ようするに玉砕
好きな人と交際に至るまでは
まず知り合いや友達から始まり
ある程度の期間仲を深めていって
相手に好意的に接して
脈があるか無いか観察したりして
気持ちを告白するかもしくは告白せずとも自然とくっつくかで
交際が始まります
段階を経て恋人になります
障害の調子があまりよくなく
通学が負担にならない通信制の大学に編入していました
パートをして働いていて午後からは時間が空いていたので
まえまえからピーターフランクルが好きで
彼がやっているジャグリング、いわゆる大道芸をしたいと思い
ジャグリングのサークルを探しました
とある大学で部外者も参加可能だったので
そこのジャグリングサークルに所属することにしました
本格的な大道芸の道具を使って
サークルの学生たちはもくもくと練習
私もあこがれのピーターフランクルに近づきたいと
頑張ってクラブとボール、ハットを購入して
練習していました
時々サークルのメンバー同士話をしていて
私もジャグリング仲間を作りたくていろんな人に話しかけ
黒ぶちメガネをかけた純朴な感じの青年にも話しかけました
クラブを練習していて5本ぐらいグルグル回していて上級者です
自己紹介をして黒ぶちメガネの青年にもどこから来たのかいろいろ聞き
メルアドを交換
2か月ぐらいサークルで練習をしていて
ミーティングの時に合宿をしようと言う事で
部外者の私も参加させてもらえることになりました
サークルの女子友と行きの電車で楽しく話をして
電車にのっていた乗客の人に
どこの大学生ですかと聞かれ
サークルのみんなはそろって国立一流大学といい
私だけは違っていて私立の通信制の大学だというと
国立一流大学のメンバーの男子が
「わかってるやんけ」と
嫌見たらしく学歴でマウントをとってきました
別にいいか、と気にすることも無く
他に話し相手を探しました
前述した黒ぶちメガネの青年が一人手すりを持って電車に揺られていました
ぱっと私の目に入った瞬間
大道芸の道具をもった黒ぶちメガネの青年の純朴さが
なんとも言い表せないほがらかさのオーラをはなって
私の心をはっとさせてメガネの青年に一目ぼれをしてしまったのです
自然に近づいて行って
なんで一人でいるのか、一人が好きなのか等話をして
メガネの青年もまあそんな感じだと答えて
ほがらかな雰囲気に包まれて
いったん女子友のもとへ
ほのぼのとしたいい気分になってました
宿泊施設に到着し体育館で練習
いつも以上に長時間集中して練習
しかし心のどこかであのメガネの青年を気にして目で追っている
その時はそれで終わって再び練習に
私は仕事があったので一泊だけして
サークルのメンバーとは別に帰宅しました
半年ぐらいして障害の調子が悪化し
大学も仕事もできなくなり緊急入院しました
サークルの部長さんに体調悪化の事を説明し退部
部長さんはまた体調が良くなったら来てくださいねと
優しい言葉をかけてくださいました
それから3年たち体調が安定したので
もう一度サークルに戻りました
あの黒ぶちメガネの青年がいたのです
「○○さんですよね」と3年前にサークルにいた物ですと
話しかけたら覚えて無いとの事
しかしメルアドを教えてもらえる事が出来ました
メガネの青年は日焼けをして前の純朴なオーラは無く
たくましい感じになっていました
あとでサークルのホームページを調べたら
メガネの青年はプロの大道芸人として活動されていたのでした
OBとして大学で練習していたのです
途中帰りしなメガネの青年と鉢合わせして
コンビニに行くといったら
「僕もコンビニに行こう」といって二人で入口まで入り
それから別行動
私はこれは奇跡的な再会だとハラハラして3年前の一目ぼれの気持ちを
再燃させたのでした
メガネの青年とどうやったら友達になれるか距離を縮められるか
コミュニケーションをとれるか
そういえばジャグリングの事ならいろいろ聞いてもらってもいいと言っていたので
クラブの扱い方をメールで質問しました
めっちゃ親切に丁寧に説明の返信が帰ってきて
めっちゃ嬉しくなりました
とそこまではよかったのですが嬉しさのあまり私はやらかしました
「この間はグラブの投げ方を教えて頂いてありがとうございました、うまくできるようになりました。一緒に食事にいきませんか」
いい感じでメールができていたのに
いきなりキャパを越えて食事に誘ってしまったのです
段階を踏まずに信頼関係も無くそんなのでいきなりそんなことを言ったのでメガネの青年からは返信は途絶えました
私はその時点でまだ大失敗に気づかないままだったのです
その後大道芸人のメガネの青年のSNSを見つけて
そんなこともあったにも関わらず運よくSNSの友達になれたのでした
SNSで大道芸人のメガネの青年にまたいろいろ話しかけました
ちゃんとまじめに返信が来てコミュニケーションが取れて行き
前回の失敗はあまり影響してないようで
メガネの青年も私のSNSを見てくれて
いいねを付けてくれました
少し距離が縮んできたのを実感
ある時メガネの青年が体調を崩した時があって
私は励まそうと少し距離も縮まったのでなぜが冗談をいってからかってみようとメッセージを送りました
後になってわかるのですがそれはそれはひどい冗談
少し距離が縮んだだけで浮かれてバカみたいな冗談で相手をからかい
皆さんの想像どおり通り大道芸人のメガネの青年から即ブロック
自分はその時点で何が起こったのかぼんやりしていてはっきりと分かってない
前回もたいして話した事も無いのに食事に誘い返信が無くなる
なおかつ今回も少し距離が縮まったとはいえ行き過ぎた冗談が通じる関係でもないのに相手のキャパを越えてやりすぎてブロックされる
ようするに玉砕
段階も踏まずに信頼関係も無く
友達でも無い人からキャパを越えて近づかれたら
その圧力は恐ろしい
メガネの青年がどんなに怖い思いをしたであろうか
後になってその恐ろしさが分かった
仲良くなろうとすることはいい事だ
人を好きになる気持ちは素晴らしく美しい
メガネの青年を好きで仲良くなろうとする当時の自分は可愛げだと思う
もしや段階を踏んでちょっとづつ相手のキャパを守りながら
領域に入って行けば
彼も私の好きな気持ちを分かってくれたのではないか
初めて会話したときの彼の反応からは可能性も感じられた
シンプルに段階を踏めばずっと友達でも居続けられたのだ
突撃しなければいい
彼は今も大道芸人でいる
私は遠くから彼の事を応援している
あの時の好きな気持ちはもう無い
好きな気持ちが彼を怖がらせるので
気持ちが無くなって良かったと思う