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内外
外は8月の様相 よく見ると瓦礫のように建物だった
つくづくと白いシンクへ切り落とす向日葵の茎、紫陽花の茎
歓声はからだを破る声だからスポーツ観戦に気をつけて
濡れたものを刻んだ場所も濡れている 西瓜と俎の関係は
留めたい心のままに川の水すくってペットボトルに入れる
長雨を飽きてしまえばバス停にいる必要ももうないけれど
真夜中に口をひらいて内外のくらやみまざりあう水曜日
だれかの声でわたしが歌う 歌集から顔をあげて部屋から出ていく
※2024年9月4日 朝日新聞夕刊「あるきだす言葉たち」掲載