケーションを取り、相手を知ろうと試みる。制約した状況下でのもどかしさはあったが、澪は相手との濃密な対話を通し、自分が結婚生活に求めているものを明らかにする。
1-1
カーテンの隙間から朝日が一筋射している。額を温める春の陽に、私は目を閉じたまま眉根を寄せる。鳥のさえずりが夜明けを告げる。朝日は、明けない夜はないという安堵とともに、また一日が始まる絶望も運んでくる。人生を賭けた恋が終わった現実は、目覚めた瞬間、高波のように全身を飲み込む。
仕事のない休日の朝は、すぐにベッドから出ないと、そのままだらだら寝てしまう。枕元の体温計を脇にはさみ、体温に異常がないことを確認すると、「それっ!」と掛け声をかけて身を起こす。寝ぼけ眼でキッチンに向かい、水で満たしたやかんをコンロにかける。青い炎をぼーっと見ているうち、空気を切り裂くホイッスル音が1Kの部屋に鳴り響く。ガスを止め、黒豆茶のティーバッグを入れた透明のカップに熱湯を注ぐと、湯は瞬時にこげ茶色に染まる。立ったまま、ゆっくりと時間をかけて一杯目を味わう。黒豆の香ばしい香りとほんのりとした甘さが、体をじんわりと温め、額が微かに汗ばむ。
空になったカップに、もう一度熱湯を注ぐ。ティーバッグは、渾身の力で熱湯を染めようとするが、一杯目ほど鮮やかな色は出ない。カップを揺らしても、ティーバッグをつまんで上下させても、湯は弱々しく染まるだけ。もう出し尽くしたと言いたげに。
枕元に置いていたスマホがLINEの着信を告げる。会社同期の彩子と竹内くんとのグループLINEだ。
竹内翔真:
おはよう! 今朝は朝からランニングしてきた。マスクしてると酸欠になりそう(+_+) 本社は相変わらずコロナ対策でテレワークだから、走らないと太る( ;∀;)
水沢彩子:
おはよう!! ランニング、お疲れ。
彩子に続き、私もすぐに返信する。
鈴木澪:
おはよう。私も外の空気吸って目を覚まそうかな。まだ眠い(-_-)zzz。
竹内翔真:
あのさ、本社営業部の笠原さんが新型コロナに感染して、後遺症で苦しんでるらしい。倦怠感がひどくて、起き上がってトイレに行くのも億劫だって。味覚が戻らなくて、珈琲の味さえわからないらしい。コロナ、マジ怖いな。
数か月前まで、本社の営業部で笠原さんと机を並べていた私の心臓は、氷を押し付けられたように縮みあがる。有名人が新型コロナウイルスに感染して亡くなったことが報道され、怖さは知っていたが、近くまで迫ってきたことを実感させられる。
水沢彩子:
笠原さんって、私たちと同じくらいの齢だよね!?
鈴木澪:
私たちの1歳下で今年32歳。
水沢彩子:
その年齢でも重症化するんだ……。笠原さん、良くなるといいね。本社はぴりぴりしてるんじゃない?
竹内翔真:
そうなんだよ。可能な限りテレワーク、会食厳禁、出張禁止が徹底された。毎日家でパソコンに向かう生活には慣れたけど、人に会えないのは寂しい。顔合わせて話せるのは、同棲中のすずだけ。北関東事業所はどう?
水沢彩子:
狭いオフィスに4人だから気を遣うよ。所長の黒沢さんが糖尿病で肥満気味、先輩の矢島さんが気管支喘息持ちで、感染して重症化するのを怖がってるんだ。
竹内翔真:
それじゃあ、本社以上にぴりぴりするね。
そういえば、フィギュアスケートの羽生結弦選手も喘息持ちで、去年のグランプリシリーズ欠場したな。コロナの後遺症で競技を続けられなくなったフィギュア選手もいるみたいだし、三連覇狙う羽生選手が慎重になるのわかるな。
ところで、鈴木さん、北関東の仕事慣れた?
鈴木澪:
彩子が丁寧に教えてくれたから、もうすっかり。久々の車の運転は大変だったけど、だいぶ慣れたよ。
水沢彩子:
すーちゃんが超使えるから、私は安心して月末に退職できるよ。
竹内翔真:
寂しくなるな。オンライン診療システムを開発する医療系ベンチャーだっけ? 水沢さん、シスアド持ってたもんな。
水沢彩子:
そう。
竹内翔真:
この時期、めちゃくちゃ需要ありそうだな。コロナでいろんな業界が打撃うけてるけど、業績を伸ばしてるところもあるんだな。
水沢さんが辞めちゃうと、同期で残ってるのは俺と鈴木さんだけか。
水沢彩子:
会社辞めても、今まで通り同期会に誘ってくれる?
鈴木澪:
当たり前じゃん! 近いうち、またやりたいね。
竹内翔真:
また、ZOOM飲みかな……。飲み会はコロナ収まるまでお預けか。何か最近、コロナ収まったらあれしよう、これしようばっかりだな。
コロナ前はよく飲んでいた私たちだが、昨年は一度も会食できず、忘年会もZOOM飲み会だった。いつまでこの状態が続くのかと暗澹とした気分になるので話題を変える。
鈴木澪:
竹内くん、結婚の準備進んでる?
竹内翔真:
すずの福岡の実家に結婚の許可をもらいに行けないんだ。持病がある祖父母がいるから遠慮してくれと言われてる。調布にいる俺の両親には挨拶に行ったけど、両家の顔合わせをするまでは入籍するなと念を押されてる。予想外の事態に、明るかったすずが鬱気味になって、俺もストレス溜まってる(*_*;
水沢彩子:
ストレス溜まるのはうちも同じだよ! 私の両親に透との結婚を反対されてるから、2人で実家に何度もお願いに行ってるけど、この状況で来るなんて非常識だと追い返される始末。透との結婚に反対するためにコロナを利用されてる<`ヘ´>。
鈴木澪:
もう少しの辛抱だよ! 2人の結婚式に出るの楽しみにしてるよ!よい週末を(^^)/
私は幸せな二人に気を遣わせまいと、自分に話が及ぶ前にLINEを終了する。入社して以来、苦楽を共にしてきた同期だが、結婚に足を掛けた二人と見えない溝ができてしまった。古くから古今東西の小説で扱われてきた「結婚」という月並みなテーマに、自分が向き合わされる現実に気が滅入る。
竹内くんは、巣ごもり生活のなかで、別れを考えていた同棲中のすずちゃんの魅力を新たに発見し、婚約に至った。
彩子はコロナ禍で元彼に振られたが、別れ話をされた店で働いていた13歳年上の透さんと恋に落ちた。彩子は、コロナ禍で新しい出会いが難しかったからこそ、透さんと真摯に向き合い、数多の障害を乗り越えて幸せを掴んだ。
同期2人に幸福を運んできたコロナ禍は、私の人生をかけた恋に終止符を打った。将来を誓っていた彼は、コロナ感染への不安で強迫症を発症した奥様のもとに帰っていった。
取り残された私は、コロナ禍で婚活市場に乗り出した。人との接触を減らすことが推奨される状況で婚活をしていいかという疑問は頭から離れない。それでも、結婚して子供を持ちたい私にはリミットがある。できることをして、少しでも前に進みたい。
1-2
最初に会ったのは、会社の矢島さんが紹介してくれた金物部品の製作所を経営する幸一さん(37歳)だった。彼女が会社の事情を事前に伝えてくれて、幸一さんは感染防止に配慮して会うのを了承してくれたと聞いていた。
電話では話が弾んだ。幸一さんは、中高で野球部に入っていたので、今でも当時の仲間と草野球に励んでいると夢中で語ってくれた。その仲間が仕事を依頼してくれるらしい。私は、子供のとき体操教室に通っていたので、その延長で中高は体操部だったと話した。彼の良く通る低音は耳ざわりが良かった。饒舌な人らしく、沈黙で気まずくなることもなかった。
感染に注意して会うことを確認して電話を切り、待ち合わせ場所のコンビニで彼を待った。初対面の男性とのデートは初めてだったが、電話で話した親近感が緊張を和らげてくれた。数か月前まで、妻子ある方と真剣交際していた私は、人目を気にせずに会えるのが新鮮だった。
白い軽自動車で迎えにきた幸一さんは、ぎょろりとした三白眼が目立つ中肉中背の男性だった。作業着姿に驚いたが、着替える暇もないほど忙しかったと割り切ることにした。
彼は車を発進させるとすぐにマスクを顎まで下げた。助手席の私は、密室なのにと驚いた。指摘するのは気が引け、換気のために窓を少し下げた。
「友達がやってるラーメン屋があるんで、そこ行きましょう」
初対面がラーメン屋さんと聞いてぎょっとしたが、百歩譲って目を瞑る。地方都市なので、東京カレンダーに出てくるような店は端から期待していない。けれど、個室のある店や、テーブル間隔を開けて感染防止対策に力を入れている店は山ほどある。女性が喜ぶお洒落な店だってたくさんある。軽く扱われている悔しさと悲しみが、胸に波紋を描くように広がっていった。
「ラーメン大好きです。でも、ゆっくりお話しできる雰囲気ではありませんよね。その後、どこかでお茶でも?」
飾らない人なのだろう。だが、この年齢で、回転率を気にする店での長居が迷惑だと考えが及ばないのだろうかと思ってしまう。
「友人の店なので気遣い不要です。話はちゃちゃっと済ませましょう」
「あの、感染防止対策がしっかりしているお店でしょうか? うちの会社に持病のある方がいるので、感染しないよう注意しなくてはいけないんです。電話で確認しましたよね」
彼は立て続けに口を挟まれたのが不快なのか、角のある言葉を返してきた。
「前に行った時は、入口にアルコールが置いてありました。都会暮らしが長い人は神経質ですね」
揶揄するような口調にむっとし、角の立たない言葉を選んで反論した。
「自分は大丈夫だとしても、高齢者や持病のある方など、重症化リスクのある人を守るために、神経質になることもありますよね。そのことに都会も地方もないと思います」
「うちは、家族でやってる零細企業なので、そんなこと言ってられないんですよ。高齢のじいちゃんも両親も、毎日仕事場に出てます。そうじゃないと、食ってけないんです」
幸一さんは「そんなに神経質になるなら、家にこもっていればいいのに」とぼそっと言った。その言葉は真実が持つ力で私の胸を刺した。
幸一さんがラジオをつけた。皮肉にも、感染力の強い変異株が確認されたことを告げるニュースが流れた。
彼の事情を考慮しない発言をしたのは申し訳なかった。だが、そもそも、感染防止に配慮して会う約束だった……。まあ、私が感染防止対策のしっかりした店を予約すると言わなかったのが悪いと思うことにした。さっきから、彼を悪者にしない言い訳を考え続けている自分に気づいた。
ラーメン屋さんはカウンター8席だけのこじんまりとした店だった。コロナ対策がしっかりしていることを期待したが、入口にアルコール消毒液が置いてあり、カウンター席に仕切りのアクリル板が入っているだけだ。厨房とカウンター席の間にアクリル板やビニールカーテンはない。空気清浄機はなく、客席の換気扇も稼働していないので、空気がこもっていた。
それぞれ食券を購入して席につくと、幸一さんは同級生だという店主と、カウンター越しに小さくない声で話を始めた。マスクをしているとはいえ、調理中に話し続ける店主にも違和感を覚えた。カウンターの端に座っていた年輩男性が、咎めるような視線を2人に投げるのを横目で捉え、彼に激しく共感した。
彩子の婚約者の透さんがピアニスト兼歌手として勤めているカフェ「フェルセン」と比較してしまう。フェルセンは入口に自動検温機付きの足踏み消毒液スタンドが設置されている。店内は空気清浄機が何台も稼働している上に、換気もこまめだ。テーブル席とカウンター席にはアクリル板、カウンター席と厨房間にもアクリル板が入っている。各テーブルとカウンター席には、小瓶のアルコールスプレーが置いてある。メニューの閲覧と注文は原則QRコードを読み取って行い、紙のメニューは抗菌素材を使っている。透さんは飛沫が飛ぶリスクがあるので歌を控え、お客様の声援も禁止されている。お客様が帰ったら、テーブルや椅子をアルコール消毒している。
本音を言えば、帰ってしまいたかったが、紹介してくれた矢島さんに悪いので我慢する。
「あなたがコロナを気にしてるので、手短にこちらの希望を伝えます」
幸一さんは、味噌野菜チャーシュー麺をすする合間に話しだした。
「うちは、三代続く家族経営の零細企業です。嫁に来てもらう人には、うちの事務をしてもらいます。それが無理なら難しいです」
その条件は受け入れてもいいが、大切なことを聞いておきたかった。
「あの、住む場所はどうなりますか?」
「俺は長男です。長男の嫁が同居するのは当然でしょう。ばあちゃんもおふくろもそうでした。家があるので、家賃がかからなくてお得ですよ」
幸一さんは箸でチャーシューをつまみながら、悪くない条件だと言いたげな視線を送ってくる。
「ご両親に介護が必要になったときはどうするのでしょうか?」
「当然、嫁がするんです」
彼は間髪入れずに答え、れんげでスープをすする。
「仕事をしながら介護も? 子育てだってありますよね……」
「大変かもしれませんが、同じ家なのでどうにかなるでしょう」
「そうなったとき、協力してくださいますか?」
「まあ、考えてみます。ばあちゃんやおふくろは一人でやってましたけど」
手伝わなかった祖父や父を見てきた彼が協力してくれるとは考えにくい。
「私があなたのご両親を介護するとしたら、あなたは私の両親の介護に協力してくださいますか? 私は一人っ子なので、両親の世話をするのは私しかいません」
「嫁いだら、その家の人間になるんでしょう。嫁っていうのは、家の女と書くんですよ」
幸一さんは、麺を口に入れたまま、口元をおさえずにまくし立てた。吐いた息で仕切りのアクリル板がほんのり曇った。
なんて一方的で、時代錯誤なのかと反論する気も起らなかった。これ以上、話を続けても不毛なだけだろう。野菜ラーメンの味はまあまあだが、さっさと切り上げたくて、ひたすら箸を動かした。
話に聞き耳を立てていた店主が口を挟んできた。
「お姉さん、幸ちゃんは優良物件ですよ。この辺りでは有名な製作所の所長さんですよ。小学校のときから、いつも学級委員で、先生方も彼に任せておけば安心でした。頼りになりますよ」
「中学の頃は、やっくんといろんな奴にちょっかいだして、泣かしたり、切れさせたりしたよな。とろい奴をいじると、クラス中が笑ってくれたよな。あ、このあいだ、すごい久々に鍋っちに会ったぜ。『大学の先生になったんだって?』と声掛けたら、冷たい目で『どちら様ですか?』って言われちまった。まだ根に持ってるなんて本当暗い奴だよな」
「幸ちゃん、やった方はすぐに忘れちゃうけど、やられたほうはずっと根に持つらしいよ。関わらないにこしたことはないよ」
店主は言葉を切り、私に話しかけてくる。
「でも、お姉さん、本当に面白かったんですよ。幸ちゃんと俺は、幼稚園のときから中学まで鍋っちっていう奴をからかい続けたんです。それほど、おもろい奴だったんですよ。今思い出しても爆笑ですよ」
二人はカウンターを挟み、ひゃっひゃと思い出し笑いをした。
自分がスクールカーストの上位にいたとアピールしたいのだろうが、こんな不愉快な話を私が面白がるとでも思うのだろうか。同級生だったら、虐めのターゲットになっていたであろう私には、不愉快極まりない話だ。いい歳をして他人の気持ちを考えられず、考えの古い彼とは、もう一秒も一緒にいたくなかった。
「すみません。私、いろいろ合わないところがあるので難しいと思います。今日はお時間をいただき、ありがとうございました」
私は店主と幸一さんに「ラーメン、美味しかったです。御馳走様でした」と丁寧にお辞儀をして店を出た。彼らの反応を確かめる気も起らなかった。
つけていたマスクを交換し、喉をスプレーで除菌した。携帯するアルコールジェルで手指を入念に消毒した。はやく、家に帰って、手洗いうがいをし、シャワーを浴びて着替えたかった。
1-3
水沢彩子:
何それ! 初対面なのに、作業着でラーメン屋さんなんてありえない。ドッキリなら面白いけどね。全然すーちゃんの話聞かないで、自分の希望だけ一方的に押し付けてる人なんか、断って正解だよ。
話を聞いた彩子がZOOM越しにまくしたてる。
鈴木澪:
この辺りって、長男の嫁が同居して、ワンオペ育児、義両親の介護が当たり前なの? だとしたら、彼が異常なわけじゃないよね。私の地元にも、そういう地域が残ってそうだから、理解できないわけじゃないけど。
水沢彩子:
まあ、ここ以外で一度も暮らしたことがなくて、視野が狭い人がいるのは否定できないかな。私もたまに、ついていけなくなることあるし。
でも、今は結婚しても仕事を続ける女性が多いし、たいていの家庭は分担してるよ。上の世代は考えが古いかもしれないけど、私の友達の若い夫婦は自分たちのやり方を見つけてるよ。
鈴木澪:
そっか。うちの地元にも、そういう昔の価値観が当たり前のところがあるかもしれない。
今回は、自分が結婚生活に何を望んでいるかが明らかにできたことだけは収穫だった。私はできれば仕事を続けたいし、夫婦で家事や育児を分担したい。親との同居とか介護は、その都度、夫婦で話し合って決めたい。
竹内翔真:
さすが鈴木さん、ポジティブだね。俺、そんな奴、絶対に友達になりたくないよ。
水沢彩子:
紹介者の矢島さんには何て言うの?
鈴木澪:
せっかく紹介していただいたのに申し訳ないけど、合わなかったとだけ伝える。彩子も何も言わないでね。
水沢彩子:
了解。気まずくなったら困るからね。
竹内翔真:
鈴木さん、次はアプリで探したら? 今は、お見合いパーティーとか街コンもあまりやってないらしいし、やってても感染リスクあるし。
竹内くんが身を乗り出し、真顔で提案する。
竹内翔真:
アプリなら、自己紹介で自分の希望を書けるし、それに興味を持ってくれた人とマッチングできるから効率いいよ。コロナ前だけど、俺が同じアウトドア派のすずと出会えたのもアプリのおかげ。
水沢彩子:
たくさんの人に会うのが難しい今は、アプリが効率いいかもね。透には内緒だけど、私もやればよかった(´∀`*)。マッチングしたら、LINEでつながれるの?
竹内翔真:
俺とすずは、アプリのチャット機能でやりとりした後、個人的にLINE交換した。LINE通話で、合いそうなのを確認してから会った。
鈴木澪:
確かに、自分の希望を書いておけば、今回のようなミスマッチは避けられたと思う。挑戦してみるよ! ありがとう(^^)/
古い世代の私は、オンラインでの出会いに抵抗がある。だが、コロナ禍で効率的に出会うには、これ以上の手段はない。
子供の頃、国語教師だった父が話してくれた平安貴族の恋愛事情をふと思い出す。男性は、女性の寝所に忍んでいって顔を見る前に、女性と文を交わした。彼らは、文の内容だけでなく、手跡、墨色、紙の色や種類、文を結ぶ草花、文が届く早さなどから相手を知ると聞いて、雅だとわくわくした。
現代は、会う前に、そんなまどろっこしいことはしない。
だが、コロナ禍で人との接触の自粛を求められているいま、会う前にメッセージ交換や通話、ZOOMでコミュニケーションをとり、相手を深く知ることができる。
いまは平安貴族よりは遥かに多くの情報を得られるが、すぐに会って結論を出してしまうよりも、相手を多面的に知ることができそうだ。会う前と後のギャップはあるかもしれないが、第一印象だけで判断してしまうよりもずっと良い。
会う前に濃密なコミュニケーションをとることで、思いがけない縁が生まれることも、逆に失われてしまうこともあるだろう。それも、この時期に婚活をする運命かもしれない。本当にご縁がある人とは、うまくいくはずだと信じたい。