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着物ぐらしのその前に(3)2016年3月留袖デビュー

キモノ大好き、といっても、初心者以前の、何から始めていいかわからないとき。

姪っ子の結婚式に招待されました。

キモノ好きのミセスならば、いつかは着たい留袖。まさか自分の人生で留袖が着られるとは思っていなかったので、何が何でも留袖。

袋帯だの礼装の着付けはできなかったので、市内のレンタル屋さんで留袖と次女のドレス、そして夫の礼服を借りました。

最初、夫はスーツを借りようとしたんですがね。ニュージーランド人ってスーツの所有率めっちゃ低いんですよ。自営業だと特に。夫は一人っ子ですし、義両親はふたりでニュージーランドに移住されたので、親戚もなく。造園舗装業ワンオペ自営業の夫は、礼装どころかスーツ持ってないし、ネクタイもない。

ニュージーランドって英国文化圏ですが、正装するような行事がほとんどありません。葬式にも、普段着や仕事着で参列しても、だれも気にしない。

よっぽどハイソな方々でないと、礼服着ないし持ってない。(^◇^;)

それで、スーツを借りようとしたんですが、「ワイシャツは自前で」って言われて……。「持ってきてないし、そもそも白ワイなんか持ってないし、明日の式で今日じゅうにこの体格に合うワイシャツを買いに行くとか無理」

夫「アンタが和装の礼装なら、ボクも和装でいいじゃん。羽織袴着たい」

衣裳屋さん「羽織袴は最礼装なので、ご親族が新郎新婦のご両親より格の高い礼装はちょっと不都合かも」

兄と姪っ子に電話する。

兄「おれ? モーニングだよ。夫さん和装? 別にいいよ」

姪「いいよーいいよー叔父さん、羽織袴着て! 私も半分出すから!」

決定。

羽織袴なら襦袢から足袋や草履もいっさい借りれるので、正装一式持ってない男性は特に助かりますね。そういえば、スーツ借りるつもりだったのに革靴持って行かなかったし。というよりスーツに合う靴もってないよ夫。

で、あとで請求書見て目玉がポロリ。

男子礼装の羽織袴が、女性の留袖のレンタル料の四倍(^◇^;)

この値段なら中古が買えたんじゃない?

留袖も。リーズナブルといえば、リーズナブルなお値段で助かりましたけど。あとでヤフオク見たら、このお値段でも状態のいいのが買えるんですよねー。あとは自分で袋帯も結べるようになれば、いいわけですよ。

一回か二回しか着ないであろう衣裳なので、場所は取るし、手入れや保管の大変な着物です。年を取れば体型も変わるし、似合う柄も違ってくる礼装。借りるか買うかは、ひとそれぞれですが。自分のものにすれば、あとでリフォームしたりして楽しめるのに。

というか、いま留袖が熱いんですよ、奥様。タンスの肥やしになっている留袖でおでかけしたり、コンサートしたり、アレンジしたり、ファッションに取り入れようとする動きもあります。

リメイクにしてドレス作って、リサイクルショップやエスニックドレス店に持って行ったら、日本好きの外国人がおおよろこびで買ってくれるのでは。

機会があればどんどん中古の留袖を購入して、着回したり着潰したり、あるいはリサイクルで小物つくったり、中には柄を切り取って額に入れて飾りたいほど、すてきな刺繍や染めのアートの宝庫ですから。

黒い部分も、ニュージーランド人は黒い服が好きらしいので、リメイク活用いろいろありそうです。

末広は開くもんじゃない?

知らんかったですね(⌒-⌒; 

気にしない、気にしない。


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篠原悠希(小説家)
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