非ギタリストなのにTONEXを使わない話
どうも、しのです。
最近ようやく涼しくなってきて嬉しいです。夏の暑さはデバフ。
さて、タイトルの通りです。
「ギタリストじゃないならアンプシミュレーターもそんな使うことないやろ」って一見謎のタイトルに見えますが、まぁそういうことではなく。
TONEXのメリットを踏まえつつ、僕が何故TONEXを使わないのかということをお話していこうかと思います。
非ギタリストがTONEXを使うメリット
まずはメリットの話をしていきましょう。
まぁ、簡単な話ですが、実機アンプの挙動やレコーディングチェインをキャプチャー(プロファイリング)している(シミュレートではなく)ので、(ほぼ)そのまま実機の音を出すことができる、という点です。
この辺の細かい話についてはKemperやらQuad Cortexなんかも絡んできて長い話になりそうなのですが、歴史的背景やらそれぞれの違いやらについては青木 征洋さんあたりが多分どっかで語っていらっしゃると思うので割愛。
ようはアンプ・キャビネットのサウンドの特性や挙動と、マイキングやマイクプリアンプ等を含めたレコーディングチェインを本物そっくりそのまま鳴らすことができるわけです。
TONEXでは自作したTone Modelは全世界のユーザーと共有することができるので、世界中のユーザーが作成したTone Modelの中から気に入ったものを自分の環境でも使うことができます。
つまり、ギター演奏を外注するような非ギタリストDTMerにとってはめちゃくちゃ楽ができるツールなわけです。
音作り頑張らなくても、なんかいい感じの音がパパっと出せるわけですからね。
僕がTONEXを使わない理由
じゃあそんな楽できるツールなら、ギタリストじゃない僕こそ使うべきじゃないか、と思うかもしれません。
しかし、僕がTONEXを使わない明確な理由がいくつかあります。
その1:TONEXがあくまで「キャプチャー」であること
何を言っているんだと思うかもしれませんが、この類の製品というのは「ある固定されたアンプのセッティング、キャビネット、レコーディングチェインをキャプチャーしたもの」であるという前提を忘れてはなりません。
つまり、それが自分の好みや用途に合わなければ意味がないわけです。
一応アンプEQ等はコントロールが多少できるようになっているのですが、それはあくまで既にキャプチャーされたものから無理やりいじるだけになるので、その適切な可変幅はあまり広くはありません。
極端な話、めっちゃ高音域がこもってるTone Modelがあったとして、それを明るい音に調整しようと思ったら、そこには限界があり無理が生じます。
その2:目的のTone Modelを探す手間が未知数で面倒
それなら好みの音のTone Modelを探せば良いという話ですが、正直そんなことをする時間があったら手持ちのアンプシミュレーターで自分で音作りしてしまった方が早いですし、より好みに近づけることができます。
TONEXユーザーは日々その数を伸ばしており、ユーザーのTone Modelも増え続けています。
そんな中から自分好みのTone Modelを見つけるというのは、おそらく果てしない道のりになることでしょう。見つかるかどうかも分からないし。
その3:そもそも自分の好みの音が一般的なセオリーから外れている
これがいちばん大きいかも。
TONEXいいよーと勧められてとりあえずデモ版を試したり、デモ動画を見たりしたのですが、自分の好みの音だと思うものは1つもありませんでした。
僕は一般的にギタリストが好む中音域以上の抜けが良いサウンドよりも、ボトムまでしっかり伸びて重量感と箱鳴り感がしっかり感じられるサウンドの方が好みなので、基本的にはローは盛りがちです。
この調子ではおそらく好みのTone Modelに出会うことは相当困難を極めることになりそうです。
僕の音作り環境について
そんな理由があって、僕は2023年現在アンプシミュレーターおよびキャビネットシミュレーター(≠IR)を使用して音作りをしています。
使用することが多いのは、Nembrini AudioやBrainworxのアンプシミュレーターと、Softube Celestion Speaker ShaperかML Sound Lab MIKKO。ちなみにBrainworxのアンプシミュレーターはアンプモデリング部をIgor Nembrini氏が手掛けています。つまり実質Nembrini Audio。
Nembrini Audioのアンプシミュレーターはボトムの質感がなかなか本物っぽい感じがして好みです。
キャビネットIRを使わない理由も、TONEXのその2・その3あたりとほぼ同じ。
自分の好きな音になるように、自分でマイクを立てていくシミュレーションの方がかえって時短になります。SM57を1本立てるだけでは全く好みの音にならないし、そもそもSM57が好きではないので。
おわりに
ギタリストでもないのにギターの音作りについて偉そうに語るなよって思われるかもしれないですが、ここがちゃんと自分の意図通りに固まると、自分でギターを弾かずとも結果的にアレンジの完成度に関わってくるので、やはりある程度ちゃんと自分の好みになるようにしていきたいと思っています。
ギターは相変わらずまともに弾けない僕ですが、これからもギターの音作りにはこだわっていきたいと思います。
ちなみに歪みバッキングの理想形の1つは、Hughes & Turner ProjectのJJ Marshです。