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無免が自動車整備士向けの修理説明書を書いてた時の話

以前の仕事で1年ほど「自動車整備士向けの修理説明書」を書いていたことがある。いろいろあって結局1年ほどで耐えられずに辞めてしまったのだが、車好きだったので仕事自体はそんな嫌いだったわけではない。未発売の車や更新予定の車を扱っていた関係上表に出せないような話やあんまりネガティブすぎる話は書かないようにするのでそこはご勘弁。

修理書は実物を見たことのある人は分かると思うがいろいろなシステムや部品から成り立っている。各社員が自分の担当のシステムや部品について調べて書いて校正して修理書は出来上がる。詳しくは書かないけど(書かない方がいいと思うし)自分の担当部分に仕様変化があるかを調べ、あるならどんな変化かを調べ反映、あるいは新規車種ならほかの車に似ているシステムが無いかを調べたりごくまれにある新しいシステムは頑張って新規で書いたりする。簡単そうに見えてまあ…もらえる資料自体が間違ってたり足りなかったりサイレント修正だったり色々あって案外難しい仕事だったのを記憶している。先にも書いたとおり1年しかいなかったので、基本的に僕がやっていたのは他人のお手伝いである。他人が調べたものをもとに言われた通り打ち直す、という仕事も多かった。そのせいか触れたシステムは割とたくさんあったと思う。

ところで以前の記事でも書いたが僕が免許を取ったのはその仕事についている真っ最中であった。1年のうち前半8カ月ほどは無免で修理書を書いていたわけだ。車好きとは言えゲームやら表面上の知識が主なわけで、無免が想像しないような世界というのはやはりある。そういった意味ではやっぱり無免と免許持ちの間には雲泥の差がある。というわけで無免が分からなかった箇所をちょっと紹介しようと思う。

「ACCってなんすか?」

電装品という観点からみると自動車には3つの状態がある。IG ON、IG OFF、ACC ONである。IGのON/OFFはそのまんまエンジンのオンオフである。ACC ONはエンジンはオフだが特定の電装品は利用可能なようにアクセサリー電源のみONにしている状態である。昔の車であればキーを少し回した状態、今の車だとブレーキを踏まずにプッシュスタートを押すとこの状態になる。無免にはこのACC ONという状態がいまいちピンとこないのだ。今でこそ畳みわすれたミラーを畳んだりで活用しているが…。

「TAILってなんすか?」

ヘッド・テールランプスイッチは車格によって少々違うものの、「OFF-AUTO-TAIL-HEAD」というのが多いと思う(順番はいろいろあるらしいが)。OFFはオフ、AUTOはオートライトである。それはいいのだが問題はTAILとHEADである。HEADというのはヘッド・テールランプを点灯させている状態を意味する。じゃあTAILは?上司には「スモールランプのことだよ」と言われた。ここで無免に衝撃が走る。スモールランプってなんスカ?もちろん免許を持っている今なら車幅灯のことだとわかるわけだが、なんせ無免はそういうものの存在を知らないわけである。無免はライトがハイビームとロービームだけだと思ってるし、テールランプとブレーキランプの球が違うなんて想像もしないわけである。

「スマートキーって何すか?」

今時の車はほとんどがスマートキーだと思うが、いちおうキーレスエントリーの車も残っている。一応知らない人のために説明しておくとスマートキーはポケットやカバンにカギを入れておけばいちいちキーを取り出さずとも車両の解錠施錠やエンジンの始動が可能なキーのことで、キーレスエントリーは鍵穴にキーを入れなくてもキーについているリモコンスイッチで遠隔から車両の解錠施錠が可能なキーのことである。要は無免はこのキーレスとスマートキーの違いが分かっておらず、キーレスのことを普通にスマートキーだと思っていた、という話である。

他にもシフトレバーのレンジがよくわかっていないとか、メーターのマルチインフォメーションディスプレイを見たことがないとか、シガーライターがよくわからないとか、こんな無免が書いた修理書を読んで作業させられる整備し、ちょっと同情するなあ。

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