『夜の街で』4話【ー思いつき長編ー】
【始める前に】
この長編の1話はこちらになりますので、先にこちらを読んでいただけますと幸いです。
前回の話はこちら↓
【本編】
「本当にたまにね。別にホストが好きなわけではないんだけど、一人でいて寂しいときに行くくらい。」
「なるほどね。確かに今日は悲しい夢を見たからきたって言ってたもんね。」
「そう。」
それだけ言うと女の子はまた、グラスに口をつけた。
それからしばらく他愛もない話をして、鏡月のボトルを空けると終わりの時間が近づいてきた。
「そろそろ2時間が経つけど、どうする? 延長するかな?」
「ううん、大丈夫。もうすっきりしたから大丈夫。」
「わかった、じゃあお会計にしよう。」
そうしてお会計が終わると男は出口まで女の子を見送りに行った。
出口で女の子は立ち止まって言った。
「無理に盛り上げようとしないところがすごい良かったよ。私の夢の話も深く聞いてこなかったし。」
「なら良かった。よかったらまた来てよ。あんまり君お金ないだろうし、初回料金で入れるようにしておくから。」
「いいの? 店長に怒られない?」
「僕にはジャバがいるから大丈夫。」
「わかった、また来るね。」
そう言って女の子は夜の街並みに消えていった。
男はその後客も来なかったので、ずっとバックにいた。
彼のホストは盛り上げに向かないので、ヘルプに入ることもない。
店長は巨大な財力をは持つジャバを味方につけている男には何も言わずに好きにさせていた。
バックでは男は先ほどの女の子のことがなんとなく頭から離れなかった。
特に会話に違和感があったわけではないのだが、どこか気になる子だった。
あの子は具体的にどんな夢を見たのだろう。
幸せな夢を見ることはあるのだろうか。
男はなんとかなくあの子は幸せな夢を見たことがないのではないかと感じた。
そしてそれと同時に、次にあの子はいつ来るのだろうと考えている自分に気づいて驚いた。
(続く)