この手の先に光り
あれはいつのことだっただろうか。
目的もないまま自転車を走らせて気づけば海の近くまできていた。彼と直線で並んで走っていたのに、これも気づけば並行に走れるほど人気の少ない広い道になって。
水平線がきれいに真横に引かれて、ただ眺めながら、何か思いついたら言葉を発し、一人でいるようで確かに二人で居る時間を過ごしたんだった。
自転車を止め歩道を歩くと数件家が建っていて、白と青と、それから緑が植っていて右にはそれらの家々、左には海、私たちはその真ん中を歩いている。
永遠に寄せては返す波の衝撃を抑えるためだけにテトラポットは置かれた?
景色だけが残り、感情は思い出せない。
今、これでよかったと心の底からそう思っている。