大塚たくまさんインタビュー:『苦手なこと』への向き合い方
福岡を拠点に活動されるライター、大塚たくまさん。
Twitterで大塚さんの「誰かにインタビューされたい」とのつぶやきを幸運にも拾うことができたフリーランスライターしのむが、インタビューを敢行しました。
見るもの、感じるものすべてへの「愛」を感じる文章を指先から紡ぎ出す大塚たくまさんへのインタビュー。
今回は第3回。大塚たくまさんの「苦手なもの」と、苦手との向き合い方についてです。
大塚たくまさんが「苦手」なものとは
――しのむ:では、次にたくまさんの『苦手なこと』についてのお話を伺いたいと思います。
というのもたくまさんの記事はどれも取材対象への『好き』や『愛』が伝わってくるものなんですね。それで逆の『苦手なこと』についてたくまさんはどのようにみておられるのかを知りたくなったわけです。
――たくまさん:苦手、ですか(笑)
――しのむ:はい! 今、文章を書くことをお仕事にされていますが、学生時代に苦手だった科目はありますか?
――たくまさん:まあ、理系の科目ですかね。数学とか。あとは勉強することそのものが苦手といえば苦手でした。勉強することが嫌いだったので、量をこなさないといけない科目が本当に苦手でしたね。
――しのむ:数学とか、算数は確かに量をこなさないと覚えられない部分もありますよね。掛け算なんかは暗記ものの典型ですし。
――たくまさん:そうなんです。だから暗記とかも勉強量がモノをいう教科はすごく苦手でしたね。理系の科目はやはり相当な勉強量がないと理解できないので「太刀打ちできない」と思っていました。
「算数が苦手」と感じたのは小学校高学年
――しのむ:じゃあ「オレ算数ちょっと苦手だな」って感じられたのは、学年でいうと何年生ぐらいですか?
――たくまさん:小学校の時はそつなくこなせていたと思います。ですが、算数に関しては、小学校の4年生、5年生ぐらいから。 あんまり楽しくないな、と思っていました。
――しのむ:今までとったテストの点数で、1番低いので覚えていらっしゃいますか?
――たくまさん:高校の時に私大文系コースにいたんですが、スポーツをバリバリにやっているわけではなかったので、「スポーツをやっていないクラスメイトは寝てもいいかもしれないけど、スポーツやっていない自分は試験中に寝る資格はない!」と思っていたんですね。それでまじめに100分寝ずに数学のテストに取り組んで6点とか……。
――しのむ:100点満点の、6点ですか?
――たくまさん:いや……、200点満点じゃなかったかな? 100点満点だったかもしれません。確かにほとんど空白ではあったんですけど、2時間寝ずに取り組んだし、自分が解き方を知っている問題は絶対に間違えたくないから、何度もやり直したんです。でも解くたびに答えが違っていたりしてました。
――しのむ:苦手だったのは算数、数学だけですか?
――たくまさん:そうですね。現代文のセンター試験なんかは、9割以上取れるんですよ!(笑)現代文はいつも90点から100点なのに、総合の点数は110点から120点でした。
たくまさん流「苦手なこと」との向き合い方
――しのむ:できない部分や苦手な部分を克服するために、何か努力されましたか?
――たくまさん:結局今でも算数、数学の苦手は克服できていない気がするんですが、赤点を取ったら卒業できないわけですよね。
ただ当時はホークスの応援サイト制作にハマっていて、そのサイトのことばかり考えていたんです。でも苦手なものともつきあっていかなきゃいけないじゃないですか。
じゃないとサイト制作どころじゃなくなってしまうので。
だから「苦手なまま、点数を取るにはどうしたらいいだろう」というふうに当時は考えました。
――しのむ:克服するんじゃなくて、苦手なまま点数を取ろう、と。
――たくまさん:いかに効率よく点数を取るか、ていう(笑)。
だから試験のまえに数学だったら先生から「こういう問題出しますよ」ってプリントが配られますよね。で、数字だけ変えて復習してました。
――しのむ:すごく前向きな勉強法だと思います!
――たくまさん:理解しないで、ただただ覚えるだけですね。試験当日の朝は、そのプリントを家を出る時から学校に着くまでずっと見ながら行って、テストの始まる直前まで見てて、試験が始まったらすぐ解く、みたいな。
でもその方法だと当たり外れがあって、だめなときは全然ダメでした。イケるときはめちゃくちゃ点数取れましたけど(笑)。ハマるとデカい、みたいな、そういうことばっかりやってました。
――しのむ:今は「勉強しなきゃいけない」っていう状況から離れたところにおられるわけですが、できなかった教科に対しては、どういうふうに感じておられますか?
――たくまさん:できるに越したことはないし、できた方が良かったと思うんですが、あの時夢中になっていたものがあったので、むしろ「やらないならやらないで、もっと自信もって夢中になっていたことに集中しても良かったんじゃないか」っていう気はしますね。
――しのむ:夢中になれることが、手元にあったんですもんね。
――たくまさん:「やらないならやらないで、やりたいことに 全力を注げばよかったのに」っていう想いはあります。「中途半端だったなあ」と。
勉強するならするで、勉強に集中すべきだし、勉強しないならしないで、やりたいことに集中すべきだなと思います、今なら。
もっと自信もって、サイト制作がそんな好きなんだったら、そっちに集中して良かったんじゃないかなと。
中途半端だったと思います。
「苦手なこと」と向き合ったからこそ、得られたもの
――しのむ:では勉強とWebサイト制作の両方やったからこそ、「今よかった」と思うことはありますか?
――たくまさん:確かに両方捨てなかったからこそ、大学へ行こうと思えた、というところはありますね。
僕自身、人とのコミュニケーションが得意なタイプではなかったんですが、大学に行ったおかげで社会性が身に付いて人とも話せるようになったんです。
なんか斜に構えたタイプの人間だったんですが、素直に人と付き合えるようになったことは、大学で多くの友人とサークル活動とかやったおかげです。大学に行ったおかげで、普通に人とコミュニケーション取れるようになったなーっておもいます。
「苦手なこと」と、もし向き合っていなくても
――しのむ:じゃあ、仮に高校生のときに数学と向き合わず、Webサイト制作に全振りしたとすると、今の自分とどういうギャップがあったと思いますか?
――たくまさん:そうなると、かなり自分の世界に閉じこもった感じになっちゃいますね。ただそれで本当にWebサイト制作とかに本当に興味や関心を持って広げていこうと思ったら、Webマーケティングとか……。
Webサイト作りからどう発展したかちょっと見えないですけど、もしかしたらもっと、もっと早い段階で今のような感じになっている可能性はありますよね。
もしくは、Webコンサル系の業界に進みたがったりとかしたのかもしれません。
――しのむ:では遅かれ早かれ、今と同じお仕事をされていたわけですね。
――たくまさん:結局僕、就職とか経たうえで今の仕事をしているんですけど、(高校時代に、夢中になれたことに集中していたら)この道に行くのが早くなったんじゃないかな、という気はしますね。
「じゃあ一体どこで(書く)力をつけるんだ」っていう問題がありますけど(笑)。もうそこだけ心配ですね。
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福岡を拠点に活動するライター、大塚たくまさん。
「好き」をさまざまな言葉で紡ぐたくまさんは「苦手」とも正面から向き合っておられました。
苦手と向き合ったからこそ得られたもの。
苦手と向き合っていなくても、今と同じ仕事をしていたこと。
これまでの自分にはない「苦手」との向き合い方は、今後、仕事をするうえで参考にさせていただきたい、と感じました。
大塚たくまさんインタビューは、もう少し続きます。
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