SHINKUKAN podcast #68 スペシャルゲスト「TEAM2MVCH」Part1
配信日:2022/8/23
おはようございます。音楽プロデューサー世界のミュージックアワードを研究しているWELCOMEMANです。
この番組は世界の音楽ビジネスニュース、世界のミュージックアワードに関連するアーティストや楽曲を紹介しつつも日本の素晴らしい音楽をお届けしていきます。
世界と日本の架け橋となる音楽情報発信基地になることを目的としております。今回はスペシャルゲストをお招きしてトークセッションを繰り広げております。
日本のアーティストを世界に発信するためにはまず、リスナーの皆さんに日本の素晴らしいアーティストを知ってほしいということで、WELCOMEMAN独自の角度で、僕自身が知りたいことをズバリ伺っております。今回のゲストはプロデューサーチーム・TEAM2MVCHです。まずは楽曲を聞いてください。
「Spark InThe Light」
WELCOMEMAN:お送りしたのは、TEAM2MVCHで「Spark InThe Light」でした。今回のスペシャルゲストです。ISH-ONEさんと、DELMONTEさんです。よろしくお願いします。
ISH-ONE:今日はDELMONTEと遊びに行きました。ありがとうございます。
WELCOMEMAN:ありがとうございます。ISH-ONEさんは前回も出ていただいたんですが、今回はTEAM2MVCHということで、どういうふうに定義していってるかとか、どういうふうな活動、経緯でこうなったかっていうのを細かく伺っていきたいと思います。
僕も曲を聞かしていただいてるんでTEAM2MVCHのコンセプトとかISH-ONEさんがおっしゃってたTEAM2MVCHのあり方を伺ってるんですけど、リスナーの方がISH-ONEさんを聞いたときに同じクレジットで、ISH-ONEさんと隣にTEAM2MVCHで並んでるじゃないすか。
これはなんだみたいなことを感じてる人も結構いてると思うんですが、まずそのTEAM2MVCHって何だっていうところを教えていただいてもよろしいですか?
ISH-ONE:TEAM2MVCHとはプロデュースチームというか、ユニットっていうか、何ですかね、僕ら元々、自分たちもアーティストなのでずっと活動していく中で自分たちでトラックも作るようになって、特に自分たちがプロデューサーって意識したことはなかったんですけど、そのS7ICK CHICKsっていうグループを7年、8年ぐらい前に僕らがたまたま関わらせてもらい、7人の女の子ラッパーを集めて、アルバム作ってみようということでS7ICK CHICKsってのを作ったんですね。
それがあんまり日本になかったからというのもあって結構ヒットして、そのときに僕らはプロデューサーとして一応、音も作ってるし、自分が歌詞も書いてたんで、プロデューサーっていう今までの日本のプロデューサーで音を渡すとか、作詞家さんは作詞とか、編曲家さんは編曲とかってみんな分かれてたけど、俺は全部できるからその全部を使ったときにプロデューサーネームとして...
DELMONTE:必要だなって元々前のアルバムでね、TEAM2MVCHという曲を出してて。
ISH-ONE:そうなんすよ。だから、コンセプトがtoo muchっていうtoo muchって本当はもうやりすぎぐらいの意味じゃないですか。
僕らのストリートでの振る舞いがそうだったんでtoo muchじゃないと意味ないでしょみたいな感じで渋谷を荒らしまくってたんで、だから、そのライフスタイルごとをチームだなみたいな感じで。
はっきり言ってプロデューサーチームの名前じゃなかった。遊んでる名前っていうか、一応みんなラッパーでプロデューサーだから音楽やってるけどなんかそのやり方っていうか遊び方がtoo muchだなって思うとこがあって、これぐらいが俺たちの基準値だよねみたいなところからの、多分それからじゃないかなTEAM2MVCHっていう名前がついたのは。
2人だからTEAM2MVCHとかじゃなくて2って名前に使ってますけども、多分そこですね。
遊び方がtoo muchだった。多分誰よりもtoo muchだったと思うんすよ。渋谷の中で。
だからそれが多分、自分たちでも人からも呼ばれるし、自分たちも自分たちの生き方がtoo muchだね、でもこれでいいよなと思ってるところもあったから、このままプロデューサーネームにしちゃおうという短絡的な考えですね笑
コンセプトがあってTEAM2MVCHって名前にしたというよりは、生き方からそのまま勝手にプロデューサーネームがついたみたいな感じ。
WELCOMEMAN:うん、なるほど。いいですね。かっこいい!
ISH-ONE:いや、でも音楽をやっているって延長線上があるからそれでできた名前だと思うので。
DELMONTE:遊んでる延長線上だよね笑
ISH-ONE:そうそう、だから遊びだと思うんすよ。この前も話したと思うんすけど音楽ってやっぱ楽しむべきものなので。遊びでいいんですよ、本来は。
だけど遊びじゃないような仕事だよねとかなっちゃうとなんかそれに何かまた違う要素が加わってきて、そのバイブレーションを読めてしまうところもあるから、だから遊びのまま、僕らはプロデュースやってるみたいな、遊びでやるけど、真剣に遊ぶ。
DELMONTE:ガチで遊ぶみたいな。
ISH-ONE:そう。そこがTEAM2MVCH。他の人だったらこれぐらいがノーマルだけど、俺たちはtoo muchぐらいじゃないと、俺たちのノーマルではないよっていうか。
WELCOMEMAN:なるほど。今、2人で立ち上げられて、それぞれ制作する担当が違うと思うんですけど、主にDELMONTEさんは制作、ミックス、マスタリング、どの分野をメインでやられてるんですか?
DELMONTE:そうですね、基本的にアイディアとかはISH-ONEくんが出してくれるんで、それを元にこういう感じでしょって曲をどんどん構成していくっていうか、まずは組み立てていくっていうところが第一にあることかな。
ISH-ONE:そうですね。もちろん、お互いアイデアを出して作るとか、お互いで空間を共有してるから絶対にお互いがここでしょうとたどり着くのはあるんですよ。
言わないけどこういう音にしてとか、だけど、これだったら、こうだろうっていうのが阿吽の呼吸でできてるから、僕がこのアイディアで行くって言ったときにそのアイディアが帰結するまでがめちゃくちゃ早いつうか。
DELMONTE:この音があるんだったら次はこの音が必要だねっていうのをもう言うより前に出しちゃうみたいな。弾けるよみたいな感じで弾いてもらったりとか、俺がやったりするときもたまにある。
ISH-ONE:あるある。だから俺はどんどんもっとやってほしいと思ってるんで。やれるんだったらやってみろよというか、お互いそういうレベルっていう感じ。お互いが良いキー弾けるんだったら弾こうぜみたいな感じだから。
だからどっちがメインっていうより、俺は自分のアイディアをこうしたいっていう形にしたい早さが早いだけなんで。
それをやってくれる対応力、早さ、次の俺のアイディアをはやく落とさずに賞味期限が切れてしまう前に次のアイディアを置けるスペースを用意してくれたりとか、それって絶対ずっとやってきてないと阿吽の呼吸で絶対出れないから、まだそこがなんか僕らの制作の中で待たせないというか、待たないし、僕ら待つことも嫌いだから。
DELMONTE:他の人から見てると何が行われてるんだろうって感じがするかもね。
ISH-ONE:そうだね。異常だと思いますね。
DELMONTE:気がついたらあっという間に何か曲が出来上がってるなみたいな感じかもしれないですね。
WELCOMEMAN:なるほど、じゃあTEAM2MVCHを作ったとき、良きパートナーでもあるけど、そういう意味では良きライバルっていうか、いいものを作ろうぜっていうところの敏感なところではずっとこうやりとりしながら物作りしていってるようなイメージですか?
ISH-ONE:そうですね。結局アーティスト同士だし、やっぱり僕もそうだけどDELMONTEも元々DJだったけど、エンジニアからビートメーカーになって、プロデュースもあったりとかしてるから彼の中での音像も絶対あるし、だけど、お互いに好きなとこは結構似てるとこがあるからそこの部分での帰結点を出すのが早いんですよね。
だから本当にストレスを感じないっていうか、俺はあんまり他のスタジオとかでやることはないですけど早く帰りたいと思う。
自分の空間じゃないし、僕からするとDELMONTE STUDIOだって家みたいなもんなんです。
2個目の家みたいな。それぐらいずっといるし、だから俺はずっとスタジオにいたいなと思うようにしてくれる。
彼がいれば何万曲でも作れるなと思うようなものでcomfortableさ(快適さ)というのは絶対もらってると思うから、その中で一緒に動いているプロデューサーって大体そういう感じなのかなとか思うし、試し合いだと思うんです。
結局だって俺がね、聞いたキーに対して、こういうアプローチをしたいとかこういうアプローチをしていくっていうのが俺よりもこれはやばいなと思わせてくれたら採用するし、お互いそれはそうだと思うんですよ。
だからそれを俺は常に超えるようにというか、昨日も言ったけど、隣にいるDELMONTEを笑わせるようなラップができなきゃいけないとか、それじゃないと結局、意味がないんですよね。
誰に対して歌ってんのってなるし、やっぱ身近な人間がわかることって真実だったりすることだったりするから。
それと同じで音色も、こういう音色を出してくるんだみたいな、お互い試し合いそれがアーティストのいい意味での競争というか、切磋琢磨だと思うんですよね。
エゴではないところで認め合うというか、ヤベーねこれみたいな。それの繰り返しじゃないですか。
今日は昨日よりヤバかったかなとかっていうことを繰り返し多分、TEAM2 MVCHはやってて。
DELMONTE:続けてますね。毎回、毎回この後どうなるんだろうみたいな、曲が作り終わったときにここまで頑張ったけど次どうするんだろうみたいなのは感じますけどね。
でも、次はやっぱそれを超えてくんでね。
WELCOMEMAN:制作をコンスタントにやるってすごいパワーいりますよね、精神的なパワーっていうか。
DELMONTE:やるときは別にそんなにね、いつも通り。
WELCOMEMAN:それがフランクにできてることがすごいなと思いますね。
ISH-ONE:やらなきゃみたいのがないっていうか、もうそれがそういう常になってしまってるんでしょう。
DELMONTE:やるでしょみたいな話ですね。
ISH-ONE:やらないことはないし、いい曲できないことも絶対ないと思ってるから。
だったら、もうやった方がいいじゃん。俺ら2人がスタジオにいるならやった方がいいよっていうか、世界の何かを変えるために生んでいける可能性があるからっていう、そういうふうに感じる人ってなかなかいないと思うんすよね。
WELCOMEMAN:そうですね。ちなみにおふたりの出会いって大体いつぐらいで、どんなきっかけですか?
DELMONTE:10年ぐらい前だったっけ?
ISH-ONE:そうですね。2005、2006年とかだから結構経ってますよね。
新宿のismっていうクラブがあって、ここで昔、彼のクルー・Zipblockと僕のクルー・YING YANGが一緒にパーティーをやってて、そのときに知り合いになって。
DELMONTE:その時もね、そんときはまだ僕はDJやっててライブやっててっていう感じで。
ISH-ONE:その時は制作とかで絡むとかではなくて、お互いにやってるんだろうっていう感じの感覚だったんすけど、あるリミックスをやる企画のタイミングでDELMONTEのスタジオで録るみたいな話になったときにちゃんとスタジオを持ってて、もちろんその前もいろいろ遊びに行ったりしてたんすけど、DELMONTEがエンジニアを始めたんだみたいなタイミングがたまたまそこにあったから僕もここのスタジオでやりたいなみたいのもあったし、自分の元々使っていたスタジオもどっか違う所に移動しちゃったりとかもあったんで、そのタイミングで渋谷にもあるし、今までは桜上水とかちょっと渋谷まで離れたところにスタジオあったとか、だから渋谷のスタジオなんかが初めてだし、通って行こうと思ったらたまたまそのタイミングで面白いラッパーがDELMONTE STUDIOに集まり始めたんですよ。
だからそれこそ今のAKLOとかKojoeとか、そこら辺のメンツも来てましたし、今みたいにジャパニーズヒップホップ大きくなる前、全然売れる前ですよ、売れる前にみんなそこで切磋琢磨してみたいな、お互いが。そう言う場所だったんですよ、DELMONTE STUDIOって元々。
DELMONTE:たまたまスタジオの入れ替わりのときとかに会って仲良くなったりして今度、曲やろうかとかアーティストの交流の場でもあったっていうのもあって。
ISH-ONE:今、DELMONTE STUDIOを利用する、しないに関わらず、DELMONTE STUDIOがないと、今の日本のHIP HOPの80%ぐらいは多分ないんじゃないですか。
WELCOMEMAN:いや、それぐらいだコミュニティの基地になってると思います。
ISH-ONE:リアルにそれぐらいあると思いますよ。みんな何か使ってなかったみたいな感じしますけど。
WELCOMEMAN:場所もね、本当にすぐ渋谷に遊びに行ける場所にあって僕も一度を伺わせていただいたんですが。
制作のお話が出たんで伺っていきたんですが、DELMONTEさんの方のシステムっていうか制作の例えば、このポッドキャストでね、DTM専門の回があって、リスナーさんでクリエイターの方が多いんですよ。
DELMONTE:たまらないっすね。
WELCOMEMAN:そうなんですよ。なので番組の中でも、例えばNeveとSSLの実機持ってきてをマイクプリアンプを比べたりする回があったりして、結構クリエイターさんが聞いていただいてるんですけど、気になってると思うんすよ、渋谷のど真ん中でスタジオですから数々のラッパーさんたちがここでレコーディングしてきたっていうところで、まずはDAWは使っているとか、どういうシステム使っているか教えていただいてもいいですか?
DELMONTE:そうですね。10年前に始めたときは、WindowsでCubaseです。
途中からMacに移ってでもやっぱCubaseがすごい使い勝手が良かったんでそのままCubaseを使い、今はMac Proに移ってDAWはStudio One使ってますね。
Studio Oneはやっぱりレスポンスがすごい早いっていうか、わかりやすいし、レイアウトわかりやすいし、レスポンスが早いんで一時期、ProTools使ってた時期もあったんですけれどもProToolsって結構、不親切で自分からするとそのレコーディングしている間に何もできないみたいな。
WELCOMEMAN:そうですね。ルーティンはよく組みやすいんだけど、実際、その制作スピードっていう意味ではそこまで上がってこない可能性ありますね。
DELMONTE:もう録っちゃってる間に他のことを動かしたりするタイプなんですよ。録り音にもちろんなんかね、ノイズとかが出るようなことはしちゃいけないとは思ってるんでそこは見極めてるんですけど、もう録りながら他のボリュームとか調整とかいろいろとやったりして、そういう意味だとStudio Oneはすごい使いやすいなと思って今使ってますね。
ISH-ONE:年間800曲ぐらい作ってるんすよ。このスタジオはだから僕のセッションもそうですけど大体3時間でトラック制作からマスタリングまで終われるんですよね。だから、その速度なんすよ。遅いソフトはもう使えないんすよ。
俺の方がマインドも早いし全部で早いから、それについて来れるコンピュータもしくはそれについて来れるインターフェースのソフトウェアがないと、やっぱりリズムが崩れる。
DELMONTE:脳みそとね、どれだけ直結してるかみたいなところを考えています。
WELCOMEMAN:これ今、聞いていただいてる9割のクリエイターがびっくりしてると思うんですよ。
普通の制作のスピードって先にソフトウェアとか先にソフト、あの音があるよねっていうのをいわゆる武器揃えてから作る人って多いじゃないすか。じゃなくてもう先に今の2人の話だと、武器はあるからここには。あとはそれを成立させるためのスピーディーなものだけを用意してくれたらいいってことなんで、そういうソフトウェア発信じゃなくて、もう頭にマインドのところにあるクリエイティブさ発信でやっていっているんですね。
ISH-ONE:音楽ってやっぱバランスだし、本当にこの音が合う黄金比率みたいなものが絶対あると思うんですよ。
オーケストラもそうだし、そのバランス感というか、それがわかってれば自分の中の欲しい音っていうのはもうすぐわかってるからあとはそれをそれに一番近い周波数を探すだけなんすよ。
最初の設計図ができちゃってる感じ。設計図ができたら落とし込むだけみたいな。
WELCOMEMAN:そうなってきたときにこの設計図を早く形にしてくれるっていうものを優先的に選んでいくという。
ISH-ONE:はい。音は全部持ってるから、あとはもう無数の音の中からいろんなこういう系だったらしかもレスポンスも早くて、シンセサイザー系でべル系が揃ってるシンセはこれだとかもわかってるから、外科医のオペレーションみたいにはい、メスみたいなはい、何とかみたいな感じでぱっとやって最終的な縫合をしてくれるのがDELMONTEだから。
DELMONTE:それで料理完成。
WELCOMEMAN:すごいテクニカル、ものすごい技術がいりますよね。ISH-ONEさんの頭の中にある音しかもサウンドライブラリでも何千もあるわけで、それを先回りしてチョイスするっていうのは頭の中で相当整理されてないと音出てこないですもんね。
もう音選びだけで1日終わっちゃうことなんてプロジェクトとしてはよくあると思うので。
ISH-ONE:探しすぎるのもよくないと思うんすよ。パーフェクトな音はなくて、自分の中で、もやっとしてて、こういう音色でこれっていうのがあればあとは何個か弾き直してその中で無数のメロディーがあるけど通る道ってのは何個かわかった上で引き算、足し算だけじゃないすか。
俺の場合、引き算、足し算をしないんすよ、全部引き算、足し算ができた形なんすよ。
先に設計図を頭で書いちゃってるから、俺、リテイクないんですよ。ラップも。
うまく言い直すとかあるんですけど、その大体言ったこととか、最初にやったことっていうのをただうまく言う作業を繰り返してるだけというか、だから本当におかしいなと思いながら考えてないんですよ、曲を作る時に何も考えてない。
全く無の状態というか。だから溢れてくんですよ。
いろんなものを体の中から放出するんじゃなくて、世界にあるいろんな空気や要素をそのときにただこう持ってくるだけというか、だから俺、全部フリースタイルで書くのも言葉を二次元に落とさないのも捉えたくないんですよ、二次元に。言葉を。
捉えちゃうことによってさっき話したけど何かよみがえらせる作業が入ってくるっていうか、演者の作業っていうのはわかります。だから俺がアーティストと演者の違いっていうのはそこだっていうか、演じるんではなくて僕の場合は、ラッパーであるリリックを書いてる自分を演じるってよりはただ自分の中の本当の魂みたいなものを出したのをDELMONTEが記録してくれる。
WELCOMEMAN:なるほど、なるほど。言葉にするのは難しいですけどすごい僕も感覚的にわかります。
ISH-ONEさんの頭の中にあるマインドのものを1回、現実社会に落とすとフィルターみたいなのがかかるからインプットしたものをそのままソウルみたいなところに出して、フィルターをかけずにそのまま直でいっちゃうという感じですね。DELMONTEさんもそれを理解されてて、温度感を。
DELMONTE:文字とかに起こすとやっぱり硬くなってしまうというか、だから本当、ちょっと前まではリリックを書くっていうこともたまにあったんですけど、聞いてわかるんすよ、これ書いたでしょって。
なんか別にその良い悪いとかではなく、良い悪いというよりはなんかね固定されてるっていう感じがしちゃうんですよね。
ISH-ONE:それはマトリックスが固定されてるんすよ。読み上げてるし、あとやっぱり、受け手がいると思ってやっちゃってる。
この前も言ったけど、受け手がやっぱいいねと思ってやらなくて、自分自身に対してやったことが受け手が思うとか周りが勝手に反応してしまうのがアートだと思うから、これ聞いてよとか、君たちのためにこれを言ってるこのメッセージを聞いてよっていうのがアートじゃなくて、自分が自分と戦った葛藤とかエラーとか、そういうものの片鱗がそのアートだと思うんですよね。
だからそれをやるのに俺にとってはすごい良いパートナーというか、間違いなく俺の時間を無駄にしない。
俺がここでこれやりたいってときにそれを多分この地球上で一番早く形としてくれよと思うから、だからそういうのは本当稀だと思いますよね。
WELCOMEMAN:本当にすごいパートナーですし、ISH-ONEさんのマインドを形にできるっていうのもそのスキル自体も素晴らしいし、なので、このバランス感が本当に最高ですね。
DELMONTE:他の人は多分やれないようなことやってるかもしれない。
WELCOMEMAN:聞いたことないです。
ISH-ONE:海外の人に近いと思うんすよ。フリースタイルで作るとか、その場でバイブして作るっていうか、こういう曲作りたいっていうよりは、その場でそのときの感情を組み立てたらできたみたい曲が多いから。
俺はスタジオ以外で音楽も作らないし。でもラップは常にしてるんすよ。スタジオに行き帰りとかも何十年もフリースタイルし続けてるんで。
それとかもう地道なトレーニングだと思うんすけどそれ以外で音楽のこと考えたりとか作曲したりとかってことを全くしないんですよ、っていうのはドーパミンを貯めおてく、そのスタジオまでっていうか。
だからその分、無駄に音楽に自分が触れて自分の中の大切なドーパミンをそれに使わずに、スタジオに来たときに一気に放出する。
だから本当に無駄なものは本当にない方がいい音楽ができる気がするけどね。
DELMONTE:でもひとつ言っておきたいのは一番最初にそのスタジオやり始めて来たときに、紙の裏にすごいリリックを書いてるのを300枚ぐらい持ってきて、書いてるんだよねって言って、めちゃくちゃリリックを書いてるのにそこから1回も使われない。
WELCOMEMAN:その300枚はどこに行ったんですか笑
NFTにしたらえげつない価値になりそうな気がしますね。
ISH-ONE:ライムブックはめちゃくちゃありますね。ニューヨークの頃も多分20冊ぐらい書いてるし、自分で勝手に韻辞典みたいのを作ったんすよ。日本語ライミングディクショナリーみたいな。母音のものを50個ずつぐらい全部書いて、それを見ながら日本語の韻ってこうなんだ、って勉強して。
DELMONTE:全く書いてなかったわけではないっていうか、逆にその普通の人よりももうしこたま書き続けた上の境地というか。
WELCOMEMAN:よくラッパーの方が書くっていうリリックよくね、ペンを握るとかよくそういうキーワード出てくるじゃないですか。
もうISH-ONEさんはペンは握らないんですよね。
ISH-ONE:そうですね。
WELCOMEMAN:それを理解されて形にしていくっていうのはすごい。テクニカルを超えている部分ですよね、お話聞いてて。
テクニカルの方にも興味持ってる方いっぱい出ると思うのでソフトウェアの部分とか、よくミックスで使っているソフトとかもしあれば教えていただきたいです。
DELMONTE:マイクはずっとのNeumann(ノイマン)のTLM67を使ってます。87もちょっとだけ試したことあるんですけど、87は何か自分からするとちょっと高音がピーキーすぎるかなと言うイメージでTLM67の方が中音域が結構出てて、中域ががゴリっと出るのは結構好きだなと思っててそれをずっと使ってます。
マイクプリアンプはBrent Averillかな。型番忘れちゃったんですけど、Brent Averillのマイクプリアンプを使ってて、Neveの人が独立して作ったものなので中身の部品はNeveに似てるっていう感じでやっぱNeveも自分の中のイメージをゴリっとしてるっていうもの、グライミーな感じかな。
WELCOMEMAN:ラップのはぎれとか中高域、真ん中辺りのパンチあるところがぐっと前に出るような。
DELMONTE:コシが出るっていうのが好きで結構ずっと使ってますね。
ISH-ONE:あとDELMONTE STUDIOは電圧を200ボルトに上げてるんすよ。
だからUSとほぼ同じというか、電圧で機材とかもひけるから、USっぽい音も作れると思うし、電圧ってすごい重要じゃないですか。
元々体に流れる血液と同じで電気って。だから機材も100%のパフォーマンス発揮できないんすよ。
やっぱりその海外で作られた機材を日本に持ってきても日本の電圧では動かないっていうか、本当の音が出ない。
MPCでもそうなんすけど、だからそれもちゃんとあげてるっていうのがひとつのDELMONTE STUDIOのこだわりでもあると思う。
DELMONTE:海外に比べると日本だけ送電の方式が違ってて、単相3線っていう方式で他のところは違うのかな。日本のところだけノイズが通っちゃう形式になってて、海外よりもノイズが乗りやすくてそれがずっと長年ネックで、何で海外と音の差があるんだってところを払拭するために、電気についてはいろいろ勉強して、そういうことにいろいろ入れてますね。ちょっとお金がかかりましたけど。
WELCOMEMAN:そういうところもこだわっていってるってことですね。
要は、グローバルな作品で戦うってISH-ONEさんもおっしゃってますが、やっぱりそこのスタンダードに乗せようと思ったら電源までちゃんとやらないといけないよねっていうところまで行き着いていったってことですよね。
ISH-ONE:僕がそのラップ、人生を自分自身にお金をかける以上に多分彼はその機材のお金をかけたから多分家の一個二個、建ってんじゃないかなと思いますけど、でもそれがその彼のこだわれるアーティストの部分でもあるし、高める部分でもあるし、他のエンジニアと比べて俺に勝てるのかよって部分もあると思うから、だから俺はすごいなんかdedicate(献身)してるなと思うし、自分のことに。
WELCOMEMAN:今はそのDELMONTE STUDIOに例えばラッパーの人とか、シンガーの人たちがぜひDELMONTEさん録ってください、制作させてくださいみたいなことをお願いできる状況なんですか?
DELMONTE:もうそれはもちろんいつでもやってますし、いつでも受け付けてますし、いつでもやってます。
WELCOMEMAN:そうなんですね。このポッドキャスト聞いて、ぜひ自分の作品も聞いてほしいとか、ラップ録ってほしいってなったら、直接どこかにご連絡していけば問題ないってことですね。
DELMONTE:はい。基本的にでも最初からみんな紹介してもらって進めているんで。誰かの紹介で新しいアーティストが来て、そのアーティストがまた別の人を紹介してくれるっていう形でやっている状況です。
WELCOMEMAN:いやでも本質のコミュニティとしてのあり方ですよね、やっぱり作品としてお互いリスペクトし合ってる人たちがどんどん繋がっていくっていう。
誰かわからないけど、デジタル上できたっていうことをメインではないってことですよね。
ISH-ONE:そうですね。近い繋がりの中で、今回、自分たちのTEAM2MVCHに入ってるアーティストの子たち、そういう子が多いんですよ。
土曜日たまたま、DELMONTEのセッションに来て、ここで僕がその次にセッション入る。
たまたますれ違うとか、それがあるときに何新しいラップやってるの、聞かしてみてとかっていう話からTEAM2MVCHでトラック作ってあげようかっていう風になってるから、やっぱ繋がりみたいなところと、その人柄ですよね、人柄、そいつらのバイブスっていうのがちゃんとあって、こいつらはちょっと元気そうだし、じゃあ俺たちが何か助けることができるかな、曲作ってあげようかとか、ていう流れで結構入っていくことが多いよね。
DELMONTE:そうだね。
ISH-ONE:俺もう行っちゃうんですよ、スタジオに。なんか俺スタジオが好きだから。ISH-ONEさんいるんだったらみたいな感じになって結局、俺がもう勝手にそのセッションに入っていくってパターンも多いですよ。
結局、そいつらよりやりまくって何か自信なくさせるみたいのありますけど、基本的にそれで自信がなくなるならそれぐらいのもんだってなります。
DELMONTE:でも作ってくださいみたいなこと言われたら断らないもんね、基本的に。
ISH-ONE:そうですね。
DELMONTE:やってあげることは全部やってあげたいなっていうふうに彼は思ってるんで別に出し惜しみとかもそんなしないだろうし。
ISH-ONE:何か求められればやってあげようと思うし、その人のレベルもあるけどでもやっぱ僕ら関わることによってそいつがちょっとレベル上げればいいじゃないすか。
とかそういう気持ちになればと思うからだから昔みたいにこの人面倒見ようとかっていうよりは、なんか俺がそこに基本この前も、ポッドキャストで言いましたけど自分がそこにいることによってその人の人生が良いふうに狂っていけばいいなと思うだけだから。
だからTEAM2MVCHに入ってるアーティスト、若いアーティストに関してもそういう考えなんすよね。
ただ僕らがそこにいて、音楽ができると一緒に作って、お互いに影響し合ってるからそういう音楽ができるはずだしと思うし、僕もただ単にトラックをあげたりとかじゃなくて、今どういう状況なのか聞いた上で作るから、そういう意味では何か良いバイブスっていうか、だから本当に若い子だったら18歳とかもいるだろうし、年上だったら本当、40代、50代とかもいるようなスタジオ環境だから、本当はそういう所だと思うんですよスタジオって。
DELMONTE STUDIOの特殊なところって派閥がないというか、普通だったら東京のラッパーとかでも自分らが自分らのとこってあるんだけど、DELMONTE STUDIOは場所もいいとこにあるのもあるし、やっぱりDELMONTEの人柄もあると思うけど、何かそういう場所なんすよ。
なんかみんな安心して来れるし、一番自分がアンダーグラウンド、売れててもですよ、アンダーグラウンドのままで曲作れるから、メジャーだと一気に周りにいろんなおっちゃんが出るじゃないすか。誰だ、あんたみたいな。あんた俺の曲を本当に聞いてんのかみたいな。
そういう意味ではDELMONTE STUDIOは登竜門みたいに若いアーティストを連れてきてくれたりするのは、やっぱりそういう場所だと思ってるから。
ここで証明できれば全国行けたりもするかもしれないし、それこそJP THE WAVYとか、YOSHIくんとかもそうだし、いろんな曲があそこでミックスされて出ていってるし、そのやっぱりクオリティを保ってるのがDELMONTE STUDIOだなと本当思うし、俺が一番いいのは、アンダーグラウンドのままなんすよ。
それがいいんですよ。その機材ははっきり言ってすごいもんを入れてるのに俺らのスタンスは常にアンダーグラウンドというか、来て修行したいんだったら来いよと、もう本当にやるんだったらやってみるよっていうスタンスなんですよ。
だからお金があったら来いよとか、お金払ったら入るわけでもなかったりするとこもあるし、それこそねこんなアンダーグラウンドなスタジオだけど全然3ヶ月先まで予約で全部埋まってますからね。
それぐらいやっぱりみんな来たいし、戻るし、そこでやっぱり自分の人生のサウンドトラックを作ってもらったっていう自負がやっぱあるから、だから使い続けるんだと思うんですよね。
WELCOMEMAN:なるほど。本当に渋谷の本当にHIP HOPアンダーグラウンドのカルチャーのど真ん中にあるっていう感じですね。
ISH-ONE:いやもうDELMONTE STUDIOをなくしたらないっすね、アンダーグラウンドカルチャーって思うぐらい俺思いますよ。
本当になんかみんな言わないだけでほとんどのやつが来てますから。あのスタジオにだってケンドリック・ラマーのプロデューサーのLikeも来てますし、ポスト・マローンのプロデューサーのFKi 1stも来てますしね。
俺は知らないですけど、もういろんなやつが来て、このスタジオで何か人生のどっかに変化を加えていったから、だから伝説なんですDELMONTE STUDIOは。俺はそんな大きい声でレジェンドとは言わないですけど、このスタジオみたいな所は多分日本全国どこにもないんでマジで。
DELMONTE:多分ないね。
ISH-ONE:本当に日本の中で一番アメリカに近いスタジオはここですね。
WELCOMEMAN:なるほど。ありがとうございます、いろいろお話を伺いました。次回はですね、TEAM2MVCHのアルバムの、いわゆるストーリーとかどういうふうにできてきたかみたいなことをお話伺いたいと思っております。
いろいろ制作のお話も伺ったと思うので、今回の2曲目ですが最後楽曲紹介の方をお願いしてもよろしいでしょうか?
DELMONTE:実は自分が個人名義でDELMONTE STUDIOという名義で今、週に1回ビートだけの楽曲をリリースしていまして、今年の3月ぐらいから始めて25曲目ぐらいかな、それぐらい出してるんですけどその中の1曲でDELMONTE STUDIOで「Have Been Done It Before」
お送りしたのは、DELMONTE STUDIOで「Have Been Done It Before」でした。前半、後半とね、2回でお届けしますが、とにかくDELMONTE STUDIOではすごい歴史がいっぱい生まれていますと、ここまちがいなくて、憩いの場でもあるんですが、いわゆる自分のスキルをしっかり見せつける勝負の場所でもあるっていうのはね、音楽家としてここで結果を残していかないといけないという、使命感っていうか、アピールですよね、自分ができる最大限のパワーをここで発揮するっていうね。
僕も一度伺わせてもらいましたが非常にスタジオ自体が本当に洗練されているというか、機材も素晴らしいですし、作業をスピーディーに作り上げていく、最高の作品を一瞬で作り上げていくっていうね、渋谷ど真ん中にあります、本当に素晴らしいスタジオでした。
後半もぜひお楽しみにということで改めてプロデューサーユニット・TEAM2MVCHはですね、スヌープ・ドッグやクール・G・ラップなどとの競演、ヨーロッパツアーの開催などグローバルな活躍を展開しておりますISH-ONE、そして東京渋谷のDELMONTE STUDIOのオーナーであり、サウンドデザイナー、DELMONTEによるユニットです。
これまでに200曲以上の楽曲を発表しており、2022年7月20日ですね、にはセカンドアルバム「TOOK2MVCH2」をリリースしており、今回はそのリリースを記念して、いろいろと話を伺っておりました。
詳細はTwitterで、ぜひご確認ください。TEAM2MVCHと検索していただければ出てきます。また、ISH-ONEや、DELMONTEのソロの作品もぜひともチェックしてくださいということで次回をお楽しみに!
最後に私、WELCOMEMANは音楽プロデューサーとして様々なプロジェクトに関わっております。
音楽ストリーミングプラットフォーム・SHINKUKANライブストリーミングや撮影、ライブイベントが行える次世代のクリエイティブスタジオ・STARTRECのプロデュースも行っております。
また、WELCOMEMANがCEOを務めるブラッシュミュージックでは、新人発掘および育成、音楽や映像コンテンツの制作、イベント制作、ビジネスコンサルなども行っております。
将来の夢はグラミー賞主要4部門のトロフィーをゲットすることです。
そしてこの番組タイトルでもあります「SHINKUKAN」とは、日本の音楽コンテンツを世界へをモットーに掲げたオリジナルコンテンツが見放題の音楽ストリーミングプラットフォームであり、クリエイターやアーティスト向けの活動サポートも行っております。
Spotifyを含めた全世界の音楽配信、ライブストリーミング配信、チケット券売まで様々な活動サポートを用意しております。ぜひ、下記のオフィシャルチャートサイトをチェックしてください。
この続きはSHINKUKAN Podcast #73になります。
TEAM2MVCHをスペシャルゲストに迎えた後半パート#73のテキストバージョンも近日公開予定です。お楽しみに!
・音楽ストリーミング&ライセンスレベニューシェアプラットフォーム「SHINKUKAN」のSpotify独占配信ポッドキャスト番組です。日本と世界の架け橋となる素晴らしいアーティスト&音楽を紹介しております。
SHINKUKANオフィシャルサイトはこちら
・WELCOMEMANがCEOを務める大阪発のなんでも音楽事業やりまっせ会社「株式会社ブラッシュミュージック」
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