伝統芸能のために自分の音楽に遠慮しない三味線ポップ。セルフライナーノーツとリファレンス「都会の森」
まずはじめに伝えておきたいことがあります。
アルバムタイトルはすべてのレコーディングを終えても尚決まらずでした。でもこの「都会の森」を最後の最後に書き下ろしたことで、どんな色や光になろうか悩みながらも一歩一歩進んできたCHiLi GiRLにとって、強みや個性を自分でやっと掴み始められた感覚があってね。
実はまだまだ「せっかく三味線(民謡)をやってるんだから、伝統を活かしたようなことやってみたら」とか、そんな期待やリクエストをしてくださる方もいます。だけどね、素晴らしい伝統芸能家はめっちゃいっぱいいるし、いま伝わりにくい伝統音楽だってかっこよくアレンジして紡いでくれる人は変わらずいるのです。個性的な活動に伝統を委ねすぎず、餅は餅屋がいいと思うのよ。だからねあたしは、
伝統のために自分の音楽を遠慮してしまうようなことはしたくないんです。
そう改めて思いました。CHiLi GiRLの傍ら、すっきり津軽三味線演奏家としての川嶋志乃舞が在り続けているからこそ思うの。
伝統芸能や童謡や民謡、そしてあたしの最大のルーツである渋谷系ならびにCityPopから間違いなく影響を受けてきたあたしの中に生きている御国の言葉。そして体から出てくる音や可能性を秘めた三味線。大好きな音楽、体を揺らしたいグルーヴの上でそれらを自分の感じるままに表したいし、どんどん自分のアイデアが芽生えて実りますように、と言う意味なんかを込めて「MEBAE」にしました。すごく気に入っています。
CHiLi GiRLは、三味線と言葉とでポップに生きるのです。
都会の森
作詞作曲:Shinobu Kawashima
編曲:友重悠
雨粒の音が慣れた窓をノックする
退屈しない熊のようなあなたの寝息
背伸びしてたっぷりのわたげを身にまとい
恋を実らせ根を張ってくの
ぽつりと涙も乾く頃に季節も変わる
わがままな天気もきらめいてくの
大人になっても恋したい
ヒールを脱いでダイブする
ここは都会の真ん中
なのになぜかしら
まるで森のようなの
居心地の良いあなたの腕の中
心が澄んでゆく愛の隠れ家
時々あたしの中に眠る
悪魔がささやいては
こころを食らいつくそうとしても
ちいさな陽の光を秘めて
裸足のままかけてゆくわ
とっておきの場所へ
つよく抱きしめて
そう、都会の真ん中
不思議ね なぜかしら
まるで森のようなの
居心地の良いあなたの腕の中
心が澄んでゆく愛の隠れ家
ここは世界の真ん中
アルバムの最後の砦であり、アルバムのリード曲となりました。
この頃流行りのヘイトや生々しい言葉を綴った歌詞って、あんまり聴くのも演るのも得意じゃなくて、結局そんな反骨精神を青々と潤した一曲になりました。結局これもこれで、あたしなりの”ヘイト”なのかもしれないね。
童謡が大好きなあたしは、陽の光の差すような、ママやパパの腕の中のような、それが大人になって愛おしい相手の腕の中のような、ロマンよりも純心に寄った言葉を選びました。
それから、ラブをラブのまま伝えたくて、その頃ずっとEPOを聴いていたな。
でもEPO聴きすぎると好きすぎてEPOにしかなれないロードまっしぐらで危険だったので、これらのグッドメロディがちょっと心に滲んでる程度に留めて、自分の思う”都会の森”を表現するのに結構奮闘したのも、今となっては良い思い出です。
瑞々しさのリファレンスは、ミニーリパートンの中でも特に大好きなこのアルバムから。でもミニーのソウルフルな雰囲気にしすぎると強すぎるから、サウンドカラーはEPOっぽい80's風味になっています。CHiLi GiRLはポップだからね。
今紹介したどの音楽たちも、楽器の仕分けがうまいうまい!
だからこそこの曲も、シンプルに三味線の音をぽつりぽつりと鳴らすだけ十分だなと思えるバランスにも仕上がったと思います。
まじスペシャルサンクスだよ、はるくん。
はやく聴きたくなったでしょ?待ってるからね!
【 出演情報 】
5/21&22 新代田crossing(主催)
5/28 青山月見ル君想フ
6/5 浜松窓枠
6/6 心斎橋JANUS(GOOD BYE APRIL共催)
6/26 水戸SONIC
7/10 渋谷WWW(ワンマン)
詳細とご予約▶︎https://www.clg-tokyo.com/show