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横浜トリエンナーレは本当に「つまんない」のか?

はじめて「ヨコトリ」こと横浜トリエンナーレに行ってきた女の感想〜

街おこしみたいでイイネ!

横浜トリエンナーレの会場は、横浜美術館を中心にいくつも点在している。土地勘がないから各会場がどこにあるかがわかりづらかったけど、ちょっとした冒険みたいで楽しくもあった。

しかも、「中華街でチケットの半券を見せるとジュース1杯無料になる!」みたいな取り組みもあるらしい(私はあとで知ったから残念ながら恩恵を受けられなかったけど……)。アートを軸にした街おこしみたいでイイね!!! そんなことを思いつつ街を歩いてたら、こんなアートに遭遇した。

「私の頭が注目されている」的な言葉を天井に描く男性。そんな彼の頭部をガン見する私。アートって本当に意味わかんなくて面白いですよね。

「社会派でつまらない展示」は本当か?

はじめての参戦ながら、横浜トリエンナーレがかなり「社会派な展示」だということは事前情報でわかっていた。今回リニューアルしたばかりだという館内に入ると、さっそく消費社会へのアンチテーゼ的なアートが!!!

赤ちゃんをだっこしつつもスマホに夢中になる男女のマネキンの横に、Apple Storeの展示みたいに電子書籍がズラリと並べられていて、消費社会にまつわるコラムや本を読めるようになっていた。同じホールでは、「戦争の爆撃音を口で再現する」という別の作品の音が響きわたっていて、薄ら不安な気持ちになる。

おお、入り口から攻めてきたなあ!!! とは思ったけど、まさに今虐殺されている国があるなかでひらかれる国際的な展示に"社会派なアート"が揃うのは必然だし、今だからこそ見ておくべき展示だと思ったから覚悟を決めて来た。そんな私の覚悟に応えるように、次の会場にはビニール袋に入れられた男女が転がっていた……

彼らは、「AIに仕事を奪われたホワイトカラーの労働者」らしい。遠い国でも、資本主義国家では同じようなことに問題意識を抱いて、同じようなことで心を擦り減らしているんだろう。世の中には本当にいろんな問題が山積しているけど、根底にある「搾取構造」は世界共通のものなんだな……とあらためて思うなどした。かと思えば、労働を放棄して山にこもり、逆にもっと苦しい生活を強いられてる人のドキュメンタリー映像もあったりして。各々の「抵抗」を示すアートがトータルで7時間くらいず〜っと続いたので、帰るころにはさすがに心がしおれてしまいました……

でも「救い」はある

すごい疲れたし、見た人から批判的な意見がでる気持ちもわからなくもない。……けど、ちゃんと「救い」もあったと思う。

私が心に残ったのは、日中戦争で日本にきたものの、家もなく、言葉もしゃべれないなか、版画だけで日本人とコミュニケーションを取っていたというアジア人版画家の展示。今よりも差別や芸術家の置かれる環境が厳しかったであろう時代に、アートでのコミュニケーションを諦めない人がいたとは……尊い。

どこの国にも絶望の歴史があって、絶望の地続きで今の社会につながっているし、それに加えて現代社会特有の問題も生まれている。こんな世の中、カオスすぎる。ただ普通に生きていたいだけなのに、ゴチャゴチャした汚い部屋の真ん中にひとり取り残されて「一体どこから手をつけたらいいんだよ……」と、心細く、すべてを投げ出してしまいたくなるような、そんな感覚になる。

同じように(いや、今よりもずっと)苦しい時代・境遇にあった先人たちが、「諦めなかった証」とか「抵抗のかたち」として死に物ぐるいで残したアートは、現代人に抵抗の仕方やその重要性を教えてくれるし、大事な資料にもなるんだなと思った。

結論この展示は、アートに"資料"を求めてない人からしたら「つまらない」だろうし、資料を"立体的"に見れた感覚になった人からしたら「おもしろい」になるんではなかろうか? 個人的には歴史を学び直してる最中というのもあって興味深く見れたけど、時期が時期なら「つまらない」と思ってたかもしれない。

今度、お台場でもトリエンナーレが開催されるらしい。お台場近辺にはどデカい会場があちこちにあるから、ちょっと楽しみにしておこう。

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