「ダイナミック・ケイパビリティ」が提示する日本企業が目指すべき経営パラダイム
どもっ、しのジャッキーです。本記事は、未完の超重要経営理論「ダイナミック・ケイパビリティ」に関する個人的な学びをアウトプットするものです。
カリフォルニア大学バークレー校でデイビット・ティース教授に師事していた菊澤教授による"「ダイナミック・ケイパビリティ」の経営学"という書籍(以下、本書)からの学びをまとめていきます。今回は第4回です。
前回はダイナミック・ケイパビリティが解決(回避)する人や組織が合理的に失敗する現象である「不条理」という問題についてと、それを解決する2つのアプローチについて学びをまとめました。
今回からは、本書が提示する、日本が目指すべき経営パラダイムや事例などについての学びをまとめていきたいと思います。
日本企業が陥っている不条理
まじめな日本企業はパラダイム(思考の枠組み)を精緻化し続けることで環境変化の際にパラダイムを変革できず、既存のパラダイムでまじめに変化に対応しようし、合理的に失敗している、と考察されていました。その例が、太平洋戦争の「失敗の本質」であったり、シャープ液晶事業であったりすると。
両利きの経営でいえば、知の探索と知の深化において、深化に偏ってしまう、コンピテンシートラップにかかった状態になってしまうということ、ともいえるのでしょう。
日本企業が目指すべき古くて新しい経営パラダイム
少子高齢化で借金が増え続ける日本経済において、社会保障費用の財源を悪補するためには、国民総生産(GNP)を増やす、つまり総付加価値を増やす必要がある。そのためイノベーションを重視した経営パラダイムが日本企業に求められるというのが本書の主張となっています。
その上で、以下のように米国流の経営パラダイムからシュンペーター経済学(書籍ではシュムペーターと記載)やドラッカー経営学を土台とした経営パラダイムを日本企業が目指すべきだとしています。
センスメイキング理論との共通点
私は上記の右側の目指すべき経営パラダイムを見たときに、「三つの構成要素=感知・補足・変容」というのはセンスメイキング理論と似ているなと思いました。以下の図のように、「感知」、「解釈・意味づけ」、「行動・行為」が対応していると思いました。センスメイキング理論は、「行動と思い込みで未来を作り出す」ものだと世界標準の経営理論の中でも書かれていました。ダイナミックケイパビリティは変化の理論であり、類似したものが出てきているというのは本質的な部分なんだろうなぁ、と思いました。
RBVとの共通点
もう一つ「模倣可能性」というのは、まさに、リソース・ベースト・ビュー(RBV)の要素がはいっているんだなぁ、と思いました。RBVの重要なメッセージは「ライバルからの模倣を困難にするには、複雑で一貫性のあるアクティビティ・システムを築くべき」と、世界標準の経営理論ではまとめられていました。このあたりは、以下の記事で自分の気づきをまとめましたので、参考にしていただければ幸いです。
ダイナミック・ケイパビリティの3つの有用性
ダイナミック・ケイパビリティのもたらす有用性は「既存技術の転用を可能にする」「独自のビジネス・エコシステムを形成できる」「イノベーションのジレンマを回避できる」の3つだといいます。
次回は、これらについてそれぞれ、あげられている以下の日本企業の事例について学びをまとめたいと思います。
おわりに
このほか、当方の経営理論に関する記事は以下のマガジンにまとめていますので、もしよかったらのぞいてみてください。またフォローや記事への「スキ」をしてもらえると励みになります。
ということで「形のあるアウトプットを出す、を習慣化する」を目標に更新していきます。よろしくお願いします。
しのジャッキーでした。
Twitter: shinojackie