ナンバー2はナンバー1を狙えない?総理と幹事長の関係性
あの安倍元総理も菅官房長官も敵には回さなかった「男」。と言うと、格好いいけど、実態は能力が高く、仕事が早いから、政調会長、選挙対策委員長、TPP担当大臣と、ポストを任せてきたのだろう。
安倍ー菅ー岸田、と総理が代わっても、外務大臣、幹事長とまるですごろくのように順調にポストを歴任してきた。党幹部と大臣、おそらく、ここ10数年、SPが外れたことはない。
そして、いよいよ、最後のゴールを前にしているけど、茂木氏は次期総理になれるのか?
歴代幹事長をみても、総理総裁を支えるナンバー2の幹事長は、絶大な権力を持つ反面、ダイレクトに総理になるのは難しい例が多い。
有名なのは、谷垣総裁を支えた石原伸晃幹事長、「私は谷垣さんを支えるために政治家をやっているわけではない」と言って、総裁選に出馬表明。「平成の明智光秀」とレッテルを張られ、惨敗。第二次安倍政権につながった。菅直人総理を支えた岡田克也幹事長も。鳩山、菅直人が倒れ、小沢一郎が刑事事件の裁判を抱え、トロイカが全滅したのだから、本来なら岡田総理が順当だったけど、退陣する菅直人総理を支える立場だったため、代表選に出ることもできず、後輩格の野田佳彦に譲った。
第一次政権の安倍総理も突然の辞職、当時の幹事長の麻生太郎は総裁出馬を表明するも「クーデター説」が永田町を駆け巡り(*このクーデター説あは後に安倍元総理が全面否定している)、「麻生包囲網」を敷かれて惨敗。
このように幹事長が、幹事長のまま総理になるため総裁選に出るのはとても難しい。次期総理候補クラスが付くポストなのに、よほど禅譲がうまくいかないと。
その意味では、茂木幹事長の次の焦点は、次の内閣改造役員人事でどう動くかでしょうね。幹事長続投を望まず、10数年ぶりに無役になって在野に出るなら、次の総裁選に向けての布石と見るでしょう。
そもそも岸田総理が茂木氏を幹事長に任命しているのは個人的に親しいわけでも信頼しているからでもない。派閥バランスで、代々、岸田派=宏池会が政権を担う時は、田中派(いまの茂木派)=経政会(いまの平成研)の支持を必要としてきた。いまの岸田派も43人ほどの少数派閥。茂木派はもともと源流が近い。吉田茂から佐藤栄作の流れを汲んだ田中角栄と、池田勇人から始まった宏池会。兄弟派閥といわれる所以だ。総裁選再選に向けて、岸田氏は引き続きこの「兄弟派閥」の取り込みに腐心するだろうし、一方で、茂木氏はどこかで岸田丸を降りて、自分の船に飛び移るタイミングをうかがう、これから来年秋の総裁選までは、岸田VS茂木というのも隠れた対決の構図としてみえてくるでしょう。そうした視点で日々の政治ニュースをみると、茂木幹事長がなぜ子育て支援で総理より先の言ったり、維新と急接近しているのかもわかります。岸田総理のためではなく、この人は自分のためmにやっているんだってことがね。