強みを活かし合う組織へ
こんにちは。(有)神輝興産代表の中憲太郎です。
当社では、本年度から個々人の強みを活かし合う組織づくりに、本格的に取り組んでいます。取り組みの主な内容は、
ストレングス・ファインダーを用いてスタッフそれぞれが個人の強みを把握すること
さらに、研修により自分と他者の強みへの理解を深め、互いを尊重し、違いを認め合う風土を醸成していく
というものです。
7月9日には、2回目の強み研修が行われました。そこで感じたのは、明らかに会社の雰囲気が変わってきていることです。お互いを理解しようとする姿勢が見えはじめ、社内も明るくなったと、手応えを感じています。今回は当社のこの取り組みについて書きたいと思います。
経緯
本年度、強みを活かし合う組織にするため、外部組織である「ハザマックス」の力をお借りして、強み研修というプログラムを取り入れています。ハザマックスは、わたしが社外の研修で出会い、結成したチームです。
実は、強みの概念を会社に取り入れようとする取り組みは、今回が初めてではありません。2020年にわたしと弊社幹部1名が強み診断士の資格を取得し、社内に強みの概念を取り入れようとしたものの、一過性のブームで終わってしまいました。
本年度はハザマックスの力を借り、神輝興産に再度強みの概念を導入する挑戦をしています。これまでに4月に強み研修の1回目を、7月に2回目を行いました。
「違い」を認め合う風土ができつつある
研修を取り入れた結果、最初に大きな変化を感じたのは、第1回の強み研修後の4月末に開いた新人歓迎会でした。笑い、会話、やりとり、スタッフみんなの表情。コロナが落ち着いていた昨年末に開催した忘年会とはまるで違った場になり、スタッフたちの開放された感じが見て取れ、わたしもびっくりするくらいの盛り上がりでした。この変化に、強みの導入が大きく関わっていると感じています。
それは、ストレングス・ファインダーを全員が受講し、強みという共通言語を得たこと。そして、相手の特徴を強みという側面から理解できたこと。これが非常に大きかったと思います。
例えば、4月某日、社内で以下のような会話が見受けられました。
「達成欲」の強みを持つスタッフが連日残業しているときのこと、別のスタッフからまわりのスタッフたちに、
「『達成欲』出てるから、他の人は帰っても大丈夫やで」
という声がけが聞こえてきました。もちろん頑張っているスタッフをねぎらうことは大切ですが、必要以上に気を使うのもよくありません。お互いの強みを理解し、自分のできることをやる、という空気が出来上がりつつあります。
また、あるときには提出物のチェック作業を何度もしているスタッフに対して
「『慎重さ』ですぎてるで」
というツッコミもありました。相手の強みを理解し、受け入れた上でアドバイスする。そのような姿がありました。お互いの個性(違い)を認めあった会話が社内で生まれ始めたのです。
ストレングス・ファインダーを受講して、お互いの強みを理解できたこと。強みという共通言語を得て、違いを認識できたこと。これが、個性というお互いの「違い」を認め合う風土の醸成につながっていると感じています。この空気感が、新人歓迎会の盛り上がりとして、表出したのだと思います。
本音を分かち合う
また、もうひとつ非常に大きかったのが、普段思っていても伝えていなかった本音を分かち合ったことです。これは大きな変化でした。
キッカケは、強みの導入に対して懸念を示してくれた幹部2人でした。「強みを理由に仕事をしないのではないか」「『それは私の強みにないのでできません』と言ってこないか」と、本音を伝えてくれました。
この会話から、研修を請け負ってくれているハザマックスのメンバーが、会社の課題を見出し、問題提起をしてくれました。「スタッフ全員が強みを活かし合う組織にしたいと思っていないのではないか」「会社の方針が定まっていないのではないか」と、会社の抱える課題や問題を浮き彫りにしてくれました。
ハザマックスの問題提起以降、わたしと幹部たちの間で多くのコミュニケーションをとりました。
社内のチャットでは、約5000文字に及ぶやり取りをしました。ここでは、「全員の意見を聞く必要はない」「社長がどう思うかが大事」「もっと強い意思決定を」といった、身につまされる意見もありました。同時に正直に伝えてくれたことに感謝もしました。
またある出張の日、懸念を示した幹部の一人が、「一緒に車に乗らせてください」と言ってくれました。この幹部から一緒に車に乗りたいと声をかけてくれたのは初めてのことでした。わたしの考えを理解しようとし、それを実現するにはどうしたらいいのかを考えてくれての行動です。とても嬉しい出来事です。車内では、強みとスキルの違いについて、強みを導入する自分の想いについて話し合いました。
7/1には幹部と対話会を開催しました。わたしに対する幹部たちの総意は、「みんなに意見を聞きすぎ」ということでした。これに対して、わたしはポロッと「自分の意思決定を否定されるのが怖い」と初めて幹部の前で本音を漏らすことができました。これはいままで見せることのできなかった弱音でもあります。わたしの本音を聞いた幹部たちからは「堂々と進んでいい」「おかしかったら止めるから大丈夫」「みんなそんなに否定しない」と言ってもらえました。幹部たちの言葉に勇気をもらいました。
会社方針の決定
多くのコミュニケーションをとった結果、会社の方針を定めることができました。
強みについては、「強み」と「スキル」を分離して、スキルを細分化して見える化すること。そして、スキル獲得に強みのアプローチを用いること。これらを決めました。
また、社長の意思決定については、社長がつよく舵取りをしていくこと。まずはアナログで無駄の多い業界をデジタル化によって変えていくこと。これらの合意がとれました。
本音を隠さずに伝え合うことで、より一層相互理解が進み、みなが納得できる方針を定められました。
第2回強み研修
こうして迎えた7月の第2回強み研修は、1回目とは雰囲気がまったく違うものになりました。1回目も決して悪い雰囲気ではなかったものの、中にはどんよりした空気、やさぐれた姿勢、気持ちの壁が見え隠れしていました。
一方で2回目は、笑い、会社のためにという姿勢、受け入れる気持ちが全面的に見て取れ、わたしも、講師のハザマックスも、その変化に驚いています。ハザマックスのメンバーに「3ヶ月の間に見違えるように成長したスタッフもいた」と言ってもらえたことも嬉しかったです。
強みという切り口で、相互理解が進められている。相互理解が深まる中でスタッフたちが成長してくれている。そう感じるのに十分なスタッフたちの反応でした。
神輝興産の「強み」へ
「組織の成功循環モデル」というものがあります。関係の質が思考の質につながり、思考の質が行動の質につながり、行動の質が結果の質につながる。これを示したものです。
ではどうしたら関係の質を上げることができるのか。それは、「相手と自分は違うという前提に立ち、それでも理解しようとする姿勢を保てるか」ここにかかっていると思います。そしてこの姿勢を保つことは、決して簡単なことではないと思います。
同じ会社で、同じ時間を共有し、同じ社服を着る。そうした日々を過ごしていると、どうしても相手と自分は同じであるかのように思ってしまいます。わかったつもりになってしまうものです。この「わかったつもり」が関係の質を下げる大きな要因だと感じています。
だからこそ、「強み」という共通言語を用いて、お互いの「違い」を可視化する。お互いの違いを見えるようになれば、自分と相手は「違う」という前提に立つことができる。「違う」という前提に立ってはじめて、相手を理解しようとする姿勢をもてるのです。
相手を尊重する。お互いの違いを認め合う。言うのは簡単ですが、一朝一夕にできるようになるとは思いません。しかし、一度この風土が醸成されれば、それが神輝興産の組織としての「強み」になると考えています。
今回のハザマックスの力を借りた取り組みは、わたし自身手応えを感じています。スタッフ全員が、自分の強みを発揮し、お互いの強みを活かし合える組織になる。ここにたどり着くには長い道のりになるかもしれませんが、とてもよいスタートが切れたと感じています。
有限会社神輝興産:https://www.shinki-ktr.co.jp/
代表 中憲太郎:https://twitter.com/ktr_kenaka
取材・言語化・見える化:大谷信(https://twitter.com/OtaniMkt)