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できていることを認め合う

「できないことを嘆くより、できていることを認め合う」


この言葉は、福岡県にある 立花高校の齋藤眞人校長がよく講演で話されるフレーズであり、立花高校が一番大切にしている考え方です。約8割の生徒が不登校経験を持つ立花高校では、生徒が「苦手なことを苦手なまま安心していられる」環境を大事にしています。この学校には、生徒への愛情からくる配慮が随所に見られます。


子どもへの配慮が形になった校内環境

例えば、校内の椅子や机には音に敏感な生徒のためにテニスボールが装着されていたり、教室にはアナログ時計とデジタル時計の両方が設置されています。これらは、時計を読むのが苦手な生徒への配慮です。
「君は君のままでいいんだよ」というメッセージは、言葉だけでなく、制度や環境のすべてに浸透しています。この学校の姿勢は、家庭にも応用できるのではないでしょうか?


「他の子との比較」という親のクセ

私たち親は、つい他の子と自分の子どもを比較してしまいます。小さい頃は「うちの子はまだ歩かない」「言葉が遅い」など発育について一喜一憂しがちです。そして、他の子より遅れている部分を見つけると、そこを補おうと必死になります。「親として当然のことでしょ?」とよく言われますし、親の責任のようにも思えます。ですが、ここに注意が必要です。子ども自身が「できるようになりたい!」と前向きな意欲を持っている場合には、その背中を押すことは大切です。しかし、親だけが「これではダメだ」と焦ると、子どもに不要なプレッシャーを与えることになります。


「できて当たり前」という危うい世界

幼い頃、子どもが初めて立ったり歩いたりした時、「すごいね!」と大げさに褒めていた私たち親も、子どもが成長するにつれて、「できて当たり前」という基準に変わっていくことがあります。そして、できない部分が目につき始めると、気になる点ばかりに目が向き、できないことを埋めることに躍起になってしまいます。時には、「自分の育て方が悪かったのだろうか?」と自責の念に駆られることもあるでしょう。


「君は君のままでいい」と伝える意味

「君は君のままでいいんだよ」という言葉には、子どものすべてを受け入れ、その子の得意な部分を見つけて伸ばし、苦手なところをそっと補うという思いが込められています。この姿勢が、子どもの自信を育む土台となるのです。
たとえば、親が「苦手でも大丈夫だよ」と声をかけることで、子どもは少しずつ「自分でもいいんだ」と思えるようになり、安心感を持って挑戦し始めるかもしれません。


家庭を「安心できる場所」にする大切さ

立花高校のような環境を家庭に置き換えると、子どもにとっての快適な空間が作れます。「できない部分」にばかり目を向けるのではなく、「できている部分」を認める。そして、子どもが自然体でいられる家庭こそ、子どもが自信を持ち、成長していくための土壌になるのではないでしょうか。家庭が子どもにとって最も安心できる「居場所」や「空間」であるように願っています。

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