「天涯の楽土」文庫版発売!
月刊篠原(青息吐息)は、2013年篠原のデビュー作「天涯の楽土」文庫版の刊行でひとまずおやすみ。
しかし、金椛国春秋の8巻に次いで連続刊行なのは、スケジュールが決まってから「しまった😰」とほぞを噛んでしまいました。
もちろん、本が出るのは嬉しくありがたいとことです。単行本が出て6年経ってますから、もう絶版かな😭と思っていたので、この機会を逃すことはできません。では何が「しまった」なのか。
金椛の遊圭と玄月と、天涯の隼人と鷹士の関係性が似ていると指摘されて、時代も世界観も、四人の性格も違うし、そんなことないだろと改稿作業に入ったところ……
…… ……
あ、はい。確かに似てますね。
こんばんは。ツンデレ兄貴と直情パシリのバディものが、読むのも書くのも大好きな篠原です。6年作家やって、ぐるっと原点に戻ってしまったのでしょうか(^_^;)
いえ、金椛国春秋は少年星遊圭のサバイバルストーリーであり、成長物語です。玄月とのバディ展開になるはずではなかった((^_^;))のですが、初巻執筆中は名前すら(仮)の端役であった玄月は、登場するなりかなり強引にストーリーをかき回して主役の遊圭を圧倒していきます。作者は玄月が掌から飛び出さないよう、あくまでもカウンターキャラとして手綱を押さえるのに必死であります。
なので、作中の玄月はたしかに遊圭の大人のロールモデルであり、導き手でもありますが、ただでは導いてやる気などサラサラないし、皇帝の陽元の出番も取るなど、いつでも主役に取って変わってやろうという超腹黒いキャラであります。よって遊圭との関係性はバディものでなく、隙あらば下克上物語の様相ではと、作者は捉えています。
鷹士も玄月も、悲惨な子ども/少年時代を生き抜いてきたという過去はあり、そのために口が重いという共通点はあるのですが、背景も性格も違うので、そのあたりの違いが描けていればいいと願うばかりです。(⌒-⌒; )
鷹士は平たくいうと、殻の厚い孤独な少年ですが、中身が真っ黒に詰まった玄月とは対照的に、その厚い殻のうちには守るべき何ものもない虚無を抱えています。マイペースで元気いっぱいな隼人が鷹士の殻を叩いて、ちょっとでも開いたヒビの隙間から、どんどん喜怒哀楽を詰め込んで、動乱の時代に強者に支配されることを拒み、自らの意志で生きる自由をともに手にれようと働きかけます。
主役の隼人や遊圭より、鷹士語りや玄月語りが増えてしまうのは、篠原は主人公にある程度の自己を、カウンターキャラに理想とするタイプを投影させる種類の作家だからかもしれません。
というわけで、書き直し、加筆、新エピソードも盛り込んだ、文庫版「天涯の楽土」をよろしくお願い申し上げます。
天涯の楽土 篠原 悠希:文庫 | KADOKAWA https://www.kadokawa.co.jp/product/321910000656/
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