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物理・生物選択者が考える,高校理科の選択について

注意

本記事は思いついたまま書いてるのもあり,一部冗長なところや,話題が二転三転しているところがあります (適宜読みやすいように修正します)。ご注意ください。

0. はじめに (長いイントロ)

記念すべき最初の投稿 (自己紹介を除く) は,理科選択についてである。
理系高校生の多くは,受験科目として理科4科目 (物理・化学・生物・地学) から2科目を選択し,受験勉強を行う。志望大学により必要な科目指定されている場合,自由選択の余地はないが,もし好きに2科目を選ぶ場合,各科目で勉強方法が大きく異なるので,大学受験に多大な影響を及ぼすだろう。

ちなみに,私の大学受験生時代 (2012年頃) の理科選択は,物理・生物である。

…ここはもう一度協調させてもらおう。

私の理科選択は,物理・生物である。

おそらく読者のほとんどが驚くだろう。なぜなら物理・生物選択者は,共通テストを受ける理科2科目選択者の中で0.5 %しかいない,超希少種だからだ。
なぜそのような選択になったのか,実際の勉強の仕方はどうだったかについては,改めて別記事で言及することにしよう。

本記事では,まず大学入学共通テストの実施結果と高校の時間割から,受験生の理科選択状況を俯瞰する。その後,各科目の特性について考え,勉強の仕方を述べることにする。そして,2科目の組み合わせによる勉強の効率を検討していく。

と,その前に,言及しておくことがある。
大方の予想通り,私は理科4科目のうち,地学についてはほとんど情報を持っておらず,特性も勉強法も説明することはできない。下記の共通テスト実施結果にもあるように,理系受験生における地学選択は受験生全体の0.3%と非常に少数である。そのため,今回は理科3科目 (物理・化学・生物) に絞って述べることにする。地学に関する知識が溜まったら,改めて記事を作成することにする。

そして,もうひとつ。完全ネタバレだが,この記事の最終結論は,「科目選択は,自身が興味を持てる科目にする」ことである。4科目のうち,興味がもてて,勉強のモチベーションが保ちやすい科目を選ぶという,ポジティブな理由で科目選択すべきである (科目選択における理由付けについても後述する)。そのことは,強く意識してほしい。

1. 共通テスト実施結果から考える理科選択

まず,令和4年度大学入学共通テストの実施結果 (https://www.dnc.ac.jp/kyotsu/kako_shiken_jouhou/r4/) から,現在の受験生の理科2科目選択状況を見てみよう。
改めて述べるが,今回注目するのは,理系受験生の2科目選択,つまり

  • 「物理基礎」「化学基礎」「生物基礎」「地学基礎」の理科①

ではなく,

  • 「物理」「化学」「生物」「地学」の理科②

が対象である (『理科①』と『理科②』は,共通テストにおける理科の区分である)。そのことは留意してほしい。

では,理科②の受験状況を見てみよう。

R4年度共通テスト実施結果より

今回着目するのは理科②の2科目選択のため,3行目に着目する。一番下の各列のパーセンテージは,理科②1科目受験者と2科目受験者の合計値を分母とした割合であるから,理科②2科目実受験者174156人における各科目の選択状況を計算し直す。

  1. 物理→$${\frac{132342}{174156} \times 100 \approx 76.0 [\%]}$$

  2. 化学→$${\frac{172606}{174156} \times 100 \approx 99.1 [\%]}$$

  3. 生物→$${\frac{42382}{174156} \times 100 \approx 24.3 [\%]}$$

  4. 地学→$${\frac{892}{174156} \times 100 \approx 0.5 [\%]}$$

四捨五入した結果を積算すると $${199.9 [\%]\approx 200 [\%] }$$となる。これは,1人の受験者が2科目を選択するため,実受験者数の2倍 (=延受験者計) が合計値になるからである。
このデータから言えることとしては,理科②2科目選択者のほとんど (それも99%!) が化学を選択しているということである。ここまでくると,化学を受験科目として選ぶのが「常識」と言われても不思議ではない。

次に,理科②2科目受験者の科目組み合わせを見てみよう。

R4年度共通テスト実施結果より

これのデータから明らかなように,理科②2科目選択受験者のうち,4人に3人が物理・化学選択,そして4人に1人が化学・生物選択と言える。地学選択者と物理・生物選択は,すべて合わせても1%にしかならず,ここからも理科②2科目受験者のほとんどが,化学を選択していることがわかるだろう。

このような,ある種偏った統計になっているのは,主に3つ考えられる。

  1. 大学 (学部) が受験科目を指定している

  2. 高校の標準的な時間割によるもの

  3. 理科2科目の組み合わせによる勉強の効率性

1-1. 大学 (学部) が受験科目を指定している

例えば工学部や理学部 (また医学部の中で特定の大学 [九州大学や金沢大学など]) など,特定の学部では受験科目を制限していることがよくある。これは進学後の大学カリキュラムに沿って勉強する際,高校時点で身に着けてほしい科目ということであり,ここに高校側が入り込む余地はない。高校1年のうちに「志望する大学や学部を探しておくこと」の意義の1つであり,文理選択の前に自身の受験スケジュールを立てることで,最適な授業選択を行うことができる (これは文系の社会選択も同じである)。
尤も,高校1年時点で行きたい学部など決まっている生徒は少ないほうで,高2や高3で改めて決める生徒も多いだろう。その場合,それまで勉強してきた科目の中で,取り組みやすい科目を選んでから志望大学・学部を決めるという,逆の手順になる。

1-2. 高校の標準的な時間割によるもの

2について。『高等学校学習指導要領 (理科)』によると,2022年度現在の教育課程 (いわゆる「新課程」) での各単位は,以下のとおりである。

  • 「科学と人間生活」「物理基礎」「化学基礎」「生物基礎」「地学基礎」→2単位 (週に2コマ)

  • 「物理」「化学」「生物」「物理」→4単位 (週に4コマ)

また,科目履修については,以下のとおりである。

(1) 全ての生徒が履修すべき科目数については,「科学と人間生活」,「物理基礎」,「化学基礎」,「生物基礎」,「地学基礎」のうち「科学と人間生活」を含む2科目,又は,「 物理基礎」,「化学基礎」,「生物基礎」,「地学基礎」のうちから3科目とする。
(2) 「物理」,「化学」,「生物」,「地学」については,原則として,それぞれに対応する基礎を付した科目を履修した後に履修させるものとする。なお,生徒の特性,進路等に対応した学習が行われるよう各学校において開設する科目及び順序,単位数を適切に定めて教育課程を編成することが大切である。

『【理科編 理数編】高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説』p. 25より

「科学と人間生活」については,受験科目として扱われないので,ここでは取り上げないとする。そうすると,おそらく大半の高校は,まず科目履修(1)にある「「 物理基礎」,「化学基礎」,「生物基礎」,「地学基礎」のうちから3科目」を選ぶことになる。その後,科目履修(2)にあるように基礎科目を経て「物理」「化学」「生物」「地学」を履修していくことになる。

ただし,高校3年間でどのようにスケジューリングされるかは,強く高校に依存する。例えば,以下のケースがある (いずれも高2以降は理系選択である)。

東京都私立T高校 (Tコース) の場合
高1→物理基礎,生物基礎,化学基礎 (各2単位,計6単位/全34単位)
高2→化学,物理or生物 (各3単位,計6単位/全38単位)
高3→化学,物理or生物 (各4単位,計8単位/全36単位)

京都府私立F高校 (Aコース) の場合
高1→化学基礎,生物基礎 (各2単位,計4単位/全35単位)
高2→化学 (3単位),物理基礎or地学基礎 (2単位) (計5単位/全35単位)
高3→生物or物理 (4単位),理科演習 (3単位) (計7単位/全35単位)

京都府立M高等学校 (SSH) の場合
高1→化学基礎 (2単位/全34単位) ※他にSSH特有の授業が計6単位あり
高2→化学 (3単位),物理基礎 (2単位)・物理 (1単位) or 生物基礎 (2単位)・生物 (1単位) (計6単位/全34単位) ※SSH特有の授業が計2単位あり
高3→化学 (3単位),物理or生物 (5単位) (計8単位/全32単位) ※SSH特有の授業が1単位あり

このように,科目履修条件に従いつつ,各高校で授業時間を自由に設定している (一部足りないように見えるが,「理科演習」などで補填しているものと思われる)。他の科目との擦り合わせもあるので,高校カリキュラムを特色づけられるだろう。

すべての高校を調べているわけではないので予想に過ぎないが,いわゆる進学校とされる高校の場合,高1では理科①,高2以降に理科② (特に化学を優先) を履修すると思われる。そして,最終的に教科書の最後まで終わらせられるのは,高3の秋から冬頃とされる。これは数学や社会でも同じだろうし,各分野で基礎事項を徹底しつつ,入試問題演習を行っていく方式がオーソドックスかもしれない。

さて,これらの時間割から,2点傾向が見られる。

  1. 理科②のうち,化学が優先して授業枠が取られる

  2. 理科②のうち,物理と生物は表裏に配置される  (=1年で同時に受講できない)

1と2は,合わせて考えるべきである。共通テスト実施結果から見ても,理科②2科目受験生の99%は化学選択である。そして,先に挙げた3つの高校は,高校3年間で化学に触れている。つまり,受験生にとって一番触れている理科は,化学である。他の科目はせいぜい2年程度 (T高校みたいに3年触れるところもある)。しかもF高校では高1で生物基礎,高3で生物であるため,1年間ブランクがある点も見逃せない。

したがって,志望する大学・学部側が化学を指定する以前に,高校生にとって一番長く付き合っている理科が化学であるため,選択されやすい可能性がある。もし仮に高1から生物を優先している高校であれば,恐らくその高校では生物選択者が多くなるだろう。

1-3. 理科2科目の組み合わせによる効率性

物理・化学・生物は,当然のごとく内容が千差万別であり,受験勉強の仕方が大きく異なる。それぞれを『暗記』『計算』『表現』の観点から比較する。

  1. 暗記の程度 → (少) 物理<化学<生物 (多)

  2. 計算の程度 → (少) 生物<化学<物理 (多)

  3. 表現の仕方 → (易) 物理<化学<生物 (難)

1の『暗記』について,覚える量が多いと辟易するのは全人類共通である。しかし,覚えれば覚えるほど点が取れる (努力した分だけ点がそのまま反映される) というのは見逃せないし,対策の仕方も単純である。
2の『計算』について,数学 (というか計算) の出来が理科に直結するのは当然である。勘違いしないでほしいが,生物も計算問題はあり,演習しておかないとすぐには解けないものが多い (特に遺伝や血縁度は独特である)。なので計算が苦手だからと言って生物を選ぶのは愚の骨頂であるし,逆に生物で計算問題が解けるようになれば得点源になれる。
3の『表現』について,これは日本語を用いた文章表現力だけでなく,数学と同じく立式や計算過程の見やすさも含まれる。3科目の難易度はあくまで参考であり,文章表現に優れている生徒なら生物に取り組みやすいだろう。

他に挙げられる観点に『点の取りやすさ』があるが,ここでは挙げなかった。なぜなら,人によって点の取りやすい分野が変わるからである。ここでいう分野は,暗記や計算,文章読解・表現などである。ひとによって,暗記が一番得意なひともいれば,計算が速く正確なひと,表現力が高いひとなど,パラメータが決まっている (ポケモンでいう種族値みたいなもの。努力することで性能は伸ばせるが,得意・不得意は個人で決まる)。
よく「物理・化学が一番点を取りやすい」と言われるが,この2科目は数学と同様,年度ごとの難易度差が激しく,難しい問題はとことん難しい (つまり点が安定して取れにくい)。一方,生物の場合は十分な知識と十分な国語力があれば,点にぶれが出にくい。なので,『暗記』『計算』『表現』の3パラメータがどういう傾向にあるか自分で分析し,そのうえで点が取りやすい科目を選択すべきである

少し脱線したが,この『暗記』『計算』『表現』という3つの観点,そして『暗記』と『計算』が負の関係であることを踏まえると,物理・化学・生物から2科目選んだときの効率性は,
(低) 物理・生物<化学・生物<物理・化学 (高)
となる。ただし,この関係も『点の取りやすさ』同様,そこまで信憑性は高くないと私は考えている。このことについては「2. 化学マジョリティと物理・生物マイノリティの考察と実態」で述べることにする。

2. 化学マジョリティと物理・生物マイノリティの考察と実態

さて,1-2でも見たように,なぜこうも化学の授業時間が多いのか。これはおそらく,「化学が生物や物理を勉強するときの基盤になるから」だと思われる。だが,本当にそうなのか?「化学基礎」「化学」で学ぶ内容は,どこまで物理と生物に繋がるのだろうか?

そして,なぜ物理と生物は同時に受講できないのか。最も考えられる理由は,「関連性の無さ」と「受講者数の少なさ (ただし,この考えは化学を必須授業にしていることに起因するものであり,直接的な原因ではないと考えている)」である。しかし,特に前者については,実際に受験で物理と生物を選択し,その後生物物理学という分野で研究してきた私からしたら悲しいものである。

以上の2点について,以下で詳述する。

2-1. 物理と生物の勉強に,どこまで化学が必要か?

確かに物理も生物も (恐らく地学も),現象を考えるときに化学の知識が必要となる。物理だと状態方程式も重複するし,生物に至っては化学反応の連鎖である。確かに,化学は役立つ。

結論からいえば,物理と生物を受験科目として扱うとき,「化学基礎」の知識はあったほうがいいが,「化学」はなくていいと私は思う。つまり,化学を受験科目として利用しなくても,化学基礎を理解しておけば十分勉強できる。

化学は大きく,理論化学,無機化学,有機化学の3つに分けられる。理論化学は「化学基礎」「化学」で扱われるが,無機化学・有機化学は「化学」でのみ扱われる。では,理論化学はどう分かれているか。名著として名高い『【改訂版】宇宙一わかりやすい高校化学(理論化学)』(船登惟希著,学研出版) によれば,理論化学は全14章に分けられる。括弧内は内容を詳述したもので,『高等学校 新教育課程と学習指導要領 ―理科―』(啓林館) から引用した。

  1. 物質の成り立ちと構成 (物質の分離・精製,単体と化合物の区別,熱運動と物質の三態)

  2. 原子の構成とイオン化 (原子の構造,電子配置と周期表)

  3. 化学結合 (イオン結合,共有結合,金属結合)

  4. 原子量と分子量・式量 (物質量,化学反応式)

  5. 酸と塩基 (酸と塩基の性質,中和反応)

  6. 酸化と還元 (酸化還元反応,酸化剤と還元剤,イオン反応式,イオン化傾向)

  7. 電池 (ボルタ・ダニエル・鉛蓄・燃料電池)

  8. 電気分解

  9. 化学反応と熱 (エネルギー図,熱化学方程式)

  10. 結晶格子 (体心立方格子,面心立方格子,六方最密構造)

  11. 気体 (状態方程式,相転移,蒸気圧曲線)

  12. 溶解度 (溶液平衡,コロイド)

  13. 反応速度

  14. 化学平衡 

「化学基礎」はおおむね1~6 (一部7の電池も含む),「化学」は7~14を取り扱う。そして,物理や生物で出てくる化学の知識は,「化学基礎」で十分なのだ。
なので,例えば高校1年で「化学基礎」「生物基礎」「物理基礎」を履修したら,高校2年で「化学」を選ばず「生物」「物理」を選んでも問題なく勉強できるし,受験勉強でも支障は出ない。ちなみに化学をまったくの無勉強で物理と生物を勉強しても支障はない。ソースは筆者。
それでも,「やっぱり化学も同時に勉強しておけば,化学基礎もやるんだから効率良いんでない?」と思うかもしれないが,物理や生物の教科書では最低限の化学事項について載っているし,改めて「化学基礎」の勉強をし直す必要はない。

2-2. 物理・生物は関連性がないから勉強が大変になる?

2-1で述べたように,受験科目として物理と生物を選ぶこと自体は,受験勉強に支障はないと考えられる。しかし,実際に物理と生物を選択することは,高校のカリキュラムとして難しい。なぜなら上述したように,生物と物理は同じ時間に授業が行われ,同時に受講できないからだ。

なぜ同時に受講できないようカリキュラムが組まれているのか?ググってもその理由は見つからないので確証はないが,最も考えられるのは「物理と生物の間に関連性がないから」だろう。

2-1でも述べたように,化学は,少なくとも「化学基礎」の知識は物理と生物で役立つのは間違いない。なので,化学と物理,化学と生物は関連性があると言える。ただ,それは化学という学問の性質上,あまりにも当然である。化学は,物 (もの) の性質,物の変化について調べる学問である。一方,物理は物 (剛体から粒子まで) の動き方,生物は生き物 (個体) の性質や個体間の相互作用について調べる学問である。つまり,化学はミクロな視点,物理や生物はマクロな視点をもつ (勿論,大学以降ではより細かく分野分かれするので,一概にこうとは言えない)。

そう考えると,マクロな視点同士の物理と生物は繋がりにくいように見える…が,その仲介役になるのは化学基礎である。つまり
物理―化学基礎―生物
という結びつきにより,物理と生物は関連性をつくることができる。そして,それを学問として発展させたのが,生物物理学である。

生物物理学の発端は,オーストリア出身の物理学者,シュレディンガー (Erwin Schrödinger, 1887-1961) と言われている。彼は1944年に『生命とは何か?』(原題:『What is Life?』)を出版し (この本の元は,1943年に行われた講演である),生体内で起こる現象を物理学的手法を用いて説明することを目指した。現在では,例えば光学・電子顕微鏡を用いた観察,FRET手法によるイメージング,シミュレーションによる分子運動の解析など,物理学・数学・統計学を用いて生命現象にアプローチする,生物物理学が発展した。

いわば,高校物理で主に対象としていた無機物から生体内物質に焦点を当てたことになる。この際,物理学で題材とした内容を,生物現象に当てはめられる。例えば細胞膜間のイオンチャネルによるイオン移動は,抵抗・コンデンサーを含めた電気回路に例えることができる。また,神経細胞の興奮による膜電位の上昇は,Hodgkin-Huxleyモデルという形で理論化されている (以上の内容に興味を持った読者は,『細胞の理論生物学』(金子邦彦ら著,東京大学出版会) を参照してほしい)。

このように,生物と物理の関連性というのは,高校まででは感じづらいものの,大学以降の学問として非常に関心の高いものとなっている。ただ,この学問を知らないひとも多いし,実際現在の理科指導要領では物理と生物の間の関連性がないと考えてしまうのも,仕方ないと思われる。以前の指導要領では,細胞の浸透圧を題材にボイル・シャルルの法則を適用させることがあったのだが,生物で浸透圧自体がほとんど扱われなくなってしまったので,中々寂しいものである。

3. 最後に

というわけで,私の考えに基づけば,理想の理科選択は以下のようになる。

  • 理科①「物理基礎」「化学基礎」「生物基礎」はあらかじめ履修しておく

  • 理科②「物理」「化学」「生物」のうち,好きな2科目 (もしくは志望校から指定される科目) を選ぶ

無論,地学が選択肢に入るなら,地学を選んでもいいだろう。

科目選択する上で大事なことだが,「点数をとりやすい科目」よりも「興味をもって取り組みやすい科目」を選ぶべきである。先述の通り,「点数のとりやすい」科目は,一般には物理・化学といわれるが,必ずしも全員がそれに当てはまるとはいえない。きちんと勉強すれば,どんな科目も及第点はとれる。だからこそ,自身が取り組みやすい科目を勉強すれば,モチベーションも維持できるし,何より自信もつく。

ほとんどの高校では,物理と生物を同時に選ばせてくれない実情もあるが,学校から与えられたレールに乗っかるだけが人生ではない。社会などもそうだが,授業を受けられないからといってその科目を諦めることはない。このご時世,参考書も充実してるし,ネットで受けられる講義も高品質である。自身の興味や能力をきちんと分析し,是非ともモチベーションを保ち続けられる受験生活を送って欲しい。

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