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ダイナミックケイパと補完関係にある取引費用理論についてまとめてみた②

どもっ、しのジャッキーです。本記事は、超重要経営理論「ダイナミック・ケイパビリティ」に関する個人的な学びをアウトプットするものです。

カリフォルニア大学バークレー校でデイビット・ティース教授に師事していた菊澤教授による"「ダイナミック・ケイパビリティ」の経営学"という書籍(以下、本書)からの学びをまとめていきます。今回は第14回です。過去記事の一覧は末尾に載せておきます。

前回は、第8章「ダイナミックケイパビリティによる企業の巨大化」について学びを抽出するにあたって、大前提となる「取引費用理論」に関して、「世界標準の経営理論」をもとにした学び直し記事となりました。その取引費用理論の第2弾となります。

TCEからみる企業の範囲、ガバナンス、国際化戦略

今回の取引費用理論の後編「取引費用理論からみる企業の範囲、ガバナンス、国際化戦略」では、内部化か、市場で取引か、という意思決定をするにあたって、どのような思考の軸を持てばよいのか、国際進出の戦略をもとにまとめます。

取引費用理論における企業の範囲とガバナンス

取引費用理論の視点から見ると企業という存在は「市場における取引コストが高い部分を内部に取り込んだもの」とみることができます。

製造業を例に図示すると、以下、ある企業の範囲は生産と流通だったとします。このとき、市場、つまり企業の外部から調達することコストが高い場合は、自分たちで原材料を直接調達したり、自分たちでその原材料自体を生産する、という選択肢が合理的です。これがつまり内部化です(いわゆる垂直統合)。

「世界標準の経営理論/入山章栄」をもとに篠崎作成

このように、取引費用理論の視点からみた企業のガバナンスというのは、市場取引を選択すべか、内部化すべきか?という意思決定になります。次はこれを企業の国際化戦略への適用をまとめます。

TCEから見る国際化戦略(進出モードの選択)

市場取引vs内部化の二者択一ではなく、その中間であるハイブリッド・ガバナンスという考え方もあります。ハイブリッド・ガバナンスの代表は提携(アライアンス)です。

アライアンスの形態にも濃淡があります。投資費用や販管費など取引コストをコントロールするために必要な取引コスト以外のコストと、企業によるガバナンスの度合いはトレードオフの関係にあり、以下、ライセンシング共同開発、ジョイントベンチャー、のようなバリエーションがあります。

「世界標準の経営理論/入山章栄」をもとに篠崎作成

TCEから得られる視座

ITの進展により取引コストは低下傾向にあります。またUberやAirbnbのような生まれながらの国際企業が台頭しています。その一方で取引コストの低下は、内部化のリスクを高めコングロマリット解体・事業分離の圧力を高めている、というのがTCEという思考の軸が与えてくれる重要な視座でしょう。

取引費用理論と本棚発想(DXの思考法)

このことは、以前にご紹介した、書籍「DXの思考法」の中で語られている本棚発想が市場取引で、市場(=本棚)にない本をつくろう、という発想が内部化であったり、1企業による統治というスタイルなんだな、と腹に落ちました。「DXの思考法」については以下のまとめをご参照ください。

おわりに

ということで、取引費用理論についてベースとなる知識が振り返れたので、次回は、ダイナミック・ケイパビリティの創始者のデイビッド・ティース氏は同氏の師であるウィリアムソン氏の取引費用理論と補完関係にあるダイナミックケイパビリティの関係についてまとめていきたいと思います。

このほか、当方の経営理論に関する記事は以下のマガジンにまとめていますので、もしよかったらのぞいてみてください。またフォローや記事への「スキ」をしてもらえると励みになります。

ということで「形のあるアウトプットを出す、を習慣化する」を目標に更新していきます。よろしくお願いします。

しのジャッキーでした。

Twitter: shinojackie

<過去記事>

  1. 未完の超重要経営理論「ダイナミック・ケイパビリティ」変化する力はどう獲得するのか?

  2. 「ダイナミック・ケイパビリティ」が解決する問題とは?

  3. 「ダイナミック・ケイパビリティ」は組織の不条理をどう回避するのか?

  4. 「ダイナミック・ケイパビリティ」が提示する日本企業が目指すべき経営パラダイム

  5. 「ダイナミック・ケイパビリティ」からみる富士フイルムの既存技術転用の変革を1枚にまとめてみた

  6. 任天堂が独占していたゲーム機業界でソニー独り勝ちを実現した共存戦略

  7. YKKのイノベのジレンマ回避戦略とパラダイムシフト×環境変化×経営理念 #ダイナミックケイパビリティ

  8. 日本的経営と #ダイナミックケイパビリティ は相性が良いのか?

  9. イノベーションは資本主義から自由を守ることかもしれない

  10. ダイナミックケイパビリティ に至る経営理論の系譜

  11. (番外編)合理的に失敗してしまう不条理にダイナミックケイパで立ち向かえ

  12. ダイナミックケイパビリティの誤解とセンスメイキング理論

  13. ダイナミックケイパと補完関係にある取引費用理論についてまとめてみた①

  14. ダイナミックケイパと補完関係にある取引費用理論についてまとめてみた②

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