【中年学生日記 3】 あの慶應
通信 大学 国語 教員免許
このワードで検索すると全国に何校か見つかった。
東京でいうと法政大学、日本大学、武蔵野大学、そしてなんとあの慶応の名前もそこにはあった。
前述の通り通信制大学は受験がなく、志願書と入学金を払えば入学できる。
ということは華の慶應生にもいとも簡単になれるのである。
まぁでもそう焦らずに、一旦落ち着いて資料請求。
資料は基本的には無料で送付してくれるが慶應だけは1000円かかるとのこと。
ここでジャブ程度の敷居の高さを喰らわされるが、まさかなれるとは思ってなかった慶應ライフが簡単に手に入ると思えばそんな金額おののくはずもなかった。
数日後、資料が一通り届いた。
通信だから別に東京じゃなくてもいいかと他の地域の資料も頼んだ。
慶應のも届いた。
1000円払った割には他の大学と特に差異のない資料だった。
見比べてみた。
どこの大学も似たような学費。
基本通学制だと四年間で最低400万かかる。
だが通信制だと本当に猛勉強して通信のみで乗り切れば70万円ほど。単位ごとにプラス料金支払って教室に通うスクーリングを入れても100万円弱。通学制の4分の1で通えるのだ。
それは慶應も例外ではなかった。なんだったらスクーリングに関しては他の大学よりも安くすらあった。
よし、俺は慶應生になる。
そう決断しようとした瞬間、冷静になった。
ネットに誰かが書き込んだ一文が目に止まった。
通信制は入るのが簡単な分、卒業するのも難しい
ブランドに踊らされていた。
身の丈に合わない選択をしようとしていた。
身の程を知れ、お前は慶應の器ではない。
縁のあるはずのなかった慶應にただただ浮かれていただけ。
資料請求に1000円かかる時点で気づいておかなければいけなかった。
しかし寸でのところでなんとか踏みとどまることができた。
僕は慶應を候補からそっと外した。
武蔵野大学はキャンパスが自分の住んでるところからは遠かった。
通信だからキャンパスに行かなくてもいいのだろうが
どうせなら行きやすいところの方がいいと思った。
この時点で武蔵野も消えた。
残るは法政大学と日本大学。
キャンパスはともに東京、市ヶ谷。すぐに行ける。
僕は法政に気持ちが傾きかけた。
法政の実態は何も知らないが、なんとなく賢そうなのは知っていた。
しかしこれは慶應の時と同じく浮かれ気分から発生した気持ちだと自分を律した。
法政もやめた。
残ったのは日本大学。
慶應や法政ほどではないにしろ日本大学も楽勝なわけではない。
想像を超える厳しさがあるだろうことももちろん覚悟した。
その上で身の丈には合ってないものの、背伸びすればなんとかいけそうな気がした。
また日本大学といえば日本屈指のマンモス校で
芸人だけみてみても爆笑問題さんや関根勤さん、キャイ〜ン天野さんなどたくさんの先輩がいた。
その直の後輩になれることも、後々どこかで生きてくるかも知れない、そう思った。
こうして自分は日本大学に決めた。