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DXでCXしてIXしちゃう時代の「DXの思考法」7

しのジャッキーです。ESG/SDGsについてや、世界標準の経営理論についてばかり投稿していますが、実はIT企業に属していますので、ときどきITのことも書きます。

本って乱読しているのですが、読みっぱなしだといまいち頭に定着しないので、アウトプットを伴わしていきたいものです。ということで「DXの思考法」についてまとめてます。以降、本書の内容の忠実な引用などではなく、私自身の理解をもとに、意訳・要約しておりますのでご了承ください。今回は第7章です。

第1章のまとめ的なもの

高速変化の時代なので、今のスナップショットは一瞬で陳腐化するので、近未来をイメージして白地図を描く必要がある。本書は第2章~第4章で、デジタル時代の白地図を説明する。第5章~第8章で、白地図に自らを書き込み、地図を書き換えるとはどういうことかを説明する。
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第2章 抽象化の破壊力のまとめ的なもの

デジタル化は、共通的な手法(標準化)で解がでる範囲の水位が上がっている。そのメカニズムは、層・レイヤーが積みあがる構造、ミルフィーユ構造にある
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第3章デジタル化のかたちレイヤー構造のまとめ

デジタル化のかたちはレイヤー構造を使ったネットワーク。ビジネスの要素をばらして、レイヤー間で組み合わせ可能にする。そのレイヤーを増やしていき、組み合わせネットワークを深くしていく。そのネットワークの中から、得たい出力(価値)を引き出せるように整備することが効率化とイノベーションの源泉になる。
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第4章 デジタル化の白地図を描くのまとめ

あらゆるサービスがデジタル化する中で、デジタルインフラがレイヤー化して組み合わせて進化し続ける構造になった。これは、デジタルサービスにアクセスしてくるUIレイヤーおよび顧客体験を作るUXレイヤーにおいてもデジタル同様レイヤー構造をとることで、価値の最大化が可能となる
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第5章 本屋にない本を探すのまとめ

デジタル化に即したサービス提供システムのマップを描きそれを実現する経営を目指すことで、ヨコ割りの組織風土を実現できうる。そのためのマップは、顧客体験・課題を頂点に要素分解、その要素を実現するデジタルテクノロジーが開発要・カスタマイズ要・普及済みかを事例含め見極め、自社システムを重ね合わせたものである。このマップを俯瞰することで真に集中すべきポイントと実現方法を考えることで経営戦略に昇華できる。
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第6章 「万能工場」をつくることのまとめ

第4次産業革命やインダストリー4.0もソフトウェアが体現するレイヤー構造に製造業の姿も変わること。日本においてダイセルがプロセス業で先進事例。製造業はプロセス業化していく。サイバー・フィジカルを融合してとらえてリアル側の制約という垣根を越えてパターンを見出す能力がDX力
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第7章 アーキテクチャを武器にする

第7章はアーキテクチャについての章となりますが、冒頭、2020年1月の当時経団連会長の中西宏明氏のアーキテクチャに関する講演の内容をまとめるところから始まります(以下のYoutubeの内容い)。

こちらに、文字起こしがありました

中西会長のアーキテクチャ論のエッセンス

ソサイエティー5.0の核心は「データを価値に結び付ける」こと

そのために、データの入手、保存、加工し、価値やソリューションに対応させるための設計=アーキテクチャ

アーキテクチャは「データからどういう価値を顧客や社会に提供するか」なので技術的要素を含むが、会社であれば経営者が理解すべき事項

業種という垣根、発想ではなく価値別の発想になる

2つのアーキテクチャ分野を融合

アーキテクチャに関しては、「ハードウェアを中心に構築されたシステムに関するアーキテクチャ」と「ソフトウェア・アーキテクチャ」の2つの分野がある。現代では、ハードウェアに関するアーキテクチャも、ソフトウェアで駆動されるシステムになっている。そのため2つのアーキテクチャを渾然一体に提示する必要がある。

そのため新しい時代をアーキテクチャから見るとは、ビジネス、産業、社会を複雑なシステムとしてとらえ、それに対して人間(社会)が、ソフトウェアのロジックを基本に置いて立ち向かう、ということだと西山氏は言います。

ComplexとComplicatedの違いを理解する

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Complicatedはジグソーパズル、複雑だが根気強くやれば答えに到達できる。それに対して、Complexはアポロ計画、異なる分野の専門性・知識を組み合わせることでしか実現できない。

アーキテクチャは、Complexのほうの複雑さで、「システムが内包する多面性、不確実性、錯綜する利害といった「ややこしさ」を解決しながら、システムを実現するための考え方、アプローチ」である

課題から考える

テーマに対して、いきなり解決策から考えると既に持っているツールなどの「型」にはめて検討してしまう。課題から考えないと、「型にハマらない」解決策は出づらい。そして、課題の本質をつかむためには、「なぜ」であったり「ようするに」などのように、課題を抽象化することが求められる。

課題を抽象的にとらえる

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http規格の主著者の一人、ロイ・フィールディング氏はソフトウェア・アーキテクチャの神髄は抽象化である、とし、ありがちな間違いとして以下をあげます。

<誤>
ソフトウェア・アーキテクチャをプログラムに書かれた文字列、つまりソースコードとして見ること(→これはただの静的な構造
<正>
ソフトウェアを実際に動かしたときにそれが実行する内容を表現する

西山氏はこれを袋麺のラーメンの作り方に例えます。よくある作り方の説明は「鍋にお湯を沸騰させ、麺袋から麺を取り出してお湯に入れて、3分間お好みの硬さになるまで茹でてください」といった感じである。

このとき、アーキテクチャとは、具体的な解決策をとらえることではなく、抽象化した課題をとらえることだといいます。以下のようになります。

<具体的な解決策>
100℃のお湯で3分間茹でる
<抽象的な課題>
熱湯で茹でて好みの硬さにする

ダイヤグラムもアーキテクチャではない

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いわゆるフローチャートやダイヤグラムなどは、具体的な解決策の順番を示す一方で、データとその情報を示さない、としアーキテクチャではない。

ソフトウェア・アーキテクチャとは、そのプログラムが「データをどういう状態に変換しているのか」を表現すべき。

レイヤーとはデータ変換の単位(=コンポーネント)

データを読み込んで転換させる一つの塊をコンポーネントと呼ぶ。ラーメンなら「熱湯で茹でて好みの硬さにすること」です。そして、ラーメンを作るとなると、スープも必要になるので、スープをつくるコンポーネントも必要になる。つまり、こういったラーメンをつくることを構成するコンポーネントが並んだものがレイヤーです。

インターフェースは抽象化

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実際にラーメンを完成させるには、麺とスープを一つにする。このとき、麺とスープといえば、わかるようにすることがインターフェースです。いちいち、どういう処理を行った状態の麺・スープなのか説明しないで済むようにしているので、インターフェースは抽象化といっても差し支えないでしょう。

アーキテクチャは経験をパターン化すること

注:書籍では「アーキテクチャは思考のクセを矯正するコーチだ」という節以降の内容ですが、そのまま呑み込めなかったのでかなり、篠崎の意訳が含まれます。ご了承ください。

基本的には、第3章で紹介されたエルジブというレストランがある日の顧客にどのような価値(顧客体験、UX:ユーザーエクスペリエンス)を提供するか、の導出経路のレイヤー構造のことである。メニューレイヤーから、テクニックや食材を呼び出すときには、細かい説明が不要なようにするということでしょう。

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この時に、どういった経験、価値を提供したいのか?その時にどんな食材とテクニックの組み合わせが必要なのか、という上の図の上から下への方向で考えたり、ある食材とテクニックから生み出す価値は、どんな経験・価値を生み出すのか、それはどんな世界観を提示しうるのか?といったように下から上へといった思考が可能なように、抽象的な状態で全体のシステムがダイナミックに組み替えられるようにしておくことが求められるのだろう。

これは、つまるところ、経験・価値をパターン化するということでしょう。そして、経験も価値もどちらも、人によってとらえ方・感じ方が違う、抽象的なものです。この抽象的なものを抽象的なままとらえることを強いるのがアーキテクチャという思考の型だ、というのが私が、本書から読み取ったアーキテクチャの神髄です。

アーキテクチャの神髄は経験・価値といった抽象的なものを抽象的なままとらえることを強いること

パターンランゲージを使って都市をつくる

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都市計画の専門家で建築家のクリストファーアレグザンダー氏が1960年代に、パターンランゲージというものを提唱した。それは都市をどう設計するかの要素を、提供者側ではなく利用する側である住民にとって意味のある経験を言語化・表現したパターンにできないかと考え、そのパターンを言語化し、体系化したものだといいます。

「街中のカフェ」というパターンでは、「街角にカフェがあり、人々はそこに気軽にくつろいで座り、通りを行きかう人や風景をぼんやり眺めることができる」といった感じのものを253パターン示しているといいます。

サイバーとフィジカルが融合し、ソサイエティー5.0へ向かういま、スマートシティなどの社会システムに求められる価値とソフトウェアに求められるプロパティ*は一体化し始めているため、アレグザンダーがパターンランゲージを生み出したようなアプローチが重要になってくるという。

*注:本書ではざっくりシステムの提供する価値属性くらい意味として言及

スマートシティーであれば、エネルギー効率、移動の便利さ、教育の質、高齢者への配慮、プライバシーなど様々な軸があり、それらを横断的なレイヤーでとらえて両立可能なパターンを探索できるというのアーキテクチャの機能であり、それは企業経営で行けば、ステークホルダー資本主義の実践にもつながるといいます。

用語の整理とIX時代の歩き方 正誤表

用語の整理
・コンポーネント:価値(=変換前後の差分)を実現するもの
・インターフェース:コンポーネントの組み合わせを可能にするもの
・アジャイル:パターンを探索し組み合わせて解決しようとする発想・行動

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まとめ

第7章もまとめといいながら長大になってしまいました。まとめのまとめにトライした、私の咀嚼結果は以下です。

デジタル化の進展によりハードウェアや社会システムまでもソフトウェア・アーキテクチャと融合していく。レイヤーは価値を生み出す変換を実現するコンポーネント(≠具体的手順)の集まり。それらを組み合わせ可能にするのがインターフェース。価値や体験を提供するためのパターンを探索・組み合わせて解決しようとする発想・行動がアジャイル。アーキテクチャは、具体にとらわれず、抽象化により経験をパターン化し組み合わせることで、複雑系の「ややこしさ」を解決しながらシステムを実現するアプローチである。

次の第8章では、アーキテクチャが街、暮らし、社会、政府の在り方にどのように関係してくるかが語られます。

DXについての記事は以下の「マガジン」にストックしてますので、併せて覗いてみてください。

ということで「形のあるアウトプットを出す、を習慣化する」を目標に更新していきます。よろしくお願いします。

しのジャッキーでした。

Twitter: shinojackie



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