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一筋縄ではいかぬ

数日前娘に
「ママが母親でよかった」
と言われました。

なにかというと、
彼女はいま、就職活動の真っ最中なのですが
あまりにも必死すぎる友達の姿をみて、
ふだんからわたしが
「就職活動なんてアホらしい。別に卒業までに見つかればいいじゃん。
必死に就職活動して内定得ても、1,2か月で辞めたりするひともいるんだし、そら大手は新卒がいちばん入りやすいし、経験しといたほうがいいとは思うけど、こういうのは運、縁、相性もあるし、いろんなことが、なるようになる。就職活動で過度に傷つく必要はない」
的なことを言っているので、その姿を思い出して
「ママが母親でよかったと、心から思った」
とのこと。

え~、そんなことで。
ふだんからおいしい料理つくってくれるとか、
おもろいとか、そういうところをほめてくれたらいいのにー。

でも、彼女にとってはいま一番の重大事ですものね。
平静を保とうとしつつ、やはり受かったり落とされたり…で気分があがったり落ちたりするもの。
周囲の友達の頑張りや必死さをきいて、情報収取して、自分のスタンスはここれ、自分の求めるところはこれ、と知識情報と感性を動員して就職活動を進めているようで、そのなかでも心の揺れや不安などもありますから、わたしの「なんとかなるわい」という態度に安心するようです。

実際のところ、私自身はろくな就職活動もせず卒業直前にジタバタ、
子持ちの24,5歳でしたから当時ではセクハラパワハラ、
「24歳なんてもうおばさんだ」
と面と向かっていわれたりして
結局、英語教材を売りつける、シングルマザーや在日韓国人の女性、
会社をリストラされた男性を寄せ集めたブラック企業に就職したものの
あんまりにもひどかったので2,3か月でトンズラしました。
当時、3歳の子を抱えて働ける時間にも縛りがあり、
そんななか、ようやく得た仕事を離れるのんは不安ではありましたが
どうしても、ここには居続けられないという強い思いがあり、
いまではその自分の感性と決断に自分でエールを送りたい。

その後、就職したまともな会社でいまの夫と知り合い、
妊娠ということで退職。しばらくパートをいくつか経験して、
派遣社員として大手の会社をふたつ、経験しましたが
つらい思いをしたこともありましたが、貴重な経験をたくさんさせてもらい、人間としても社会人としても成長させてもらいました。

そういう大会社で世界トップクラスの方々と接する機会もあったり
大小のイベントを任されたり、秘書をしたり
30歳のころの自分を思い出すと我ながら恥ずかしいくらいに未熟でしたが
いまではいろんな仕事を着実にやりとげる自信があります。

そういう、「新卒で入社してそのままずっと」ではないのに
なにかいつでも楽しそうで、苦労しながらもいきいきしているわたしを見てきた娘が実感として、
「道はひとつではない。いろんな道がある。そして運と縁、相性がある。そのなかで、自分ができる努力をして高めていったら、確実になんらかの実がみのる」
という気持ちを持っていることを知り、うれしく思いました。

わたしの母親は直情径行型で、思ったことはすぐ口にするひとでした。
それがどんなに人を傷つけるかを考えもせずに。
自分の狭い見識でものごとすべてを判断し、批判する。
じぶんは「母親は娘を思うもの」と思い込み、
いろんな押し付けが愛情だと信じている。

きぃきぃと心配してみせることが親の姿だと思っているようで、
わたしがあえて子どものすることに口や手をださずに
遠くから見守っている姿を、
「親として、こどものことをちゃんとしない」
と批判しますが、わたしは彼女を反面教師として
(手を出し、口を出し、過干渉な彼女のおかげで
解放される大学入学まで、自分で物を考えて動くことができなかった)
「あれはどうなってるの、これはどうしているの」
と内心は心配していても、それは出さずに
あまり心配しないよう、ゆったりかまえておくことにつとめて
娘が話をしたいとき、相談したいときだけ受け入れて話をきく、
という態度をとっています。

娘ももうすこし前までは、
「ママはわたしのことに関心がない」
と批判していましたが、さいきん、すこしはわたしのスタンスをわかってきてくれたかな?

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