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子どもを「比べる」ことから自由になるために

私たちは子育てをするとき、子どもにたくさんの愛情を注ぎます。しかし、子どもが成長するたびに、「できること」「できないこと」に一喜一憂してしまうことがあります。

それは、いったい誰と比べているのでしょうか?

思い返してみると、赤ちゃんの頃からすでに比べることが始まっています。育児書に書かれた「○ヶ月の赤ちゃんの発達目安」と自分の子を比べ、公園や児童館では周りの子と比べる。そして、幼稚園や保育園では、「うちの子、他の子と比べてどうだろう?」と気にするようになります。

さらに、幼稚園の先生や保育士さんから「ほかの子と比べると、ここがまだできていませんね」と言われると、親としては「どうしよう」と悩んでしまいますよね。


「マイペースな子」と「周囲の期待」

ある親御さんから、こんな相談を受けました。

「子どもは元気に幼稚園に通っています。でも、ちょっとマイペースなところがあって、他の子ができることができないようです。保育士さんから『小学校に上がるまでにはできるようにならないと心配です』と言われたのですが、どうしたらいいでしょうか?」

確かに、幼児期は発達の個人差が大きく、特に低学年のうちは同じ学年であっても「できること」「できないこと」の幅が広いものです。

例えば、私の孫の場合。

姉は 4月2日生まれ、妹は 4月1日生まれ です。
そうなると、学年では同じ「1年生」として扱われますが、実際には 丸1年の発達の差 があります。

でも、親としては「1年違うのだから、成長のスピードが違うのは当然」と思い、あまり気にせずに育てています。しかし、もしこれが 同級生同士だったら?

「○○ちゃんはもうできるのに、うちの子はまだできない」

そんなふうに、比べてしまうかもしれませんね。

「できる・できない」にこだわりすぎないために

私がその親御さんにお伝えしたのは、

「できないことに焦点を当てずに、今できていることを認めてあげることが大切ですよ。」

ということでした。

子どもがまだできないことにばかり目を向けると、親はつい焦ってしまい、イライラしてしまうこともあります。でも、親が「まだできない」と嘆いてばかりいると、子どもは親の顔色を気にするようになり、本来の伸び伸びとした成長が妨げられてしまうことがあります。

保育士さんも、きっと良かれと思って親御さんに伝えたのでしょう。でも、「心配ですね」と言われると、親としては不安になりますよね。伝え方ひとつで、受け取る側の気持ちは大きく変わります。

私はその親御さんが 「そこまで深刻に悩んでいるわけではなさそうだな」 と感じたので、こうお伝えしました。

「毎日ちゃんと眠れていて、きちんと食べていて、笑顔も見られるなら、それでいいのではないでしょうか?心配ごとは、そのときに考えれば大丈夫ですよ。」

子どもは、親が焦ると不安になり、プレッシャーを感じます。でも、親が「今できていること」を認めてあげると、子どもは安心し、意欲をもって新しいことに挑戦できるようになります。


学年の区切りの不思議

話は少し変わりますが、みなさんは 「学年の区切り」 に疑問を持ったことはありませんか?

日本では、 学年は「4月1日から3月31日生まれ」の子どもたちで構成される と思いがちですが、実は違います。

「4月2日生まれから翌年4月1日生まれまで」 が同じ学年に入ります。

つまり、4月1日生まれの子は、その年の一番年下の子 になります。

これ、よく考えるとちょっと不思議ですよね。

孫たちのように、4月1日と4月2日で生まれた年は違うのに、学校では同じ学年。
たった1日の違いで、1年違う成長の子どもたちが「同じ1年生」として過ごすことになります。

こうした学年の区切りがあるからこそ、子どもたちの成長には 大きな個人差があるのが当たり前 なのです。


子どものペースを大切に

子どもには、それぞれの成長のペースがあります。

「○○ちゃんはもうできるのに、うちの子はまだ……」と比べたくなる気持ちは、とてもよくわかります。

でも、大切なのは 「その子なりのペースで、少しずつできることが増えている」 ということ。

子どもの「今できていること」を見つけ、認めてあげることが、何よりの成長のサポートになります。

親が焦らず、笑顔でいることが、子どもにとって一番の安心材料です。

ぜひ、比べることよりも 「うちの子、こんなことができるようになった!」 という視点で、日々の成長を楽しんでみてくださいね。

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