コロナ渦の裏で蠢いている、本当の悪を見逃さないために(一部加筆修正)
火事場泥棒を辞書で調べると、火事等の災いに乗じて盗みを働くもの、混乱に乗じて不正な利益を得るもの、と綴られている。さらにもう一つ、意を付け加えるとするなら、「時の権力が国民の関心が社会問題に向けられていることに乗じて、自らの都合がよい法案を可決する」といったところか。
コロナ渦に乗じて、ワイドショーは「コロナ感染しない」ことを正義として、感染に繋がるすべてを悪とした。その分かりやすい二極化で高い視聴率が叩ければよしとして、煽りに煽り上げた。「家にいろ」「外へ出るな」の合言葉の下、コロナ感染に関わる者、事、場所、行為などへの非難が高まり、ついには「自粛警察」なる奇形が発生するまで至った。そうして振り回され、頭が沸いた国民をしり目に、裏ではとんでもない悪行が進行している。
コロナ渦という火事場で、国民の関心が流行り病へ向けれれている中、政府が国会で躍起になって通そうとしている法案、今一番の話題になっているのは「検察庁法改正案」か。そもそも検察は権力の不正を監視する役割があり、政治からは「独立性」「中立性」が求められる機関だ。今回の改正の裏に、1月31日の閣議の帳尻合わせかと思われる節がある。安倍政権が2月に63歳となる東京高等検察庁検事長黒川弘務氏の定年を8月までの半年間、延長することを決めた。政権の言いなりと批判されている黒川氏の勤務延長を法解釈を歪めることで実現させた。その歪みを矯正させる法改正は、目の前に迫る経済危機よりも、「必要至急」の案件と化している。
年金改革法案もなかなかにエグイ。公的年金の受け取りを70歳以降に後ろ倒す内容で、70歳からの年金受給額が金額的に得なように見せている。しかし、寿命は決められたものではなく、わからない。仮に69歳で死んでしまえば、これまで払い続けた国民年金を受け取ることなく、人生を終えることとなる。少しでも払わないで済ませたいという国の思惑が透けて見える。コロナに対する補償といい、どこまでも緊縮徹底を貫く財政の闇組織的発想はもはやお家芸の域に達している。
緊急事態条項の改正に至っては、コロナ渦における火事場泥棒的な改悪の典型のようなもの。現在の緊急事態宣言では、外出制限の等の「要請」に留まる。ところがこの憲法改正による緊急事態条項では、基本的人権の制限を認め、一定の「強制力」を持たせてしまう。時の政府の独断で、国民の自由を侵害される可能性も。
種苗法(しゅびょうほう)改正は柴咲コウさんが自身のTwitterで警告を鳴らしたことで話題になった。農作物を新たに生み出した個人や法人に「育成者権」を与えることなどが盛り込まれる。政育成者の知的財産権の保護を盾に改正の正当性を訴える者はいるが、各農家による株分け、種取り等が制限されるある。また、農作物を新たに生み出した個人や法人に「育成者権」を与えることなどが盛り込まれる。育成者の知的財産権の保護を盾に改正の正当性を訴えるが、各農家による株分け、種取り等が制限され、挙句は農業崩壊に繋がる恐れもある。新品種を育種登録するには数百万から数千万円の費用が必要となり、それを可能にするのは大企業に限られる。その企業は海外の事業者も含まれ、外国資本に日本の公益事業や産業を売り渡すことに繋がってしまう。
コロナ渦が過ぎた後は、いばらの世界が待ち受けている。正義の側であるかの如く、あらゆる経済活動を取り締まる自粛警察たちも等しく貧しくなる。多くの国民がコロナに対する動きが遅い、危機感がなさすぎると政府を非難した。しかし一方政府は、自己に降りかかる危機に関しては、水面下で素早く準備をしている。己の権力をより確固としたものにするために。本来の悪はなんなのか、目覚めなければならないときにある。自分はとりあえず、ワイドショーを見ないことから始めていきたいと思う。
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