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身体にたとえる篠笛の部位名〈002〉

篠笛の話をする時に、「あの部分のあそこの色」とか「あの糸みたいなんが(籐のこと)」といった表現では、うまく会話がいきません。

笛を選ぶ時はもちろん、笛を教える時にも、各部の名称を知っていた方が会話が円滑に進みます。

このコラムでも以下の笛の部位名が頻繁に登場しますので、まずは、ここで確認しておきたいと思います。

図01

歌口(うたぐち)
息を当てる孔が歌口です。実際には管全体の空気中が響いて鳴っているのですが、笛の音の音を生み出す起点となる重要な孔です。「歌口の中心に唇を持ってくる」「歌口にしっかりと笛を当てる」「歌口に下唇を乗せる」といった会話が成立します。

管頭(かんがしら)/ 管尻(かんじり)
内部が空洞の笛をもって「管」と認識し、歌口側を「天」、逆の端を「地」として、それぞれ、管頭、管尻と呼びます。管頭の方が径が太くなっており、竹が生えている時には、こちらが地面に近い部位になりますが、笛になった段階では、こちらを頭とします。管内に溜まった露(つゆ)などが歌口側に溜まると音が出にくくなるので、管頭を上にしておくことが多くなります。

管頭には笛の音高を示す数字が記されており、岸和田の地車囃子では「七」あるいは「上七」(七と八の間の意味)の番号の笛が用いられます。これについては項を改めて詳述します。

指孔(ゆびあな)
岸和田の地車(だんじり)囃子で用いる笛は指孔が六つのものです。全国的には七孔や五孔のものもあります。歌口側から第一孔、第二孔、第三孔・・・と呼ぶことにします。

籐巻(とうまき)
割れ防止を兼ねた装飾としてツル性の籐を巻きます。管頭と管尻のみに巻く「両巻(天地巻)」と、指孔などにまでも巻く「総巻」があります。

喉(のど)
歌口と指孔の間を喉と呼びます。「管頭」「歌口」「喉」「管尻」という名称からもわかるように、笛を人の身体にたとえています。笛の音の響きに直結する部分のため、「民の謡」の「岸極(きしのきわみ)」では、あえて籐巻を施さなようにして、響きの成分を確保しています。

銘(めい)
管尻の近くには笛の銘が焼印されます。「民の謡」では、定番の「獅子田(ししだ)」(竹渓-ちっけい-)と、岸和田祭だんじり囃子の鳴物専用篠笛「岸極(きしのきわみ)」を二種類を取り扱っています。

以上、笛の各部の名称を確認しました。

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〈本日のツボ〉 笛の部位は人の身体にたとえられる
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