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グローバルリスク報告書2022年版がでたんで、2021年版と比較してみた
本記事は、ESG/SDGs/CSVに関しての個人的な学びのアウトプットです。
2022/1/11に、ワールド・エコノミック・フォーラムよりグローバルリスクレポートが発行されましたので、2021年版と比べてみました。
レポート自体はこちらになります。以降の図表は、本レポートが出典となります。
The Global Risks Report 2022 17th Edition
深刻度から見たグローバルリスク トップ10
以下のように、トップ3は環境の問題となっています。
2021年版(こちら)と比べてみます。
上記、赤矢印で2021年に比べて、影響度が上がったものを示しています。逆に、下がったものは青矢印で示しました。
2021年にトップリスクだった「感染症の広がり」はワクチンもできたからでしょう、6位に下がりました。一方で「異常気象」「生物多様性の喪失」が上がり、1位に気候変動への適応があがり、日本的には2020年末に菅さんのカーボンニュートラル宣言もあり、世界的にはバイデン政権に代わりパリ協定への復帰あり、COP26がありと、気候変動への適応に関しては大きなムーブメントとなった年となりました。
社会的結束の浸食ってなんだ?
つづく4~6位が「社会の課題」になっていることも目を引きます。ところで、この2021年のトップ10外から4位にランクインした「社会的結束の浸食」が、個人的に聞きなれない言葉なのでちょっと、調べてみました。
ぱっと検索すると、サクッとわかる説明が見つからず、以下の論文をちょっと読んでみました。
ソーシャルワークのグローバル定義における「社会的結束(Social Cohesion)」に関する考察
https://www.jsssw.org/wp/wp-content/uploads/2017/02/2016-33-1.pdf
社会的結束という概念は、定義が乱立しているそうです。1990年代から政治や経済の場で使われだした言葉で、上記の論文の中で、OECDの報告書の中での定義が挙げられていました。
OECD の報告書「グローバルな開発の展望―転換する世界における社会的結束」にある定義は,以下のようなものである.
結束した社会では,全ての人々のウェルビーイングが目指され,排除や周縁化と闘い,帰属意識が高められ,信頼が醸成され,全ての人々に上層への社会移動の機会が与えられる.本報告書では社会的結束を 3 つの重要な面から捉える.すなわち,社会的包摂(social inclusion),社会関係資本(social capital),社会移動(social mobility)である
OECD,2011, Perspectives on Global Development 2012:Social Cohesion in a Shifting World, Executive Summary(http://www.oecd.org/site/devpgd2012/49067839.pdf, 2015.12.24).
ということで、かなり広い概念となっています。要素としては、「社会的包摂(social inclusion),社会関係資本(social capital),社会移動(social mobility)」の3つが挙げられています。
最近、非常によく聞くようになった、ダイバーシティ・インクルージョンが一つの要素であり、多様性が受け入れられている状態であることがわかります。
社会関係資本は、人と人との関係性のことだと思いますが、コロナによって、テレワークなど住宅などから外にあまり出ない生活によって、人と人との関係が希薄化していることは、皆さんも実感があるのではないでしょうか?
そして、社会移動ですね。これは、いわゆる社会階級のヒエラルキーが構造的に固定化されていて、ヒエラルキー間の移動が起きない状態が2022年の課題として急浮上した、ということだとわかりました。
つまり、深刻なグローバルリスクの4位に急浮上した、「社会的結束の浸食」というのは、人のクラスター間での対立、貧富の格差の固定化が深刻化している、というリスク認識が高まった、ということだとわかりました。
トップ5グローバルリスクが悪影響を与えるのは?
毎回工夫をこらしたインフォグラフィックスで表現される、グローバルリスクが悪影響を与える先の要素の図。今回は以下のような表現になっていました。気候変動、異常気象、生物多様性のトップ3リスク同士が強く関係しあっており、カーボンニュートラルへの取り組みの重要性が浮き彫りになった形ですね。
あぁ、そうか、と思ったのは、下側の左側の方にある「Involuntary Migration」です。「望まない移民」と訳せばいいのでしょうか。異常気象の影響を大きくうけており、要するには気候変動によって人が住めない環境になってしまい、移住せざるを得なくなることだと、理解しました。
日本でも、特に、西日本においては豪雨の影響が毎年発生しておりますが、世界に目を移すと、水位の上昇によって国土がなくなるリスクにさらされているということだという気づきがありました。
おわりに
このほか、当方のESG/SDGs/CSV関連の記事は以下のマガジンにまとめていますので、もしよかったらのぞいてみてください。またフォローや記事への「スキ」をしてもらえると励みになります。
ということで「形のあるアウトプットを出す、を習慣化する」を目標に更新していきます。よろしくお願いします。
しのジャッキーでした。
Twitter: shinojackie