見破られるESG経営12パターン、あなたは何個当てはまる?
本記事は、ESG/SDGs/CSVに関しての個人的な学びのアウトプットです。
2021年5月13日に行われた「日経SDGsフォーラム」での一橋大学CFO教育研究センター長 伊藤邦雄氏の「見破られるESGと深化するESG経営」という講演がとても面白かったので、学びを共有いたします。
見破られるESGの12パターン
伊藤氏が整理をした見破られるESG経営の12パターンが提示されました。自分の会社は何個当てはまるのか、自己評価したり、改善ポイントすべきポイントを考えるのに非常に有用なフレームだとおもいました。
横並び対応型
主体性なく、同業他社などの追随
満遍なく薄塗り型
ESG(やSDGs17目標)すべてに中途半端な対応
本社独走型
本社ばかりがシャカリキになって、事業部門がついて来ない
社内温度落差型
ESG意識や行動で部門間で差が大きい
専門部署丸投げ型
ESG担当部署に任せきり
現状積み上げ型
到達すべき基準や姿を描かずに、現状からの改善に満足してしまう
収益性不釣り合い型
ESGばかり強調し、資本生産性の低さを正当化する
マテリアリティ希薄型
自社の強みや特徴を忘れ、「自社ならでは」を閑却
自社独善志向型
自社ばかりが良いことをやっており、他社の遅れを批判・非難する
戦略非連動・不拡張型
ESG・非財務要因が重要になっていることを経営戦略の拡張に活かせない
パーパス非連動
会社の存在意義や社員の自社で働く意義を考慮することなく、社員エンゲージメントを向上できない
取締役非関与型
ES(G)は執行型の問題として、取締役会が目配りすることなく、監督していない
見破られたESG経営の例1(ダノン)
例えば、以前、私のnoteでも取り上げさせていただいたダノンCEO解任劇は、伊藤さんの分析によれば
収益性不釣り合い型
ESGばかり強調し、資本生産性の低さを正当化する
に該当し「EやSへの取り組みを簡単な言い訳にしてきた企業は、今後、もの言う株主の攻撃対象になる可能性がある」としました。
見破られたESG経営の例2(ノースフェイス)
もう一つ、見破られるESGの「自社独善志向型」の事例として、アウトドアブランド「ノースフェイス」が取り上げられました。
自社独善志向型
自社ばかりが良いことをやっており、他社の遅れを批判・非難する
2020年12月に、原油・ガス採掘技術カイシャのInnovex Downhole Solution社がノースフェイスに社員向けクリスマスプレゼントとしての自社ロゴ入りジャケットを発注したが、ノースフェイスが「うちのジャケットには化石燃料企業のロゴをいれたくない」という理由で拒否しました。
これを受けて、石油業界ロビー団体がノースフェースのジャケットは炭化水素でできており化石燃料を使っている、世界の衣服の60%は石油が原料だが、ノースフェイスの製品の場合はその割合は90%以上になると推定される、としノースフェイスに「石油商品の素晴らしい顧客賞」を授与するという動画を公開し、反撃を受けることになりました。
以下が、その受賞を伝える動画です。
このノースフェイスの事例については、以下の記事、参考になりました。
2つの事例からの示唆と警鐘
これらの事例から、以下、6つの示唆と警鐘を挙げられました。
二項対立的なESGへの傾倒に対する投資家の拒否反応。利益追求に淡泊なパーパス経営への警鐘
ESGは低収益性・低株価パフォーマンスに対する煙幕にならない
パーパス・ESGにばかり注力する自己満足的な取締役会は要注意
浅薄なESG、「ポーズ」と映りかねないパーパス経営は見破られる
気候変動問題のリアリティを見つけることの重要性、そして厳しさへの気づき
投資家は、収益性(ROE)とESGを別物とは捉えない。両者の「相互浸透効果」を軽視してはならない
おわりに
今回は「日経SDGsフォーラム」での一橋大学CFO教育研究センター長 伊藤邦雄氏の「見破られるESGと深化するESG経営」から、見破られるESGの12パターンを紹介しました。次は、深化するESG経営のための示唆について、も発信したいと思います。
このほか、当方のESG/SDGs/CSV関連の記事は以下のマガジンにまとめていますので、もしよかったらのぞいてみてください。
ということで「形のあるアウトプットを出す、を習慣化する」を目標に更新していきます。よろしくお願いします。
しのジャッキーでした。
Twitter: shinojackie