年齢は恩恵
映像に特化したギャラリーを運営する友人がいて、有償や無償でパンフレットや情報発信の翻訳、来日アーティストの通訳などして手伝っています。
昨年春、まだ若干寒さが残るころ、当日急に、アメリカの映像作家であるアビゲイル・チャイルドがギャラリー見学にくる際の通訳をお願いしたいと言われました。友人の手伝いをはじめてまだ間もないころ、映像や芸術関係の語彙が乏しくて苦労したところもありますが、スムーズに見学が進んだので友人、アビーともに感謝してもらえました。
アビーはパートナーでこちらも実験映像を作っているらしい、ロバートさんというサイエンス・ライターと一緒に来ていて、アビーは元気で華やかなひと、ロバートさんは物静かで知的でそしてユーモアのセンスのある、素敵な方でした。2Fにあるギャラリーをひととおり案内して、1Fにあるカフェでお茶をして結局ランチも一緒にすることになり、たのしい、豊かな午後を過ごしたのですが、あれこれ話をしているなかで、アビーが
「年齢を重ねることは、特権だわ」
と言い、わたしが
「そうね」
と同意すると
「あなたは、そう言うにはまだ若すぎるわ」
と言われてしまいました。
いや、確かに彼女は当時71歳で(いきいきとしていて、よほど若く見えましたが)相方のロバートさんも同じくらい、ギャラリー運営の友人も60歳代で
彼らからすると、わたしはひよこっ子でしょうが、世間一般からすると、40歳代のわたしもそれなりに年齢かさねているからね!
最後はなごやかに、「哲学の道」に行きたいという彼らをバス停まで見送り、以来、FBやTwitterでつながって交流は続いています。
若さのよさも多々ありますが、年齢、経験をかさねてきたからこその蓄積、思い、あれこれのつながり…というのは、たしかにある、と思います。
ともすれば老いていくことへの焦燥を感じることもありますが、そのたびに、アビーの言葉を思い出すようにしています。
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