【中年学生日記 5】 学費工面
晴れて嫁の承諾も得た僕は早速志願書を書き上げ、あとは入学費の15万8000円を支払って、その入金証明を願書に同封して送付すればいいところまで手際良くやった。
15万8000円。
通学制に比べて安いとは言え、普通の金銭感覚からすれば決して安くない金額。
払う覚悟は当然できていたのだが、一旦どうにかならんもんか考えてみた。
そしてこういう考えに至った。
きっと38歳の高卒芸人が教員免許取得を目指すことで、多くはないにしろそれに関連する仕事が何かあるに違いない。ましてや教員免許を取ったならその効果はより強いものになるだろう。仕事が来るということは事務所も潤うわけだから、全額とは言わなくても松竹芸能にいくらか負担してもらおう。
奨学金ならぬ松学金である。
このことをマネージャーに伝えると、上に相談してくれるとのこと。
全額はさすがに無理だろうしそれだと会社に甘えすぎだから、もし全額出してくれるとなったらとりあえず遠慮してみようかな。10万。いやそれも申し訳ないか。半額。半額あたりがちょうどいいかな。もしくは10万は僕が出すから残りをお願いします!とかだと自分の方が多く払ってる分、マウントを取れるか。どんな返事してくれるのかな。楽しみだな。
マネージャーから返信がきた。
結果は
聞いてみたけど秒で駄目だった
だった。
秒?
一考もなし?
「会社からは無理やからポケットマネーで1万円だけ出すわ」「いやいやそれは悪いですよ、気持ちだけいただいときます」
もなし?
いや秒?
返事来た時は納得がいかなかった。
身勝手なお願いだとは重々承知の上だが結果的に僕にも会社にもメリットがあるかもしれないのに。
しかし冷静に考えてみれば当たり前の話だ。
自分は卒業できる気満々でいるが、会社からすれば卒業できるかどうかもわからない、それで仕事が来るかもわからない、ましてや篠宮が何か不祥事おこしてクビにする事だって考えられる。
しかも根本、お笑い案件でもない。
僕が逆の立場でもそんな奴に投資するのはドブに金を捨てるようなものだというかもしれない。
「違うんだ、1000円だけでも気持ちを汲んで欲しかっただけなんだ」
僕の松学金計画は会社の
いや知らんがな
で一蹴された。
一蹴されがてら郵便局に15万8000円振り込みに行った。
しかし僕は諦めない。
この15万8000円、どうにかこうにかお笑いではなく勉強で稼いで充填することを。