タスクシュートのマンネリを打破する - 新たな使い方と工夫
タスクシュートのマンネリを打破する - 新たな使い方と工夫
タスクシュートを長く使い続けていると、時にはマンネリを感じることがある。そんなときにどう向き合い、どのように再びタスクシュートを効果的に使えるようになったのか、今回はその実体験をもとに紹介する。
1. マンネリを感じた時期とその背景
最初にマンネリを感じたのは、2020年8月から9月にかけてのことだ。タスクシュートを使って記録はとっているけれど、なんとなく記録から手触りや達成感が感じられなくなっていた。惰性でログをとっているような感覚があり、気持ちがいまいち入っていなかったのだ。
漠然と「これじゃない」という感覚がある中で記録を見返してみたところ、たしかにやったことのタスク名と時間は残っているものの、その時の自分の感情や考えが見えてこないことに気づいた。そこで、記録の取り方を再検討し、一時的にツールを変えてみることにした。このとき選んだのが、スマホで使える「たすくま」だ。たすくまはログ機能が充実しており、細かい記録を残すことができる。たすくまを使って、なるべく自分の感情や考えを記録し、うまくいかなかったことについても細かく書くようにした。
この取り組みを通じて、自分の感情と向き合うことができるようになり、記録を見返したときも、ドライなリストではなく、感情が伝わるウェットなリストになった。これにより、記録に実感がもてるようになり、自分がやってきたことや感じたこと、考えたことがしっかりと積み重なっているという感覚が生まれた。結果として、タスクシュートを使う意義を再確認できたのだ。
次にタスクシュートとの距離ができたのは、2022年から2023年にかけての時期だ。この時期は、目の疲れがひどくなり、スクリーンを見ていられない時間が長くなったため、仕事以外の時間ではタスクシュートを使わなくなった。目の疲れがましになっても、毎日の生活にタスクシュートを取り入れるのが億劫で、しばらくは仕事のときだけしか使わない期間が続いた。しかし、2024年2月に100日チャレンジに参加したことをきっかけに、タスクシュートを朝も夜も平日も休日も、フルで使うようになった。
「先送り0」や「1分着手」といった考え方を取り入れたことで、無理なくタスクシュートを使うことができるようになり、仕事以外でもタスクシュートの恩恵を感じられるようになった。
2. マンネリ打破のために試したこと
マンネリを打破するために、いくつかの方法を試してきた。
まず、タスクシュートに対する新たな視点を得るために、本やブログ、noteを積極的に読んだ。特に、モード設定やプロジェクト設定、タスクの粒度、タスク名の工夫など、他のユーザーがどのようにタスクシュートを活用しているかを参考にした。これにより、ちょっとした悩みや飽きが出てきたときに、新しいアイデアを取り入れることができた。
次に、記録術やノート術に関する書籍やブログを読んで、記録に対する意識を高めた。倉下忠憲さんの『ロギング仕事術』は、特に影響を受けた本のひとつだ。これにより、記録の重要性や記録の粒度について考え直すきっかけになったが、タスクシュート以外のツールにも意識が向いてしまい、タスクシュート自体の使用頻度が下がる結果にもなった。
最も効果があったのは、タスクシュート協会主催の100日チャレンジへの参加だ。最初の参加では特に目的を持たずに始めたが、他の参加者の声やアドバイスを受ける中で、少しずつ自分を肯定できるようになった。ここで学んだのは、記録を否定的に捉えないことだ。2度目の参加では、目標を決めて取り組み、タスクシュートを使って行動に移す効果をより強く実感した。
ツールの変更も試みた。これは、意図的にやったこともあれば、職場環境の変化に伴って変更したこともある。特性の異なる別のツールを使ってみることで、タスクシュートを使う体験がまた違うものになる。Excel版には記録の見返しやすさ、分析のしやすさがある。たすくまはテキストメモのほか写真も残すことができ、記録が充実する。TaskChute Cloudはマルチデバイスでどこでも使いやすく、習慣化トラッカーなど実行を後押しする工夫がある。最近では手帳版やNotion版などもでてきている。いろいろ試してみて、自分の環境や求めるものにフィットするツールを選びたい。
3. 新しい使い方や工夫を見つけたきっかけ
一番影響を受けたのはタスクシュート協会主催の100日チャレンジだった。「先送り0」「1分着手」などの基本のほか、コミュニティーを通じて、未実行タスクや先送りタスクへの対応なども変わった。未実行のタスクについては、思い切ってすべて消すか、過去に残したままにしておくことで、タスクの重荷を感じずに次に進むことができるようになった。また、先送りが発生しても気にしないようにした。その時の状況でできないこともあるが、その分別のことができたと捉えることで、ストレスを感じることが減った。
また、書籍やブログから学んだのは、タスクの粒度を細かくしすぎないことだ。細かすぎると、後から見たときにわかりにくく、振り返りがしづらくなる。また、予定通りにいかないことにどう反応するかは自分次第であり、必ずしも怒りやストレスで応じる必要はないと気づいた。全力で依頼に応えるというやり方も学び、自分の仕事への取り組み方が変わった。
職場環境の変化でツールを変えた際には、新しいツールを使うこと自体に楽しみと新鮮味があり、リフレッシュ効果があった。ルーチンがリセットされることや、プロジェクト、モードなどを今の自分に合わせて刷新できる点も、非常に有益だった。
4. 現在取り入れているタスクシュートの新しい運用方法
現在、100日チャレンジや書籍『先送り0』で学んだ「先送り0」と「1分着手」を意識した運用を続けている。具体的には、毎日先送りの数を数え、1分でも着手すればタスクを実行したと見なしている。また、その結果をコミュニティに投稿することも続けており、継続的に振り返りができている。
また、プロジェクト数を減らすようにしている。個人的な活動についてはプロジェクトをつけなくなった。読書や趣味のようなプロジェクトをなくしたことで、毎回プロジェクトを選ぶ手間がなくなって、運用負荷が軽減し、記録も少し早くできるようになった。
さらに、テキストエディタにタスクシュートの要素を取り入れてみたりしている。テキストエディタはとにかく軽量で、素早く記録できるため、感情や思考をさくさくと残していくのに向いている。開始時刻、終了時刻、タスク名を打刻していくという極単純な運用だ。時間をそれほど気にしなくて良くて、サクサク記録だけしたいというような時は、これでもいいかなと思っている。
5. 他のツールとの組み合わせ
自分は、一つのツールに一元化するより、領域ごとに使いやすいものを使うことが多いので、タスクシュートと他のツールを組み合わせながら運用している。
Simplenoteは、いつかやりたいことリストの管理に活用している。思いついたアイデアややりたいことを随時書き加えていき、興味がなくなったものは消している。Simplenoteは単なるテキストエディタなので、リストが増えすぎると一気に見づらくなる。だから、必要なくなったら消すというのを徹底している。このほどよい制約のおかげでタスクが増殖するのを防げている。Simplenoteに一時待機させることで、タスクシュートにやりたいけれど、やらないタスクが溢れることを防ぎ、シンプルな管理が可能になっている。タスクシュートに取り組む余裕があるときに、Simplenoteからやりたいことをピックアップして実行するという流れが非常に効率的だ。
他にも、「日記」というアプリを活用して、タスクシュートのログを振り返りつつ、先送り数と簡単な日記を記録している。これにより、過去の記録を見直しながら、積み重ねてきた成果を感じることができる。
また、プロジェクト管理においては、NotionやGoogle Slide、Google Spreadsheetを併用している。タスクシュートはタスク管理に優れているが、プロジェクトの進捗管理や工数管理には向いていないため、これらのツールを使って全体像を把握しながら作業を進めている。これにより、判断がしやすくなり、タスクシュートとの併用で仕事の効率が向上している。
まとめ
タスクシュートのマンネリを感じたとき、重要なのは柔軟な対応と新しい視点を取り入れることだ。ツールを変更したり、本やブログを読んだり、コミュニティに参加したりすることで、行き詰まりを解消するきっかけが得られ、タスクシュートを再び効果的に活用することができる。次回の記事では、さらに具体的なタスクシュートの使い方や工夫を掘り下げて紹介する予定だ。