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テクニカルプロダクトマネージャー(TPM)とテクニカルプログラムマネージャー(TPgM)って結局何なの?

最近、自分はインドでプロダクトマネージャーの採用をしているんですが、頻繁に履歴書で見るのが「テクニカルプロダクトマネージャー」という職種です。あと、「テクニカル"プログラム"マネージャー」というのもあります。

日本でもたまに耳にするので、このさい知ったかぶりしないで、普通のプロダクトマネージャーとかプログラムマネージャーと一体なにが違うのか、ちゃんと調べてみることにしました。

また、それぞれ毎回カタカナで書くのがとても面倒なので、一般的な表記で省略したいと思います。

PM: プロダクトマネージャー
PgM: プログラムマネージャー
TPM: テクニカルプロダクトマネージャー
TPgM: テクニカルプログラムマネージャー

まずはPMとTMPの違いから

PM vs TPM

まずはGPT先生に解説をお願いしたところ、以下のような違いがあるとうご回答をいただきました。

フォーカス

PM: ビジネスと顧客に焦点を当てた製品戦略。
TPM: 技術的実現可能性を重視した、テクノロジー主導の製品戦略。

主な責任範囲

PM:
- プロダクトビジョンと戦略を定義する
- 市場調査と顧客インサイトに取り組む
- ビジネスへの影響に基づいて機能を優先順位付けする
- デザイナー、マーケティング担当者、エンジニアと協力する

TPM:
- 技術面に重点を置いたプロダクトビジョンを定義する
- エンジニアと緊密に協力して実現可能性を検討する
- ビジネスニーズと技術的制約の間のトレードオフを行う
- API、インフラ、システムアーキテクチャを扱う

技術に関する関与

PM: 低から中程度(業界による)
TPM: 高い - システムアーキテクチャ、API、クラウド、AIなどに関する深い理解が必要

チームとのやりとり

PM: エンジニアだけでなく、マーケティング、営業、事業チームとも緊密に連携
TPM: エンジニアリング、DevOps、データサイエンス、その他の技術チームと緊密に連携する

必要なスキル

PM:
- 市場調査およびユーザーエクスペリエンス(UX)
- ビジネス戦略および利害関係者管理
- ロードマップの計画および優先順位付け

TPM:
- ソフトウェア開発に関する知識(クラウド、API、AIなど)
- 技術的なトレードオフと実現可能性の分析
- エンジニアおよびアーキテクトとの強力な連携

キャリアパス

PM: プロダクトディレクター、プロダクト担当VP、CPO(最高プロダクト責任者)など

TPM: プリンシパル(主任)TPM、プロダクト担当ディレクター、またはエンジニアリング/プロダクト担当VPなど

TPMをひとことでいうと

上記の解説をもとに解釈すると、結局TPMというのは技術的な深い理解を持っていて、マーケットよりはエンジニアリングチームと密接にかかわり、エンジニアリングの観点からプロダクトの成長にコミットする人物であると言うことができそうです。

実際のプロダクトの現場にこういう人物が必要かどうかで言うと、Howに対する造詣が深いからこそWhatに対してより効果的な方法を提案できる人物として、特にAIの実装などの場面で活躍しそうなイメージがあります。ここをEMに求めるのはちょっと違うのかもしれません。EMとTPMの比較も必要かもしれません。

次にPgMとは何か

PgM

プログラムマネージャーは自分が過去在籍した会社にもいたので、大体どういった役割の人であるかのイメージはあります。たぶんプロダクト群の戦略と計画のアラインメントを行う人物だと思いますが、あらためて定義を確かめてみます。

フォーカス

チーム間の複数のプロジェクトとプロセスを管理し、調整する。

主な責任範囲

  • 複数のプロジェクトからなる大規模なプログラムを管理する。

  • 取り組みの円滑な実行と提供を確保する。

  • 実行におけるリスクを特定し、軽減する。

  • ステークホルダーと部門横断チームを調整する。

オーナーシップ

  • プロジェクトの実行、調整、納品を担当する

技術に関する関与

  • 中程度から高い – 技術的なプロジェクトが適切に実行されることを保証するが、製品機能については定義しない。

チームとのやりとり

プロジェクトマネージャー、エンジニア、経営陣、その他のプログラム関係者と緊密に連携する。

必要なスキル

  • プログラムおよびプロジェクト管理(アジャイル、スクラム、カンバン)。

  • チーム間のコラボレーションおよびリスク管理。

  • 戦略計画および実行。

  • ステークホルダーとのコミュニケーションおよびプロセス最適化。

キャリアパス

プログラム管理ディレクター、オペレーション担当VP、または最高執行責任者(COO)。

大体のイメージは合っていましたが、キャリアパスの延長線上にCOOがあるのは新たな認識でした。プロダクト間の結びつきが強いか、ステークホルダーとの協調が重要な戦略の推進に必要な人物であるというイメージができます。

PgMとTPgMの違いとは

PgM vs TPgM

さあ、だんだんややこしくなってきました。次は、PgMとTPgMの違いについて明らかにしていきましょう。

フォーカス

PgM: 大規模な事業プログラムと戦略的イニシアティブを管理する。
TPgM: 技術プログラムやプロジェクトを管理し、エンジニアリングチーム全体で円滑な実行を確保する。

主な責任範囲

PgM:
- 複数の関連プロジェクトを監督する。
- チームと利害関係者を調整する。
- リスク、スケジュール、実行戦略を管理する。
- ビジネスと業務目標に焦点を当てる。

TPgM:
- ソフトウェア、インフラ、クラウドプロジェクトなどの技術的イニシアティブを監督する。
- エンジニアと緊密に連携し、実行を推進する。
- 技術的なリスクと依存関係を特定する。
- 技術的な実現可能性とエンジニアリングロードマップとの整合性を確保する。

オーナーシップ

PgM: 事業と業務執行。
TPgM: 技術的な実行を管理し、拡張性と効率性を確保する。

技術に関する関与

PgM: 低~中程度 – プログラムがビジネスに与える影響を理解しているが、深い専門知識は必要ない。
TPgM: 高い - システムアーキテクチャ、API、クラウドコンピューティング、ソフトウェア開発に関する理解が必要。

チームとのやりとり

PgM: 経営陣、事業チーム、プロジェクトマネージャー、および部門横断チームと緊密に連携する。
TPgM: エンジニア、アーキテクト、DevOps、および部門横断的な技術チームと緊密に連携する。

必要なスキル

PgM:
- プログラムおよびプロジェクト管理(アジャイル、スクラム、カンバン)
- ビジネス戦略と利害関係者の調整
- リスク管理とプロセスの最適化
- 優れたコミュニケーション能力とリーダーシップ

TPgM:
- 深い技術的知識(クラウド、AI、API、ソフトウェア開発)
- エンジニアリングプログラム管理
- 技術プロジェクトにおけるリスク評価と軽減
- アジャイル手法とチーム間調整

キャリアパス

PgM: プログラム管理ディレクター、オペレーション担当VP、または最高執行責任者(COO)
TPgM: 技術プログラムディレクター、エンジニアリングオペレーション担当VP、またはCTO(最高技術責任者)

なるほど、意外とすんなり理解できました。PgMがプロダクトとビジネスそのものの整合と推進を担うとすれば、TPgMは大きな範囲での技術面での拡張性と効率性を確保する役割なんですね。

実際の募集を確認してみる。まずはTechnical Product Managerから。

LinkedIn

USの'Technical Product Manager' で検索してみたところ、大量にTPMの求人情報がリストアップされました。

Amazonの例:Technical Product Manager, Product Management Excellence

Key Job Responsibilities

  • 複数の製品ラインについて、そのライフサイクル全体を通じて、初期のコンセプト作成から発売、その後のサポートに至るまで、顧客の声を代弁する。

  • 製品開発の取り組みを推進し、調査、要件定義、測定基準分析、技術仕様、開発、および発売の取り組みを含む。

  • ビジネスおよび競合状況の評価、顧客ニーズと価値の推進要因の理解を通じて、新製品開発を支援する

  • ビジネスおよび製品要件文書を執筆し、ビジネス、設計、開発チームへの要件の明確な伝達と調整を確保する。

  • 既存の製品を測定および分析し、革新と改善の機会を特定し、顧客にさらなる利益をもたらす

AmazonのこのTPMポジションのKey Job Responsibilitiesには、顧客やビジネスとの向き合いも定義されているので、PMの責任範囲をカバーした上、さらにテックに強みをもっている人物、というイメージなのでしょうか。

TikTokの例:TikTok Shop - Senior Technical Product Manager (Seller Risk)

Key Job Responsibilities

  • 自社製品のビジョンを持ち、既存の販売者の管理とリスク軽減のための製品ロードマップと戦略を策定する。

  • UI/UXデザイナー、エンジニア、QA担当者、XFN担当者との緊密な連携を通じて、製品設計と実装を推進する。

  • 他のチームと協力し、ビジネス目標の達成に必要な製品能力を特定する。

  • 製品オーナーとして、製品パフォーマンスと販売者の行動に関する洞察を提供し、成長機会と改善点を特定して優先順位を付け、新機能の製品要件を定義し、開発努力を調整する。

  • 製品機能の成功を測定するための指標を開発し、結果を分析し、組織全体で連携して行動計画と機能強化の提案を策定する。

こちらもPMとしての範囲はカバーしつつも、開発・デリバリーとKPI分析などに重きをおいたような説明になっています。

続けてTechnical Program Manager

Linkedin

こちらも相当な数の募集がヒットした。おおよそメジャーなテックカンパニーにそういうポジションが存在することが確認されました。

Linkedinの例:Technical Program Management

Key Job Responsibilities

• IT TPM チームをリードし、構築し、拡大する。これには、テクニカル・プログラム・マネージャーの採用、育成、指導、コーチングが含まれる。
• リーダーシップチームと協力し、戦略的なプロジェクトロードマップとリソース計画を策定する。
• 優先順位と可用性に基づいて、IT ポートフォリオのリソース配分を管理し、バランスを取る。
• プロジェクトの実行と成功の達成において、エンジニアリングリーダーシップと協力する。
• テンプレート化を通じて、組織全体に適切なプロジェクト管理手法の採用を推進する。
• テンプレート化を通じて、組織全体に適切なプロジェクト管理手法の採用を推進する。
• チーム内での計画、モニタリング、リスク評価のプロセス効率を改善し、必要に応じて企業全体で適切に規模を拡大する。
• 自主性、透明性、コラボレーション、イノベーションを促進する心理的に安全な職場環境を醸成する。
• レビューを通じてプロジェクトの対立を減らし、問題やリスクがエスカレートする前に認識を高める。
• コミュニティ内の他のTPMや、より広範な企業全体に対してコーチングやメンタリングを行う。

この求人からは、TPMのリードとコーチング、またリソースマネジメントが含まれることがわかる。「イノベーションを促進する職場環境の醸成」のようなものが含まれるのも面白いです。

まとめ

これでProject Manager (PM), Technical Product Manager(TPM), Program Manager (PgM), Technical Program Manager (TPgM) の違いを理解することができました。また、各社によってわりと解釈に違いがあることが分かりました。

USのテック企業でこれだけジョブタイトルとして利用されていることからも、募集や社内のジョブタイトルに利用すること自体には何ら問題はなさそうなことがわかりました。

ともあれ、初めてこれらの職種を設定する会社はわりと手探り(特にプログラム・マネージャー職は)で実際の動き方を定義していくか、経験者に頼ることになるんだと思います。今後機会があったら、プログラム・マネージャーについては深堀りしてみたいと思います。


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