僕の本棚 蟲師
実家に娘と一緒に帰省中。
自分の本棚から、何作かおすすめするなら何かなぁ。
今回はこれにしました。
漆原友紀「蟲師」
この世はヒト知れぬ生命に溢れている。
幻想と郷愁が静かに語られ、心に沁む。
1巻
緑の座 みどりのざ
神の筆。
描いたものすべてを具象化させてしまう能力を備えた少年のもとに、蟲師・ギンコが訪れる。
凄い品:
命の水が湧き出る緑の盃。
柔らかい角 やわらかいつの
村民達が次々と失聴する、雪深き静かな山村。
その静寂には、音を喰い尽くす蟲が関係していた、、、。
枕の小路 まくらのこうじ
予知夢を見させる蟲に取り憑かれた男。人生さえも翻弄されて疲れ果てた男に、さらに数奇な運命が待っていた。
瞼の光 まぶたのひかり
瞼を閉じた時に見える、闇の中の光。
そして、ふたつめの瞼を閉じた時ーそこにあるのは、本当の闇と光の河。
旅をする沼 たびをするぬま
山中を移動する「生き沼」と共に生きることを望んだ少女。
ヒトではいられなくなると悟りつつ、少女は身を委ねた。
2巻
やまねむる
霊峰の山腹に開いた穴ー。その奇妙な現象に足を山中へと踏み入れたギンコは、年老いた蟲師と出会う。
筆の海 ふでのうみ
細き身に禁種の蟲を封じた少女。
己の生があるうちに蟲を眠らせるためー少女は紙を滲ませる。
露を吸う群 つゆをすうむれ
潮に阻まれた孤島で、死と再生を繰り返す少女。
”生き神”として崇められる少女が見ていたものはー。
雨が来る虹がたつ あめがくるにじがたつ
雨後の空にかかる、妖しくも美しい光の束。
それを追い続けることを己の人生とした、数奇な男がいた。
綿胞子 わたぼうし
奇病に冒された子を、母は案ずる。
たとえそれが、ヒトとはかけ離れた姿で生まれたモノであってもー。
3巻
錆の鳴く聲
海境より
重い実
硯に棲む白
眇の魚
4巻
5巻
沖つ宮 おきつみや
眼福眼窩 がんぷくがんか
山抱く衣 やまだくころも
篝野行 かがりのこう
暁の蛇 あかつきのへび
6巻
天辺の糸 てんぺんのいと
囀る貝 さえずるかい
夜を撫でる手 よるをなでるて
雪の下 ゆきのした
野末の宴 のずえのうたげ
7巻
花惑い はなまどい
鏡が淵 かがみがふち
雷の袂 いかずちのたもと
棘のみち おどろのみち
8巻
潮わく谷 うしおわくたに
昼も夜も眠りを取らず農事に精を出す男。そしてかの地は雪の時節も青々と実りをたたえー”蟲師”ギンコの調査が始まる。
冬の底 ふゆのそこ
春の訪れを拒む山があった。降り止まぬ雪、冬眠から目覚めぬ生命達。それは山のヌシ自らの意思ー死を待つが如く。
隠り江 こもりえ
この世には人知れぬ水路がある。
時にヒトは意識を任せ、望む相手への路を辿りーそして互いが同時に想う。
日照る雨 ひてるあめ
その女は、雨を告げながら旅をする。
蒼天から注ぐ雫が呼び起こす女の過去、それは幾粒の涙でも償えぬ数奇な巡り合わせ。
泥の草 どろのくさ
”死した者は山へ帰る”ー誰しもが沼に葬られる里で、奇妙な病が蔓延する。恐れを抱く人々は言うー”死が伝染った”のだと。
9巻
残り紅 のこりべに
昼でも夜でもない、不確かな刻ー夕暮れ。
地に長く延びたふたつの人影が重なる時、永く眠っていた闇が目を醒ます。
風巻立つ しまきたつ
凪の海で帆を揺らす船。意のままに”蟲”を操り風を呼ぶ危うき少年は、己が為に往くー心に地平を見る為に。
壺天の星 こてんのほし
輝きひとつ見えぬ夜空、しかし頭上にのみ散らばる幾多の星。独り、少女は見上げていたー異質な闇と懐かしき光を。
水碧む みずあおむ
水に呼ばれ、自らも水を欲しーかの者は、求め続ける。胎内での記憶に呼ばれたかのように、しかし彷徨うように。
草の茵 くさのしとね
それは何処であったか、何時であったか。白き髪と緑の目を持つ少年は、世と生命の”理”をーそして己が居るべき処を照らす光を知った。
10巻
光の緒 ひかりのお
常の樹 とこしえのき
香る闇 かおるやみ
鈴の雫 すずのしずく
最後まで読んで頂き、感謝です(ペコリ)
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