【散文詩 上弦の月 no.3】
〈はじめに〉
こんばんは。今宵も訪れてくださいまして
ありがとうございます。はじめての方もよろ
しくお願い致します。
今回は、六花💌(エモ/エモーショナル🦄)
さまにご協力を頂きまして「水曜日のエモー
ショナル」というフレーズを使いたいことを
申し出たところ、承諾してくださいました。
※「水曜日のエモーショナル」を傷つける
内容ではないことを記しておきます。
第3夜は、上弦の月。
では、どうぞ─────────
散文詩 上弦の月 no.3
~Midnight drive~
街路灯のオレンジの光が視界に入っては、
後ろへ流れる。道路に沿って等間隔に設置さ
れた明かりは、フロントガラスをなめるよう
にして。
目的もないまま国道を西へ、ひたすら車を
走らせている。昼間のプレゼンテーションの
失敗が離れなかった。失態だろう。クライア
ントを交えた会議の場で、完全に言葉が飛ん
でしまった。聞き手のニーズに合わせ話を進
めていくどころか、質問にも上手く応えられ
ず、課長がタイミングを見計らって手を差し
のべてくれたものの、最終的に準備不足を指
摘されてしまった。社内での信頼は無くして
しまった。言葉が出なくなるのは、テレビド
ラマや小説の中だけの話だと思っていた。
食欲に訴える牛丼屋のチェーン店の明かり
を過ぎる。ラーメン店の看板を過ぎる。腹は
すいていなかった。プロジェクトチームから
外されたショックが大きすぎて、家にも帰り
たくない。
気分転換をしようとラジオのボリュームを
あげてみると六花💌の曲が流れていた。音楽
に詳しい訳ではなかったが、記憶していると
ころ、映画の主題歌になった「White blue」
で若い世代の心を捉え、メッセージ性の強い
歌詞が特徴のアーティスト、というくらいは
認識していた。新曲の「水曜日のエモーショ
ナル」のサビの部分に差し掛かる。
(数学者と呼ばれる人たちだって
自分の人生まで完璧に計算できる人
いないと思うから♪)
その夜は、国道を西へ、ひたすら走り続け
ていました。堅固に生きてる部分と脆弱なま
ま生きてる部分が、環境の微妙な変化に対応
しようと激しく出入りを繰り返す。
「数学者と呼ばれる人たちだって
自分の人生まで完璧に計算できる人
いないと思うから」
強がりをひとつ口ずさむ間にも、からだの
中の細胞は、生まれては死んでゆく。
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イラスト、お借りしました。
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作品はフィクションです。
あらためまして、六花💌(エモ/エモー
ショナル🦄)さま。一方的な願いを聞いてく
ださいまして、ありがとうございました。人
気クリエイターの方との、はじめてのコラボ
レーション、楽しませて書かせて頂きました。
本物の「水曜日のエモーショナル」は毎週
水曜日夕方に更新しております。水エモ1周
年記念特別企画としまして、✨あなたの一番
好きな水エモを教えてください❣️を募集中だ
そうです。3月23日 締切です。皆さま、そち
らの方へもアクセスよろしくお願い致します。
読んでくださいまして、ありがとうござい
ました。
(作品中に誤解を与えてしまうような表現が
ありましたならば、ひとえに作者の力量不
足であることを記しておきます)
次週は十三夜です。お楽しみに!