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ブログ「KHAKI DAYS」から選んだエントリを載せています。加筆・修正あり。
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#小説

映画「トニー滝谷」

映画「トニー滝谷(たきたに)」の監督は市川準だった。 市川準は「病院で死ぬということ」「トキワ荘の青春」などの、 非常に静謐な映画を撮る監督であり、 もともとはCMディレクターであった。 なるほど、各シーンへの入り方、研ぎすまされた映像、 この緊張感は確かにCM的かもしれない。 「トニー滝谷」の原作は村上春樹で、 音楽は坂本龍一で、 主演男優はイッセー尾形で、 主演女優は宮沢りえだ。 もう、これだけで一見の価値があるだろうという キャスト&スタッフである。 あと一般的に

新ジャンルは侮蔑をもって迎えられる。

例えば「小説」という言葉があります。今ではそれなりに知的な印象を持って迎えられるジャンルですが、漢書を起源とする「小説」という言葉は、「取るに足らないもの」「価値のないもの」という侮蔑的な意味からはじまっています。 かように、新しいものはしばしば侮蔑をもって迎えられるようです。それは、まさに名づけをする側の人間たちが、その時点でのマジョリティ、つまり旧価値観側に属しているという構造があるからでしょう。彼らにとってみれば新しい潮流などというものは、「低俗な流行りもの」に過ぎな