”待て”と”ご褒美”のダンス系MMD
※本記事には、初音ミクや東方Project、アイド/ルマ/スター、ツイス/テッドワ/ンダーラ/ンドなどのMMD二次創作動画が登場します。苦手な方はブラウザバックをお願いします。
※勝手な探索的自由研究です。
MMDというものをご存知だろうか。樋口優氏作成のMikuMikuDanceと呼ばれるソフトウェアのことである。初音ミクのみならず、さまざまなキャラクターや推しを動かしてダンスなどをさせることができるという夢のようなソフトウェアだ。
興味のある方はこちらからMMDの「伝説の始まり」をご覧いただきたい。
今回は筆者が知るMMDの中で、MMDの時代の流れを見ながら、「待て」と「ご褒美」がいかにダンス系MMDを魅力的に見せるかをまとめていきたい。筆者はMMDに詳しいわけでもモデルを動かせるわけでもないただの一般人だ。例として出すにはもっと適切な動画があるかもしれないが、暖かい目で読み進めていただけたらと思う。
MMD登場初期は、下記の動画のような「ウマウマ」と呼ばれるものが多かった印象だ。このように3D自体が動くことに感動していた。動いていることが奇跡だった時代である。何番煎じかわからないほどに初音ミクのウマウマ動画は多い。
こちらのLOVE&JOYは伝説の誕生から約一年でここまで滑らかに複雑な動きができるようになった。しかしまだ、カメラアングルや光の調整などがなく、アイドルの表情も一定である。当時はモデルもここまで滑らかに動く時代になったとは、と感動していた。
下の動画は2010年、誕生から三年目にしてカメラワークが凝り始めてきた頃のものだと言っていいだろう。おそらく手動でモーションを作っておられる年代かと思われる。なのでコメントには「愛がないとこんなことできない」という旨の書き込みが多い。
さて、MMDのダンス動画によく見られるのが凝ったカメラワークである。こちらは2011年の8月19日に投稿されたもので、今でも高評価を得ているものである。このSweet MagicはMMDが誕生して4年目の作品である。
上で紹介した動画は、冒頭でキャラクターの胸元が見えて、「どんな子なんだろう」と期待をもたせる。さらに次の瞬間、顔をチラリと見せて、その後全身を引きで見せる。それから、要所で見せるキャラクターの表情。これも「待て」と「ご褒美」だと筆者は思っている。引きでキャラクターの可愛さやかっこよさを堪能させた後に(「待て」の状態)、時々見えるキャラクターや推しの笑顔(「ご褒美」シーン)にどきっとするのだ。
時代は流れて2020年代になると、今までの手動と違い、モーション取り込みが主流になっている。いわゆる手動でなくとも自然な動きをモデルに取らせることできる。その作業が格段にスムーズになってくると、よりカメラアングルによる「待て」と「ご褒美」は鉄板になってくる。引きの全体像で、ダンスのかっこよさや可愛さを見せつつ、顔のアップになるとキャラクターの表情までが見て取れるようになった。
例えば、下にある動画では二人が別々の振り付けで踊ることはもう当然のこと、それぞれの表情の違いにも注目できる(Pは無表情)。女の子の照れた困り顔は思わず一時停止を押したくなるほどの作り込みだ。指の複雑な動きも違和感なく再現されている。また、細やかな動きにシャイな感じが滲み出ている。
続いては、より表情の見やすいソロパートの繰り返しの動画を紹介する。こちらも、「待て」と「ご褒美」がはっきりとわかりやすいかと思われる。かっこいいダンスを引きで見せ、「待て」をする。どんな表情をしているのか、引きではわかりにくい。ここでの「待て」が、キャラクターの表情を見たときの興奮をさらに高めていると言ってもいい。そして「ご褒美」の瞬間はほんの一瞬だが、キャラクターの表情がしっかりと作り込まれているのがわかる。
このように、引きとアップが交互に繰り返されることで、キャラクターや推しの魅力がより一層引き出されていると考えられる。自由研究の展望としては、MMD初期のようなカメラ固定でキャラクターや推しが踊る動画と、「待て」と「ご褒美」にあたる、引きとアップによる演出とでは、キャラクターや推しに対する魅力がどのように感じられるかの比較研究があってもいいと思う。
所感
ソースも何もないまま持論を展開してしまった。緩急をつけたカメラアングルは2020年代のダンス系MMD界では常識になっているかと思われるが、もしかしたら「待て」と「ご褒美」は何か別の名前でテクニックとして存在するのかもしれない。この「待て」と「ご褒美」の緩急はダンス系MMDだけに限らず、プレゼンテーションやスピーチにも幅広く活用できるだろう。
演出に詳しい方がいらっしゃいましたら教えてください。