見出し画像

地域おこし協力隊2年目が終了しました

2021年7月に最後にnoteを更新してから早1年9ヶ月が経過してしまいました。3日坊主忍者の嵩丸でございます!皆の衆、お元気でござりましょうか?

最近は動画や音声での発信が中心となり、もはやテキストで何かを表現するのは論文か寄稿記事・書籍のみになってしまいました。昔はNinjackという忍者情報サイトで毎日のように忍者記事を書いていたのに、今は動画や音声の時代となり、時代の流れというのは早いですね。

流れが早いと言えば、実はもう甲賀市の地域おこし協力隊になって、今日で2年が経過してしまったようです。早い。あまりにも早い。甲賀に移住したのはついこないだのような気分でおりましたが、任期もあと1年となってしまいました。

2年目の地域おこし協力隊の活動は、正直かなり頑張ったと思います。令和4年度に取材を受けたり自ら発信したメディア関係の活動だけでもまとめると…

  • テレビ・動画出演:37件

  • 新聞取材:10件

  • ラジオ出演:2件

  • 書籍・論文執筆:3冊

  • 新聞・雑誌記事執筆:11件

  • YouTube動画:85本

  • 音声配信:53件

  • 講演・講義:16件

  • 教室:14件

と、去年に比べて爆発的にいろんな媒体で発信をしたり、取り上げていただく機会が増えました。これに加えて観光仕事などがあるので、この1年はもの凄い稼働時間だったように思います。

地域おこし協力隊の稼働時間は月160時間なのですが、特に残業時間という概念がなく、多く働きすぎたら翌月で少なくするなどで調整することになっています。令和4年の稼働時間を集計してみると、残業時間だけで半年くらい休みが取れそうです(笑) 来年度はもう少し休みたいですね…

さて、地域おこし協力隊活動の2/3が終了してせっかくの節目なので、来年度の活動をどうするのかを考えるべく、2年目の活動を振り返っていこうと思います。

転機となった忍術書「間林清陽」の発見

2年目も4〜5月は比較的のほほんとやっていたのですが、自分の活動の転機はなんといっても幻の忍術書「間林清陽」の発見からだったと思います。

実際に見つけたのは2021年の12月なのですが、その後解読や分析などを経て、6月の甲賀流忍者検定に合わせて磯田先生や山田先生と一緒に記者発表をさせていただきました。

ここから新聞やテレビ、YouTubeなどの取材依頼が殺到するようになり、たくさんのメディアで取り上げていただくようになりました。特に思い出となったのは、「ニュースキャスター」と「コヤッキースタジオ」さんに取り上げていただいたことですね。

このことがきっかけで、「間林清陽」関連で書籍が2冊出せたのもありがたいお話でした。数年前は東京大学出版会で本を書かせていただくことができるなんて、想像もできなかったですもん…

地域おこしにあたって研究分野での寄与をしたいというのは移住当初からの悲願だったので、このように全国ニュースに取り上げていただけるようなインパクトを出せたのは本当に嬉しかったです。今回のことで確信したのは、やはり甲賀は忍者で売り出していくべきこと、その上で調査・研究は欠かせないものであることでした

伊賀を除くと、他の地域ではこんなのちょっとやそっとじゃ出てこないです。でも甲賀にはあるんです。甲賀は忍者が実際にいた地域なのですから…!結果として、非常に全国の注目を浴びましたし、このニュースは海外まで轟きました。きっとまだまだこのような貴重な忍者に関連するモノが眠っているはず。これをもっと活かさない手はないんです。もっともっと調査に力をいれるべきだと思います。

甲賀流忍者調査団(ニンジャファインダーズ)の団員に任命いただきましたが、この組織は歴史文化財課のとある職員の方が一人で頑張っている組織で、いつこの活動が消えてしまうかわからないほど不安定な組織だなと思っています。この方のサポートをしながら、もっと確固たる組織にすべく、来年度はいろいろ動いていって、甲賀での忍者調査の優先度をもっと上げられるように活動をしていきたいです。

二度目の正直「国際忍者学会」

9月には甲賀で国際忍者学会大会が行われました。昨年が緊急事態宣言の影響でオンライン開催となってしまったので、今年は甲賀にとっては2度目の正直となる開催でした。

この大会は国際忍者学会運営委員としての立場と、開催地の運営責任者としての立場と、発表者としての立場で関わっていたので、チラシ作ってホームページ更新して、現地会場の準備と巡検のコース選定やバス手配しながら、 研究発表資料を作り発表するって感じで、正直かなりきつかったですw でもせっかく甲賀で大会をやるのでぜひ発表したいと思って、みなさんが興味ありそうなテーマで発表させていただきました。

普段から「甲賀が悪者なんですよね?」と観光客とかに言われるので、これは一体なぜなんだろう?というのを明らかにしたかったのですが、お金かけてアンケート調査をしてみるとやっぱり忍者の里といえば「伊賀」をイメージする人が多くて、甲賀との差はダブルスコア以上だというのには、結構愕然としました。そこまでかけ離れてるのか…と。

結論としては甲賀忍者が悪者というイメージはフィクション作品の影響ということになるのですが、今後忍者を盛り上げるのに必要なこととして、やはり創作作品における忍者コンテンツは重要だなと気づくきっかけにもなりました。もちろん史実の忍者や忍術書に載っているリアルな忍術が大好きなのですが、リアルばっかり押し出してもなかなか興味を引けないんですよね。上澄みのコンテンツからみんな忍者/NINJAを認識して、そこから自分の忍者像を固めていくわけですが、この忍者コンテンツを抑えないとリアルの忍者まで来てくれないのです。

発表の中でもいいましたが、昔の作品ではあたりまえに伊賀や甲賀の忍者が出てきていたのに、今の30代以下の人々が触れている忍者コンテンツには甲賀や伊賀というバックボーンが出てこないことが多いです。(忍たま、NARUTOなど)やはり甲賀忍者が主人公のヒット作品を作らないと、なかなか甲賀の知名度向上は図れないのかなと思います。将来的にはこの辺も手掛けていかないといけないのかな、と危機感を感じるようになりました。そうしないと甲賀や伊賀が忘れ去られてしまうという状況にあるのです。

夢が叶った「忍夜討〜水口・岡山城の戦い〜」

忍者学会が終了してからは、すぐに忍夜討の準備に取り掛かりました。甲賀忍者の戦国期の史料では、基本的に夜討とか放火とかばかりしていまして(伊賀もそうです)、忍術書にも「忍夜討」という巻があって、夜討=忍者の専売特許みたいなところがあります。リアルな甲賀忍者を体感するためには、いつか夜討をしてみたいな〜と漠然と思っていました。そんな夢を実現させることができました。

予算がついてなかったので観光庁の補助金を使って、市役所とか城の会さんとかに協力お願いしまくってなんとか実現させることができました。ルールは夜な夜な北斗白影さんと一緒に考えて、実際にやってみたい形を作り上げていきました。あまりに時間がなくて、アメリカに学術調査に行くときの成田空港とか飛行機の中で企画書を作っていたのが懐かしいです。

このイベントはかなりいろんなところで話題にしていただいて、夜討のチャレンジをしているところを「いいいじゅー!!」という番組でも取り上げていただきました。NHKさんがすっごくいい番組にしてくださって、これは何度も見てしまうほど素晴らしい出来でした。4/4までは見逃し配信が見れますのでリンク貼っておきます。

このイベントでの成果は、少しおこがましいかもしれませんが、地元の人々に少しでも自信を植え付けられたことかな…と思っています。観光協会の会長に以下のようなことを言われました。

この忍夜討では、安くない参加料を払って交通費もかけて不便な場所で山に登っているのに、みんなが楽しそうで終わった後に「ありがとうございました!」とか「楽しかったです!」と言ってくれた。これまでの甲賀の観光は無料で人を甲賀に呼んで多くの人が来てくれたとしても、文句は言われても感謝されることなんてなかった。ターゲットを絞って尖った企画をすることによって、こんなにも喜んでくれる人たちがいて、甲賀でもやり方によってはまだまだ行けるのではと思うようになった。

このコメントがすごく嬉しくて。こういう「新しい風」みたいなものを吹かせるのが、やはりよそ者・若者・バカモノの移住者の役割だと思っていて、その移住者の活動によって地元の方が勇気づけられるという効果がもたらせたら最高だなと最初に思っていたので、少しでもそのような風が吹かせられたのかなと。

とはいえ、イベント自体は理想形とは程遠くて、まだまだ満足できていません。今回やったのはあくまでチャンバラで、僕がやりたいのは合戦なんですよね。城攻めにおいて、やはり守る側は罠を張って、盾を並べて、弓矢を飛ばし、石を落とし、鉄壁の守りを固めるのが定石。安全上や勝敗ルールの関係から今回はスポンジ剣しかできませんでしたが、なんとかデジタルの技術を活用して、よりリアルな合戦を再現したいのです。来年度はこの辺りのツール開発が少しでも進められたらなと思っています。

経済効果を産めた「モンハン×甲賀」コラボ

夜討が終わってから次は大大大キラーコンテンツ「モンスターハンター」シリーズとのコラボ事業の準備に着手しました。ちょうど本日3月31日でイベント期間が終わり、大きなトラブルもなく無事に終わったことにホッとしています。

これ、実は移住前から仕込んでた案件でして、発端は2年前にNinjackで↓の記事を書いたときなんですよね。

このときカプコンさんとのコネクションができたので、モンハンに忍者要素が強かったことから「コラボできたらいいね〜」という話はしていました。社交辞令ではなく本気でやりたかったので、協力隊1年目のときから「自分の地域おこし協力隊の活動費を使ってできないか?」と市役所に打診をしていたのですが、市役所の人が中で頑張ってくれて、1年かかりましたが予算をつけてくれたのです。市役所の方は、上司の説得や議会の説得など、中で本当に頑張ってくれたと思います。この方の頑張りがなければ出来なかったんじゃないかな。いつも一緒に甲賀の忍者観光についていろいろ話しながら仕事を進めていた人で、来期は異動になってしまうので寂しいですが、すごく感謝しています。

イベント企画から展示企画、契約交渉、事業管理、スケジュール管理、デザイン原案、関係者調整など甲賀側はほぼ一人で進めていました。カプコンさんにも何度かダメ出しされながらも、何回も企画書を書き直して、実現にこぎつけたときの嬉しさは今でも忘れません。この辺は朝日新聞さんにも記事にしていただきました。

その後実際の制作に入った11月〜1月までの3ヶ月間はほとんど十分に寝れない日々が続いたと思います。その中で助けてくれたのは、昔から忍者仲間だった3人でした。

一人は↑の記事でも出てきた柚さん。自分はライズからの新参者なので、昔からのモンハンプレイヤーのみなさんが楽しんでいただける企画はなにか?というのが自信がありませんでした。柚さんは自分のモンハンの師匠なわけですが、過去のイベントなどもたくさん参加されていて、どうしたら良い企画にできるかを何度も壁打ちに付き合っていただきました。

自分が大事にしたかったのは、モンハンのゲームの世界に入り込んだような世界観を醸成すること。特に甲賀でモンハンの世界のようにクエスト達成する感覚というのを味わって欲しかったんです。お客様からも「本当にクエストやってるみたいで楽しかった!」とたくさんのお声をいただき、泣きそうなほど嬉しい気持ちになりました。ちなみに「御朱印を御"狩"印にしたらどうだろう?」と思いついたときは、自分は天才何じゃないかと思いましたw

そして一番身を粉にして一緒に働かせていただいたのは、伊賀の京丸屋さんです。イベントの全体キャラクターやコンセプトデザインと、グッズ制作をお願いさせていただきました。これが本当に売れて売れて仕方なくて、お客様に刺さるとってもよいグッズができました!

京丸屋さんとは11月から1月までほぼ毎日夜の2時とか3時とかまでやってて、監修のご指摘を反映させながら短期間でプロフェッショナルな仕事をしてくださいました。いつも底抜けに明るくて、自分が大変な時も励ましてくれたりして、ホント文字通り「戦友」という言葉がぴったりなくらい、戦い抜きましたね。形容しづらいのですが、東京で働いていたころのハイレベルな仕事を思い出す感じです。ちょうどグッズや告知物が全部校了した翌日に店舗が火災に見舞われるという、いろいろと持ってる方ですが、今後も忍者の里への移住者同士、いろいろ忍者仕事をしていきたいです!

そして展示物のデザインは、前から忍者のデザインをよく一緒に仕事している黒鋼丸さんにお願いさせていただきました。日中は普通に仕事している中で、毎日深夜まで超大容量の大きなデータを作成いただいて、ほんと感謝してもしきれません。僕のディレクション不足で、とある展示物のデータを気合いれて丸1日かけて作ったのがボツになったりなど、本当に申し訳ないこともしてしまいましたが、嫌な顔ひとつせず大量の制作物を仕上げてくださいました。頼もしいことこの上ありません!

甲賀市内でも、長い月日をかけて信楽焼の等身大アイルーを仕上げてくださった信楽の藤原陶芸用品店さん。キャラクターの陶芸体験に使う型の製作に多大なご協力をいただいた信楽窯業試験場さん。展示をきれいに仕上げてくれた近江美装さん。コラボの連携先として快く引き受けてくれて、大量のお客様にも対応してくださった甲賀の里忍術村さん、信楽陶苑たぬき村さん、鹿深いちご園さん、くすり学習館さん、信楽伝統産業会館さん、水口城資料館さん。そして、あまりのお客様の多さに忙殺されながらも最後まで頑張って接客してくださったリアル忍者館のスタッフのみなさん。いろんな人に助けていただきながら、なんとかモンハン×甲賀のイベントに幕を閉じることができました。これは自分のこれまでの仕事の中でもトップ3に入るような、誇りのある仕事になったと思います。

このイベント、結論から言うと大成功で、甲賀にかなりの経済効果を生むことができました。やっぱ凄いですモンハン。具体的な数字は言えませんが、この2ヶ月間はものすごいお客様にお越しいただき、売上も信じられないほどの数字を叩き出しました。正直なところ、甲賀市に対する経済メリット的にこれを超える企画を今後考えられる自信がありません(笑)

忍術書発見とか学会とか夜討とか、イメージ的なインパクトはあるものの、市に対する経済効果としてはそこまで大きなインパクトは与えられていなかったんですよね。でもモンハンについては「ちょっと来年どうしよう…」ってくらい、ちゃんと外貨を得ることができたと思います。こういうビジネス的なインパクトも見据えながら、来年度も面白くてちゃんと市が儲かることをやっていきたいと思います。

YouTubeによる発信の功績

移住時から、忍者仲間の北斗白影さんとYouTubeによる忍者の発信を毎週何らかの形で行っています。先日の忍者の日に念願のチャンネル登録者2222人を達成し、いろんな人に応援していただいたのはありがたいです。

5月から始めた「NinTube Station」というライブ番組は、特によかったなと思います。毎週甲賀や全国の忍者ニュースを紹介し、視聴者参加型の忍者しばりの大喜利などを行ってコミュニケーションを図っているのですが、これによってNinTubeを介した「忍者仲間」がたくさん増えました。

ここで毎週お題に投稿してくれた忍者仲間が、みんな僕や白影さんが企画したイベントとかに遊びに来てくれるんですよ。これが嬉しくて嬉しくて。こうやってWEB上で仲間になった人たちが、リアルなイベントで甲賀に訪れてくれるのって、何事にも代えがたい感動だと思うんです。NinTube本編の撮影でも、大勢が必要な時はかけつけてくれる忍者仲間も増えてきました。

YouTubeはあんまり収益化を目指した動画投稿にはしていないのですが、収益とは別の軸で、YouTubeを頑張ってよかったなと思っています。何より、いつも一緒にマニアックなことをやってくれる相方の白影さんには、改めて感謝してもしきれません。

R4年度活動の総括と来年度の方針

上記に挙げた以外にも講演や教室、ツアー、会議、日本忍者協議会の仕事など、目まぐるしく活動させていただいているのですが、ハイライトで行くとこの辺りになりそうです。移住当初に活動方針として「研究調査」「アクティビティ」「ビジネス」「発信」の各分野で成果を出していこうと目標にしていましたが、今年度はそれぞれの分野で一定の成果を挙げられたと思います。ちょっとこんなにうまく行ってるのコワいくらい…どっかで足元掬われそうな気もするので、油断しないようにしないと…。

まとめると、来年度は以下の分野それぞれをしっかりとレベルアップさせていけるようにしたいです。

研究分野:甲賀でのしっかりした研究組織を確立させる
②アクティビティ:忍夜討ツールの開発
③ビジネス分野:更に尖った企画を行う(できれば伊賀と連携)
④発信分野:現状どおりマニアックだけど仲間を大切にするチャンネルに

ただ、ここから1年後に独立をしなくてはならない中でのそこへの準備が全くできていません。。上記NinTube以外は、ほとんど忍者調査団や国際忍者学会、観光協会や市が主体の事業として、その中で動いたことで挙げた成果だったりするので、それが直接自分の今後の事業につながっていくものではなかったりするんですよね。1年後には忍者でガチで食っていかなければならないので、その辺りの準備を進めていかなければならないのです。特に②のアクティビティの開発は、もっとガンガンとやっていきたいです。

この2年間、協力隊という名称もあって、市内のいろんな人の助けになることはほぼ断らずにやってきました。信頼を勝ち得るためというのもありますし、少しでも忍者の機運が高まればというのもありました。ただ、中には講演なんか依頼してくるときに「協力隊なんだから無料でも当然」って人もいたりします。そこに時間を使っても身分や給与が保証されていたり、暇だったら別にいいんですけど、そうじゃなくなる状況になっていくわけなので、時間の使い方を来年度は考えていかないといけないなと思っています。ってかそうしないと休み無いからぶっ倒れそうです(笑)

頼られるのは嬉しいし何でもやってあげたいのですが、そのことによって「自分がいなくなった時に甲賀はまた元に戻ってしまうのではないか?」という視点もそろそろ持たないといけなくて、イズムをしっかり継承できるようにすることも考えなければいけないのでは、と思うようになりました。(決して甲賀を離れることを決めているわけではなくて、マインド的に)

泣いても笑ってもあと1年。やっていることは全部好きなことですが、より自分に必要なこと、そして甲賀にとって必要なことにフォーカスをして、活動をしていきたいと思います。

最後まで御読み頂き忝く存じ奉り候。 忍者のことしか書いてなくてすみませぬ。 更に忍者の詳しい情報はこちらでどうぞ〜 https://ninjack.jp