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拝啓 旅と仕事の両立に挑戦する私たちへ

「実際に体験してみると、本当に大変だった」

あらゆる場面でよく耳にするこの言葉。言葉にすると、一気に、言葉が持つ本来の意味をすべて失うように感じます。言葉以上に大変なのに、伝わらない。所詮は他人事だから、なかなか伝わらない。あるいは、抽象的な表現すぎて、どうしても伝わらない。

わたしは、この「なかなか伝わらない」に対して、少しの悲しみを覚えるタイプの人間です。感覚なのだから人それぞれとはわかっていても、伝えたいなあと思う。だからこそ、文章を通して、ひとりでも多くの人になにかが届いてほしいと願いながら日々ライターとして働いているのかもしれません。

と、突然どうしてこんな話を始めたのかというと、前述の通り、どうしても伝えたいことがあったから。

それは、わたしがコミュニティマネージャーを務めさせていただいていているオンラインコミュニティ「旅、ときどき仕事」をきっかけに感じたことです。

コミュニティそのものについては、別のnoteにまとめているのでそちらをご参照ください。今回は、少し踏み込んだ話を書いてみることにします。

「旅、ときどき仕事」には、旅と仕事の両立を考えている、いろいろな思いを持ったメンバーが在籍しています。仕事も、住む場所も、考え方も、環境も、なにもかもが違う個性的なメンバーです。

詳しいことは省きますが、そんな個性的なメンバーと、コミュニティ内の勉強会を兼ねて旅と仕事の実践編「(プチ)旅ときどき仕事 in 熱海」を開催することになりました。

普段はオンライン上でのコミュニケーションが活発な弊コミュニティ。せっかくの機会なのだから、実際に「旅、ときどき仕事」を開催してみて、みんなで旅と仕事の両立がどんな感じなのか体験してみてもらう試みです。3期目にして、初の宿泊を含んだイベントなのです。

「1泊2日でゆく!-リアルなプチ旅ときどき仕事に一緒に出かけてみる-」

日程:2019年1月18日(金)・19日(土)
場所:熱海
内容:1泊で実際に「旅と仕事している人」と「旅を仕事にしたい人」で旅ときするチャレンジ。身近で「旅と仕事」の楽しさ(や大変そうさ 笑)を見てもらいながら、肌で旅ときどき仕事を感じてもらう試みです。

これがざっくりとした概要です。コミュニティメンバー59名から参加者を募ったところ、なんと【17名参加】という驚異的な参加率。ありがたい限り。

実際に旅と仕事を両立しているメンバー6名と、旅を仕事にしたいメンバー11名、総勢17名で前代未聞の旅ときを行う予定です。ハラハラ。運営チームは、絶賛準備に準備を重ねています。良い2日間にしたくてたまらないのです。

そんな中、開催日が近くにつれて、わたしは不思議な感覚を覚えていました。心がざわつく。言葉にならなくて、しばらく準備に没頭していましたのですが、さっきたまたま、この心のざわつきがなにものなのか、わかったんです。

「初めて自分が旅ときしたときのこと思い出してて、独特の緊張が蘇ってきているような・・」

運営メンバーに、こうつぶやきました。今回の「旅とき熱海」に参加してくれるメンバーのうち、これから旅を仕事にしたいと考えているメンバーは、生まれて初めて旅と仕事を両立する感覚を味わいます。

きっと、わたし自身が旅と仕事を両立したときの記憶がそう遠くないときのことだから、当時を振り返って緊張を取り戻しているのだなと。

なぜなら、わたしの初めての旅と仕事の両立も「旅、ときどき仕事」での一幕だったから。1期のコミュニティメンバーだったわたしは、2017年11月に今の運営メンバーと1週間の「旅とき沖縄」に出かけていました。

上のnoteにも書いてますが、本当に本当に本当に本当にこわかった。不安だった。自信がなくて、宿に帰っては泣いてたっけ。

当時のわたしには、正直なところ「旅」と「仕事」の両立なんて、できっこなかった。

どこかに出かけようと思うと、仕事の連絡が舞い込む。力の抜き方がわからないから、なんでも全力でがんばろうとする。そんなふうに、自分をどんどんと追い込んでいた。

それでも、なんとかうまいことはぐらかしつつ過ごした1週間。楽しくもあったけれど、反省ばかりが募った。

わたしの初めての旅ときは、なぜか挑戦的で、フリーランスとしての独立初月。右も左もわからない上に、旅もしたことがない。仕事の配分もわからない。キャパも知らない。その上、今となってはなんでも話せる運営メンバーのみんなだけど、当時はまだまだお互いに多くを知らないからガチガチ。

仕事はうまくいかないし、旅も満足にはできないし。運営メンバーの心遣いに死ぬほど救ってもらって、楽しいって心から言えたけれど、反省ばかり募っていました。

なんて、そんな生まれて初めての「旅、ときどき仕事」を経験しているから、その緊張感や不安は、今でも忘れることがありません。


ここでやっと冒頭の一文を回収しますが、心底思うんです。

「実際に体験してみると、本当に大変だった」

これまでの人生の中で、ダントツ、想像と現実とのギャップがありました。だってね、「旅と仕事を両立する」って言葉の響きがすごく良いじゃないですか。それにめっちゃ素敵な人生じゃないですか。それなのに、こんなに大変なのかって思ったら切なくなってしまって。

結局、わたしはその後、1年間で6回ほどの旅を繰り返すことで、旅と仕事のバランスをつかめるようになってきました。フリーランスとしての仕事も安定してきたし、キャパもヘタなりにわかる。旅にも少しずつ慣れてきます。

でも、きっとあの旅と仕事の両立に慣れないときの不安や恐怖は独特です。だから、昔の自分のような気持ちを抱える人が、今回の旅ときを通して一人くらいは現れるのだろうなって、漠然とそう思っています。

それが悪いことだなんて思わないし、むしろ、たくさん感じることで強くいられるようになるはずです。だから、不安を感じたら、無理せず「しんどい!」と伝えてほしいなとは感じているのですけれど。

旅と仕事の両立は、周りが想像するよりも、そして自分が想像しているよりも、案外大変です。孤独感もあるかもしれません。それをまず、知っていてほしい。少しだけ前、旅と仕事の両立にひっくり返りそうになったぽんこつとして、伝えさせてください。

そして、それでも挑戦することで知れる素敵な景色も体験も、山ほどあります。わたしもまだまだ知らないことだらけだから、もっともっと知りたいって思っています。

これから旅と仕事の両立に挑戦する方々へ。多くの場合、最初は「しんどい」「大変」って感情のほうが、溢れてくるはずです。でも、そんなときでもほんの少しで良いから旅の楽しさに気が付いてみてほしい。つらいときは教えてください。一緒に、がんばっていきましょう。

最後に、ライターとして働くわたしが、旅と仕事を両立する上で必要だと感じていることを改めて残して、この記事を締めたいと思います(10ヶ月前のわたしは泣いてばかりいた。沖縄で7日間の「旅、ときどき仕事」より)。

文章のお仕事に関わる方以外にとっても、応用が効くことだと思っています。もし旅と仕事の両立をほんの少し上手になってみたいと感じたときには、参考にしてみてもらえるとうれしいです。

● 文字起こし、構成、執筆を別の日に少しずつ進める
→心の余裕と時間の余裕ができて、すごく仕事がスムーズになった

● 1日中張りつかなければ終わらない仕事の量にしない
→普段の「丸一日仕事する」とは、たぶん同じにならない

● 絶対に納期を守る
→普段は納期に余裕を持たせてもらうことがあるのだけど、「旅しているときは全然原稿が上がってこない」と言われたらたぶんおわり

● 連絡頻度の多い人には旅先にいることを前もって伝える
→メリットに働くことは多くないけれど、事前共有はたぶん必要

● 時間に追われたり窮屈になる仕事をやめる勇気を持つ
→これができなくてずっと困っていたけれど、旅のなかでこなすことがしんどい仕事をやめた

● うまくいかなかった自分を責めない
→だいたいは予想外。Wi-Fiがないとか、時間通りに出発しないとか

● だからって、言い訳にはしない
→できないときには謝るし、できない状態をつくらないように早めに行動したりあらかじめしっかり調べておいたり

それでは、今日も素敵な旅を。

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