村上春樹ってみた。
「美容師と理容師の違いはわかるかい?」
目が覚めて横を見るとベッドから見えるドアの隣に置いてある座りにくそうな歪な椅子に腰掛けている【彼】が声をかけてくる。
その【彼】が何者なのかどこから来たのかはあまり重要ではない。
「わからない」
僕はまだ意識がはっきりしない状態で首を横にふった。正確には寝ている状態なので横にふったような仕草をしてみせた。
時計は午前7時を指していた(ように見えた)。
「なにか飲むかい?」
質問の答えは教えてくれず(【彼】にしたら答えもどうでもいいのかもしれない)、僕に尋ねた。
「コーヒーを」
【彼】の眉が一瞬ピクリと動いたように見えたが(実際動いてはいなかったのかもしれないが)、何も言わず僕に背中を向けてコーヒーポッドを手に取った。
その背中を見て【彼】は少し機嫌が悪いなと感じた。あるいは悪いと感じなければいけなかったのかもしれないし、ハブに怯えるマングースのような僕の心がそうさせていたのかもしれない。
耳を澄ますと聞こえるか聞こえないかの音量でニュー・ファウンド・グローリーのマイ・フレンズ・オーヴァー・ユーが隣の部屋から聴こえる。
懐かしいという気持ちが正しいのか、そして僕の人生にどんな影響があったのかは【彼】にはわかるはずもないしわかろうともしていないだろう。
「私は熱いアイスコーヒーが好きなんだ」
自分で作ったホットコーヒーを一気に胃に流し込みながら【彼】は言った。
「熱いアイスコーヒー?」
僕は尋ねた。
「君には熱いと聞こえたかい?」
「おそらくは」
僕は椅子の横にある本棚にある本に書かれている富樫の樫の書き順を頭の中で考えながら少しぶっきらぼうに答えた。
「とても貴重なんだ」
【彼】は首を横に動かしながら僕の返事を待たず立て続けに言った。
「こういうくだらない話をできる人は心を豊かにする代えがたい貴重な存在なんだ」
彼の横顔は少し顔がほころんだように見えた気がした。
「なにか食べるかい?」
「なにがあるの?」
「焼きビーフンが少しあるよ」
そう言って【彼】は焼きビーフンを小さな底の深い皿に子供を優しく撫でるようにのせてくれた。
僕は焼きビーフンをフォークとスプーンの中間のような給食でしか見たことのない中途半端な「それ」を使って、くるくるさせながら口に運んだ。
「やれやれ、君は右にくるくるさせるタイプの人間なんだね」
「右に?」
「そう」
「右か左かは別に問題じゃないんだ」
【彼】は顔色を変えずにため息をつきながらそう言った。
「焼きビーフンの食べ方が色々あるように、君が美容師と理容師の違いをどんなに気にしようが、この先この業界はずっと続くんだ」
「ずっと?」
「あるいは」
「最後に…、君はまだ髪を伸ばすのかい?」
そう言うと【彼】は口を開くことはなかった。まるで冬があまり暑くない夏を見て拍子抜けしたかのような顔で。
そして朝の日差しが僕を照らす。
いや、今が朝ということも定かではないが。
メタファーという単語を使いたいがうまい言い回しが思いつかない。あるいは。
そして、僕が言えることは今回のnoteは本当にまったく意味のないnoteだったと言うことをあらためて書き記しておこうと思う。
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