No.21

私は、私が生まれ持った素質に苦しめられている。
私は、私が生まれ持った素質に殺される。

仕方のないことであるのは分かる。
望んで生まれ持ったわけではない。
望んで生まれたわけでもない。

繊細さが欲しい人からすれば羨ましい素質かもしれない。視野が広く、周りの感情を汲み取れる。
確かに長所でもあるだろう。

しかし、私はこの素質を恨んでいる。
これは病気や怪我と同じように、
なった当事者にしか分からないことだと思う。

誰かに存在否定されることも辛いが、
自分自身の中の矛盾ほど辛く、怖いものはないと思う。
 ×  「自分が生まれなければ。」
「違う。」
「望んでない。望んで生まれたわけではない。」
 ×   「自分が生きているから。」
「違う。」
「私にだって生きることはできる。」
  ×  「何も出来ない人間に生きる資格はない。」
「違う。違うよ。」
「何かは出来るよ。」

↑のような自分自身での否定のし合い。
否定してくる自分が必ずいる。
みんなもそうなのだろうか。
みんな人格がいくつかあるのだろうか。