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#ダイナミックケイパビリティ に至る経営理論の系譜

どもっ、しのジャッキーです。本記事は、超重要経営理論「ダイナミック・ケイパビリティ」に関する個人的な学びをアウトプットするものです。

カリフォルニア大学バークレー校でデイビット・ティース教授に師事していた菊澤教授による"「ダイナミック・ケイパビリティ」の経営学"という書籍(以下、本書)からの学びをまとめていきます。今回は第10回です。過去記事の一覧は末尾に載せておきます。

前回のおさらい

前回(こちら)「イノベーションは資本主義から自由を守ることかもしれない」と銘打ちまして、古典的な経済学が目指す完全競争という状態は、企業にとっては差別化不能で儲からない状態が、社会のリソースがもっとも効率的に使えている状態で、国民にとってももっとも好ましい資源配分だと考え方であり、それを打ち崩す(破壊する)ことこそイノベーションなんだなぁ、という学びを共有しました。

そして、株主利益を最大化する資本主義は完全競争を目指すパラダイムであり、そこから付加価値最大化を目指す新しいパラダイムへシフトするために必要な能力がダイナミックケイパビリティである、という内容でした。

ダイナミックケイパビリティ論の系譜

ということで、今回の記事では、そもそもダイナミックケイパビリティって経営理論の中でどういう位置づけなんだっけ?というのを今回はまとめます。

ポーターの競争戦略論

最初に紹介されるのは、やっぱりポーターの競争戦略理論。戦略経営分野の本格的は研究は実質的にはポーターが1980年に出版した「競争の戦略」にはじまったとします。

マイケル・ポーター氏の競争戦略のよりどころとなるSCP理論(Structure-Conduct-Performance)は、古典的な経済学が目指す企業にとっては全く儲からない完全競争という状況を逆手にとり、完全競争の状態の均衡をいかにくずし、自社を市場の構造の中で差別化するか?というアプローチをとります。その市場の構造を理解するためのツールとして「ファイブ・フォース」「ジェネリック戦略」「バリューチェーン」です。

しかし、産業構造を分析して戦略を立てるのには限界がありました。同じ産業の中でも異なる戦略行動と異なる業績が存在し、産業構造に依存した理論体系だけでは説明できない事象が多くかったといいます。

固有資源の優位性を重視した「資源ベース論(RBV)」

そうした中で1980年代後半から出てきたのがバーニー氏に代表されるRBV(Resource Based View、資源ベース論)だといいます。RBVにおいては、価値があり希少で真似されずらい組織を作ることによって完全競争を突き崩そうと考えられています。「世界標準の経営理論」ではOutput先に着目するSCPとインプットに着目するRBVは両輪で考えるべきものだろう、と説明していました。

「世界標準の経営理論」をもとに篠崎作成

RBVについては、以下の記事ご参照ください

資源を組み合わせる組織能力への着目

インプットとアウトプットに着目したSCP、RBVがそろったわけですが、どちらもある状況を分析することに変わりがありません。そこから、日々刻刻と変わる状況に対して、資源を組み合わせて変化し、対応していく組織能力が注目されてきたといいます。これがコアコンピタンスやケイパビリティ(組織能力)という言葉で表現・説明されるようになったといいます。

ということで本noteのシリーズの初回でも紹介した高次のルーティンとして位置づけられるダイナミックケイパビリティという概念がでてきたんですね。

「世界標準の経営理論」をもとに篠崎作成

ここからは、第1回でも書いた通り、このダイナミックケイパビリティ論のリーダーの一人である・デイビッド・ティース教授の「感知(センシング)」「補足(シージング)」「変容(トランスフォーミング)」という3つの機能について説明されます。

「世界標準の経営理論」をもとに篠崎作成

オーケストレーション

ティース氏は、この3つのプロセスをぐるぐる回すことが経営者の役割でありそれを指揮者になぞらえて、このプロセスをオーケストレーションと呼ぶそうです。

「ダイナミックケイパビリティの経営」をもとに篠崎作成

ビジネス・エコシステムを生み出す「共特化の原理」

本書では、以下のように、ダイナミックケイパビリティを定義しています。

既存の資産や技術を再構成・再配置・再編成するにあたって、個別に利用しても大きな価値を生み出さないが、特殊な資源や知識を結合させると相互補完的な効果が生まれるとし、それを「共特化の原理」と呼んでいます。

このときに、組み合わせる資源・知識・技術などを社内だけでなく社外も含めてオーケストレーションしビジネス・エコシステムを形成することが重要と強調しています。

おわりに

次回は、ダイナミックケイパビリティへの誤解をまとめます。

このほか、当方の経営理論に関する記事は以下のマガジンにまとめていますので、もしよかったらのぞいてみてください。またフォローや記事への「スキ」をしてもらえると励みになります。

ということで「形のあるアウトプットを出す、を習慣化する」を目標に更新していきます。よろしくお願いします。

しのジャッキーでした。

Twitter: shinojackie

<過去記事>

  1. 未完の超重要経営理論「ダイナミック・ケイパビリティ」変化する力はどう獲得するのか?

  2. 「ダイナミック・ケイパビリティ」が解決する問題とは?

  3. 「ダイナミック・ケイパビリティ」は組織の不条理をどう回避するのか?

  4. 「ダイナミック・ケイパビリティ」が提示する日本企業が目指すべき経営パラダイム

  5. 「ダイナミック・ケイパビリティ」からみる富士フイルムの既存技術転用の変革を1枚にまとめてみた

  6. 任天堂が独占していたゲーム機業界でソニー独り勝ちを実現した共存戦略

  7. YKKのイノベのジレンマ回避戦略とパラダイムシフト×環境変化×経営理念 #ダイナミックケイパビリティ

  8. 日本的経営と #ダイナミックケイパビリティ は相性が良いのか?

  9. イノベーションは資本主義から自由を守ることかもしれない

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