ウイリアム・エグルストン MoMAにおける最初のカラー個展「Color Photographs 1976」とその図録「エグルストン・ガイド」について
1976年の個展風景と写真集「エグルストン・ガイド」との照合。33点目の「タンクとフィールド(ミシシッピー 1969-70)」のみなぜか左右反転されて展示されていた。この展示以降、原画スライドからスキャンされた再版や他の本、その他オークションに出てくるプリントは全て逆なので、この展示が反転ミスなのは確か。
ガイドには48点の写真が収録。実はこの本、展示された75点のうち「最初の34点」しか収録せず、後半には展示から除外された14点が追加されたまさに「ガイド」という役割の本。とても不思議なのは彼の最も有名な写真の一つ「赤い天井」がこの同じく有名なガイド本に収録されてないということ。まぁあまりにも強すぎるイメージなので、「カラー」の評価を押し付けすぎるという判断だったのか、どうなのか。この「赤い天井」は、彼の写真集「Ancient and Modern」Random House, 1992の中で初めて収録される。またこの写真の最初の印刷媒体としては、個展の2年前、友人バンドグループだったBig Star(エグルストン一家と知り合いだったアレックス・チルトンの親からの紹介)の1974年発表レコード”Radio City”のジャケット。
ちなみに、この展示で除外されたあまりにも強烈な写真「全裸のトム」が、赤い天井の代わりにガイド本には収録されている。なぜ、彼の最も有名な赤い天井を外し真っ赤なトムを長期に見られる写真集に採用したのか。。「このトムという人は。。」と彼のことを詳しくオンライン上で書こうとすると「彼女」がやってくきてかなりいろいろなことになるのでご自身でググってください。
ちなみに。。「赤い天井」と3冊組未発表写真集「Chromes」の中で初めて収録された「青い天井」ともに「トム」の部屋。そして。。とホント、いろいろ書きたいけど。。我慢します。
写真集「エグルストン・ガイド」1976年初版と2002年再版との比較。再版は彼のコダクロームのオリジナルスライドから全てデジタルスキャンされたが、実はカバーにも採用されている「三輪車(メンフィス)」は原画スライドがすでにないため、MoMAが所蔵しているダイ・トライスファー・プリントからスキャンされたもの。ディテールはさほど失われてないが色味がかなりあっさり。その他のイメージもデジタルスキャンで元のイメージの暖かみを損なっている印象。これは現在主流の色温度その環境に合わせた方向性なのかな。
[References]
Installation images © MoMA The Museum of Modern Art: “Photographs by William Eggleston, May 24–Aug 1, 1976, MoMA”, https://www.moma.org/calendar/exhibitions/2079
Color images © William Eggleston Art Foundation